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0236・<鑑定板>の説明




 ヤマト陸軍としては納得はしていないものの、ある程度の情報が得られたからだろう、再び本部の中へと案内された。ここ陸軍本部には宿舎も併設されており、ミク達を含めエイジ達も一ヶ月は泊まる事になるらしい。


 理由としては未知の病原菌を持っていないかとか、後は様々な検査をする必要があり、それらが終わらねば外には出せないと言われた。まあ、当然だろうと思うも、成熟した星は面倒臭いんだなぁと思っている。


 それと、この後夕方から記者会見があるそうだ。何でも記者とかいう面倒で嘘ばかり吐く連中の相手をしなきゃならないらしい。嘘ばかり書き立てる連中だから、できる限り喋らなくてもいいと言われた程だ。


 余程の嘘吐きらしく、軍人達は顔を顰めている。なのでミク達も嘘吐きを相手にする事になると気合いを入れた。とはいえ、【精神感知】や【心情看破】に【真贋の天秤】を使えば、考えている事の99%は当てられるのだが。


 そんな事を考えつつ、適当な雑談をしていると、ローネとネルがお腹が空いたと言い出した。なのでミクがアイテムバッグから適当な料理を出すと、すぐに食事を始める。



 「おいおいおいおい、ちょっと待ってくれ。いきなり食べ物を出されても、それがどんな物か分からないし、何かの有害な菌が付着している可能性もあるんだ。出来得る限りこっちが用意した食事をしてくれ」


 「えーっと、本部内にもコンビニがあるので、そこで適当に買ってもらったら良いんじゃないですか? それぐらいのお金は上から必要経費で出るでしょう。それ以外にも色々要るでしょうし、今の内に掛けあった方がいいのでは?」


 「別に私達、お金ぐらい持ってるけど? ……ほら」


 「………金貨? えっ!? もしかして本物の金!?」


 「いやいや、偽物を出す訳がないだろう。本物の金に決まってる。それとも、この星では金が貴重なのか?」


 「いえ、そんな事はありませんけど……それでも貴重な金属である事に変わりはありません。私達の国では金貨などは使わず、えっと…………このような紙幣を使うんです。このホログラムを付けたりする事で、偽造しにくくなってるんですよ」


 「これはなかなか凄い技術。でも、ある意味で技術の無駄使い。本物と偽物なんて適当な鑑定機でも作れば済む。偽物なら光るように作れば、それだけで偽物は弾く事が可能。本物の<鑑定板>の応用で出来る」


 「「「「「<鑑定板>?」」」」」


 「コレの事。これは<鑑定板>と言って、鑑定したい物の一部でも乗せられれば、その物の説明を見る事が出来る。本物とか偽物とかも出るんだと思うよ。私はあまり詳しくないけど」



 すると、それを聞いていた東が自分の胸ポケットに差していた鉛筆を抜いて、<鑑定板>に乗せる。するとすぐに結果が表示された。



 ■■■■■■■■■■■■■■■



 <鉛筆>


 黒鉛と粘土を混ぜて焼いた物を、木で固定した筆記用具。濡れても滲まないという特性を持ち、物を書くのに大変便利な品。大量生産されており、非常に安価である。



 ■■■■■■■■■■■■■■■



 「「「「おぉーーーっ!!」」」」


 「本当に品物の名前とか説明が出てる! これが鑑定……。完全に漫画とかラノベの世界だけど、よく考えたら元々そうだったって事? それともダンジョンが出来たから、これからそうなっていくの?」


 「<人物鑑定の宝玉>とか<鑑定板>っていうのはダンジョンからしか手に入らないんじゃない? だから地面の紋様が出てきた時からだと思う。そもそも47都道府県に一つずつ出てきたっていうのが何とも言えないよね」


 「確かにな。我が国は他の国と比べても突出して多いと聞く。横の半島など何処にも無いと聞くし、その隣の巨大独裁国家には二つしかないと聞く。もちろん隠している可能性はあるが……」


 「そもそもなんですけど、皆さんに協力してもらえる我々でないと、仮に何かが見つかっても、それが何か分からないのではありませんか? 我々は皆さんに聞けば分かるでしょうけど。それに……」


 「「「それに?」」」


 「いえ、ダンジョンから手に入る物って、良い物ばかりじゃありませんよね?」


 「呪いの武器とかも含めて、呪われている物も見つかるよ。例えばエイジ達の持っている武器の多くは、元々呪われた武器だしね。私が呪いを喰ったから、既に呪いは無くなってるけどさ」


 「「「「………」」」」


 「んー……。コレを鑑定してみれば分かるよ。既に呪いは無いし、仮に何かあっても<聖霊水>があるから治せるしね。アレは呪いなどを全て浄化するから」



 ミクに鑑定しみろと言われ、東がおずおずと<鑑定板>にナイフを置く。すると、すぐに鑑定結果が表示されたのだが、その内容に顔を引き攣らせるのだった。



 ■■■■■■■■■■■■■■■



 <発情の魔剣>


 <喰らう者>が呪いを貪り喰い、呪い自身が己を残そうと抗った。その結果、効果だけがこびり付いて残るという、極めて特殊な経緯で誕生した魔剣。切りつけた相手を強制的に発情させて狂わせる。元は呪いの付いたナイフであった。


 三度切り付けられると、強制的に絶頂させられる。遊びで使う物ではないので注意。オークとクレイジーモンキーによく効く。



 ■■■■■■■■■■■■■■■



 「「「「「「「「「「………」」」」」」」」」」


 『かつて主がオークに使った事があるが、アレはよく効いていたんだな。三度目で精を撒き散らしながら倒れたが、効果が高いなら当然か。しかもクレイジーモンキーにも効くとは……』


 「アイツに効くと言ってもナイフですよ? それで攻撃できるまで接近しなきゃいけないんですけど!? 俺は絶対に嫌ですし、それなら盾と棍棒で戦った方が100倍以上マシです!!」


 「本当にな。エイジの言う通りだ。オレもあんな奴と接近戦をするぐらいなら、魔法ブッ放して殺すわ。絶対に接近なんてしたくねえ!!」


 「彼等がそこまで嫌うという事は何かあるのだろうが、クレイジーモンキーとはいったい………? それにオークというのはアレだろう? 豚面で体が大きく、二足歩行の……」


 「顔は豚ではなくて猪です。牙も小さいながら生えていますし。そうではなく、オークは女性というか雌を見れば発情して襲ってくるんです。強姦しようと襲ってきて、そのうえ種族が違っても孕ませられるという……」


 「「「「うっ……」」」」


 「で、クレイジモンキーは、男を見るとお尻を掘りにくる猿の魔物だよー。とにかく男と同族の雌にしか興奮しない不思議な猿で、女性がいても完全に無視されるんだー。驚きだよね?」


 「「「「………」」」」



 何故か東は急に椅子に座りなおし、姿勢を正す。尻を掘ってくる魔物というのが怖いのだろう、しきりに後ろを気にしている。後ろを見たところで居る訳がないのだが、尻を掘られるなどと聞けばそうなるのだろう。


 そんな話をしていると、記者会見とやらの準備が整ったらしく呼ばれた。結果的に食事が出なかったが仕方ない。多少でもお腹に入れられたのだから、まだマシであろう。……ちなみにだが、エイジ達もちゃっかりと食べていた。


 廊下を歩いていき、控え室のような所で一旦待つ事に。どうも会見場に現在、嘘吐きどもが集まっている最中のようだ。【精神感知】でも醜い感情が感じ取れるので、嘘吐きなのは間違いないのだろう。


 まあ、ミク達は話をしなくても済むので気が楽だ。メインで話すのはミキらしく、何か失言があったとしても、星川財閥の方に喧嘩を売る阿呆はいないとの事。叩き潰されて、社会的に抹殺されるらしい。


 怖ろしい事である。


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