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0232・第二惑星ヴェンスター終了




 座り込んだエイジ達を他所に、ミクはダンジョンコアを探しに行く。そこは赤の魔法陣からも青の魔法陣からも遠い場所で、見え辛い位置に洞窟があり、その中にダンジョンコアがいつも通りの形であった。


 ミクは誰かが来る前に正拳突きで破壊し、ダンジョンの外へと強制排出される。ダンジョンの外はお祭り騒ぎのような状態で、とても無関係を装って宿に戻るという事は出来なかった。


 普通の冒険者にとっては凄まじい戦いを勝ち抜き、亡くなってしまった仲間の冥福を祈りつつ、その騒ぎの中心はミク達であった。ミクは大きな声を挙げ、今日は酒場で飲もうと言い、何とか冒険者を聖都へと連れて行く。


 ダンジョン前で延々と騒がれても面倒なだけなので、とりあえず食事がしたかったミクは聖都へと誘導したのだ。もちろん仲間達は理解しているが、冒険者達は酒で送るという事もある為、疑問には思わなかった。



 「じゃあ、亡くなっちまった奴等の為にも盛大にいくぞ! 乾杯!!!」


 「「「「「「「「「「かんぱ~い!!!」」」」」」」」」」



 酒場に冒険者達の大きな声が響き渡り、信じられないくらい大きな喧騒に包まれる。魔物を大量に倒して運んだので稼げた者、仲間が死んでしまった者、聖女がダンジョンマスターで驚いた者などなど。多くの者が騒いでいる。


 明日にもダンジョンマスターの聖女が死んだ事は聖都内に伝わるだろう。どんな事をしていたのか知らないが、今までの形は崩壊する筈だ。


 しかし……ダンジョンマスターが急に減ってしまったのだろうか? ここで終わりとはどういう事だろう?。


 そう思っていたのだが、<善の神>が言うにはダンジョンマスターとして長きに渡り生きられる者は多くないそうだ。というより、殆どの者は50年以内に死ぬらしい。


 ダンジョンマスター自体は寿命が無いだけで普通に死ぬという事と、人間種である以上は孤独に耐えられる者は多くないそうだ。誰かを求めてダンジョンを出て、誰かに殺される。その繰り返しらしい。


 ただ、その中でも一部、上手くのらりくらりと生き延びる奴が居て、そいつらは例外無く悪行を為しているという事であった。


 良いか悪いかは別にして、これからはこの星にダンジョンマスターの居ないダンジョンを増やすらしい。そして強制的に大量の魔力を消費させるそうだ。


 流入する魔力を減らせないのかと思うも、そういう宇宙の場所にある星なんだそうだ。本気で流入する魔力を減らそうと思ったら、星の位置を変える必要がある。もちろんそんな事はできない。


 そういう事なので、消費を増やす方向でしか変えられないそうだ。まあ、パッと思いつく事ぐらい神どもがとっくに考えているかと思うミクだった。


 酒場の喧騒も終わり殆どの連中がダウンした後、御代を多めに支払ってミク達は酒場を後にする。エイジ達も飲まされていたが、<紅の万能薬>で治したので問題無し。そのまま宿の部屋へと戻る。


 ようやくゆっくりと休めると思うも、いそいそと準備する二人に呆れ、男性形態でさっさと満足させるのだった。二人を眠らせた後、さっさと分体を停止させたのだが、また神どもが集まっている。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 ここはミクの本体空間。今までのミクと比べて二回りほど大きくなった肉塊が浮いていた。それなりの数の人間種を食べてきたので、ここまで大きくなったのだろう。ミクとしてはもっと大きく増やしたいのだが、なかなか喰う機会が無いのだ。


 それでも大きくなっただけ良かったと思っている。神も色々観察したりしているが、こいつらにとっては朝顔の観察程度の話でしかない。



 「で、私の所に集まっていったい何の用なの? エイジ達の故郷の件なら既に話してあるけど、他に何かしなきゃいけない事ってあった?」


 「特には無いな。我等が集まっているのは次の星についてだ。今までの星と違い、分かっているだろうが多少成熟した知識のある星だ。当然ながらそれに見合った秩序もある。簡単に喰う事は出来ん。そこは理解しておけ」


 「ただし見られないで犯罪者のみ喰うのであれば好きにせい。お前の<暴食形態>が認識されようが問題無いが、誰も彼もを喰らうような事態にはするな。まあ、お前はヤマト皇国という所にいる事になるだろうがの」


 「そこが一番楽であり面倒なところかな? とにかく次は人付き合いなんかで苦労しそうだねえ。とはいえ、そういう苦労も覚えていかなきゃいけないし、いつまでも喰えば済むという野蛮なままでも困るから。仕方ないね」


 「ミクの成長も見越して行き先を決めているからねえ。こればっかりは文句を言おうが何をしようが行ってもらうよ。まあ、分かっていて愚痴を言っているのは知ってるけど」


 「次はそなたも知っての通り、魔法の知識など一切無かった星だ。そこで魔法を教えるという事をせねばならん。そのうえ伝えたであろうが、突然ダンジョンが出現してしまった。我等が介入していない以上、間違いなく【世界】だ」


 「そして【世界】の意志なんて考えるだけ無駄。私達でさえ全く分からないし、私達以上にあの方は答えないしね。私達はいつも通り変化に対して粛々と対応していくだけさ」


 「どうやら該当の星から飛ばされた者達の時間軸から数えて、大凡おおよそ10日後にダンジョンが出現したようだ。今はそこから更に60日ほど過ぎている。それぞれの国はダンジョンに軍人を派遣しているようだな」


 「それ以上は向こうに行ってから調べてよ。ああ、大江戸駅の前に光の柱を立てて、そこから出てくる形になるので物凄く目立つよ。その方が都合が良いからね。しっかり目立って、その後は流れに乗るといい」


 「うむ。準備が出来たら我等に言うがいい。一気に該当の場所まで飛ばす。誰かに見られていても構わんぞ、どうせ今の星からは居なくなる」


 「りょうか~い。っと、そろそろ朝になるね、分体を起動するよ」



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 分体を起動したミクはローネとネルを起こし、本体空間で聞いた事を話す。ヴァルは一緒に聞いていたので話す必要は無いが、ローネとネルにはエイジ達より先に話しておく必要がある。



 「次はエイジ達の故郷とはいえ、なかなかに厄介な場所のようだな。人付き合いが云々とおっしゃられたという事は、ミクが我慢せねばならん事も増えそうだな。本質の解放は勘弁してくれよ?」


 「私だって食べ物を粗末にされたり奪われたりしなきゃ、いちいち解放したりなんてしない。<天生快癒薬>ですら壊れた精神が治るか分からないんだからさ、流石に迂闊な事をする気はもうないよ」


 「それならいい。それより、エイジ達の故郷がどんな所か楽しみ。話には聞いていたけど、実際のところは見てみないと分からない。今までなら自分の星から出る事なんて出来なかった。今はそれが出来るのが嬉しい」


 「とにかく、まずは食堂に行こうか」



 部屋を綺麗に片付けたら外へ出て、エイジ達に全て片付けて出るように言う。ミク達は一足先に食堂に行き、朝食を注文したら席に座る。少し待っているとエイジ達も来て注文を始めた。


 周囲からの視線があるものの、それを無視して食事をとり、終わったら食堂を出る。周りから見られながら聖都の入り口へ行き、手続きをして出るとゆっくりと歩きだす。



 「それで、俺達の故郷に行くって言ってましたけど、どうなったんですか?」


 「大江戸駅の前に光の柱が立つんだって、私達はその中から出てくる事になるってさ。後、エイジ達がこっちに複製された70日後らしいよ。その日付に何の意味があるのか知らないけど」


 「70日? って事は9月くらいか? つまり一番暑い時期を過ぎてるって事かー。ある意味ラッキー!」


 「神どもに言ったから、そろそろ転送されるよ。当然だけどシェルもベルもオーロも一緒だからね?」


 「「「「へ?」」」」



 どうやら四人は自分達とミク達だけだと思っていたらしく、三人も一緒に来るとは思っていなかったようだ。ちなみにだが、三人も一緒に行くのは神どもが面白がったからである。


 今度はどういう星なのか、エイジ達の故郷とはどんな所なのか。期待をしつつ、ミク達四人は光の渦に消えていくのだった。



 ▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼



 第二章 ダンジョンマスター殲滅編 <完>



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