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0231・聖国のダンジョンマスターの最期




 ダンジョンの攻略を開始して歩いて行くが、ミクはアイテムバッグから透明の球を取り出して魔力を篭める。すると透明の球は浮き上がり、ミクの周りをゆっくりと周回する。その球に対して意志を篭めると、上へと向かわせる。


 高さ10メートルくらいのところで停止させ、回りを見るように意志を篭めると、透明の球がまるで第三の眼のようになった。ただ360度が見える為、慣れないと上手く認識が出来ないと思われる。そんな事を話して聞かせるミク。



 「へー。それってもしかしたら凄い道具かもしれませんね。だって目が見えなくなっても透明の球を使えば見えそうじゃないですか。見えなかったのに見えるようになるって画期的ですよ。とんでもないです」


 「本当に魔法のある世界って凄いなー。………よく考えたら元々から魔法の使える世界だったんだっけ。魔法の使い方を知らなかっただけで。何だか空しくなってくるけど、仕方ないと諦めるしかないな」


 「エイジの言う通り、仕方ないって言うしかないよな。今は魔法の使い方を覚えたから使えるけどさ。使い方を知らなきゃ絶対に使えないしな。ヤマトじゃ今でも空想の中にしか無いんだって考えたら、何か空しいな」


 「そこまででもないんじゃない? 実はダンジョンマスターは残り二人らしいんだけど、その一人はさっき死んだってさ。だから残りはここの一人みたい。それを終わらせたら、エイジ達を元の星に戻すんだって」


 「「「「は?」」」」


 「いや、エイジ達を元の星に戻すんだって神どもが言ってる。正しくはオリジナルのエイジ達と、ここに居るコピーのエイジ達を統合するんだって。コピーの方を主体にするみたいだね」


 「何で急にそんな事を!?」


 「神どもも予期してなかったみたいだけど、エイジ達の元の星にダンジョンが出現したんだってさ。もちろんダンジョンマスターの居ないヤツ。それで大混乱になってるみたいだから、ちょっと行って魔法を教えて来いって言われた」


 「「「「………」」」」


 「何でも大江戸駅? っていう所の前に飛ばすからそう言っておけってさ。何の事かよく分からないけど、そこにド派手に登場させて、その隙に二つのエイジ達を融合させるって。私に言われても困るんだけどね」


 「つまりアレか? 私達の次に行く場所はエイジ達の故郷という事か? ……まあ、色々と聞いていたから行ってみたい気持ちは無い訳じゃないが……。しかし、人間ばかりの星だろう?」


 「そうだね。………あー、そんな事も? 滅茶苦茶だなぁ……。神どもが言うには、ダンジョンの中に入った奴で種族が変わったヤツが居るらしい。間違いなく【世界】が介入して作ったダンジョンだって」


 『【世界】が介入するとはな。それなら何でもアリなのは頷ける。【世界】は世界だからな、当然ながら世界の中を好き勝手に作り変えられる。我々は精々、そんな【世界】に目を着けられる事なく生きないとな』


 「「「「「「「………」」」」」」」


 「そういう事だから、ここのダンジョンをこ…………紫の矢印が出てるんだけど? 今はまだ7層目だよね?」


 「成る程。ダンジョンコアの場所を変えて、40層まで行っても壊されないようにしたか。しかし移動させて三日は変えられんし、侵入者が居る以上は移動させる事は出来ん。つまり、後は破壊するだけか」


 「とりあえず、こっちだね。ダンジョンコアを潰してさっさと……随分出してきたね。つまり今もこっちを見てる訳だ、ダンジョンマスターが」



 急に魔物が大量に現れたものの、浅い層に出せる魔物でしかない為、楽々と倒していくミク達。それでもダンジョンコアまで行かせたくないのか、必死に大量の魔物を嗾けてくる。とはいえ、この層の魔物程度でどうこうなるミク達やエイジ達ではない。


 蹴散らしながらも少しずつ進んでいると、周りに冒険者が来て魔物を倒し始めた。何故かと思ったら、善人にした事でミク達を助けようとしてくれているようだ。「別に助けは要らないんだけど」と思うも、かと言って「離れろ」とも言い辛いのだった。


 そんな戦いを繰り返しつつ、流石に善人の冒険者に被害を出させる訳にもいかず、妙な足手まといを抱えながら戦うミク達。疲労も徐々に蓄積しており、段々と周りの冒険者も減ってきた。ちなみに幾つかの冒険者には近くの魔物を処理してもらっている。


 死体がダンジョンに取り込まれるまでには時間が掛かり、その間は邪魔な物でしかない。特に血脂で滑る事を考えると非常に厄介なのだ。なので片付けてもらい、欲しい物は勝手に持っていってもらった。


 この浅い層の魔物では大した稼ぎにならないし、放っておくと消えていく物だ。ならば欲しい者が勝手に持って行けばいい。そう言って持って行かせたのだが、それでも死体は余っているし、ダンジョンマスターは魔物を出してくる。


 もはや無限おかわり状態だが、それでもミクとヴァルとローネとエイジは戦いを続けていた。ミクとヴァルは疲れなど無く、ローネは【高速回復】が、エイジは【超速回復】がある。その恩恵はやはり大きく、未だに戦い続けられていた。


 最後のダンジョンマスターが物理的な飽和攻撃を行ってくるとは思っておらず、面倒な事になったなーと思いつつ戦い続けるミク。右手のメイスと左手の鉈で殺しまくっているが、それでも敵の出現には追いつかない。


 ヴァルはトンファーで頭をカチ割ったり、心臓を突き破って殺害している。ローネは短剣で首を切り、ナイフで急所を刺して始末。エイジは棍棒でカチ割り続けている。範囲魔法を使ってもいいのだが、周りを巻き込む可能性があって使えないのだ。


 その所為で、いつまで経っても無限おかわりに付き合う羽目になっている。そんな戦いも遂にと言うべきか終止符が打たれようとしていた。離れた所に簡易トイレがあり、既に食事をしたりトイレで交代しながら戦い続けて夕方前。


 ようやく出現する魔物が途絶えたのだ。どうやらダンジョンマスターは魔力を使いきったらしい。どれだけ溜めこんでいたのか知らないが、本当に長かった。そう思い、最後のフォレストベアをカチ割ると、魔法陣と共に聖女が現れた。


 やはりコイツがダンジョンマスターかと思った矢先、聖女はいきなり魔法をブッ放してきた。近くに居た冒険者だけでなくエイジ達も巻き込んで多数の者が被害を受けた。使われたのは【魔力嵐刃マジックサイクロン】だ。


 その所為で多数の冒険者が死亡したし、エイジ達も不意打ちで相当の怪我を負った。特に酷いのがミキとサエだ。これにはエイジとシロウがブチギレた。



 「私を殺そうとする奴等は皆死んでしまえ! 私のモノを奪おうとする奴は全員消えろ!!!」


 「よくも俺の女を傷付けやがったな!! お前こそ死ねぇー!!!」


 「ふざけるんじゃねえぞ! テメェ!!! 今すぐブッ殺してやる!!!」



 ミキとサエはミクとヴァルが<天生快癒薬>を飲ませたので無事だが、自分の男がブチギレているのを見て、ちょっと嬉しそうである。ここは戦場なのだが分かっているのだろうか?。


 エイジが盾を構えて突撃し、そのエイジに魔法を放つも<剣王竜の盾>を早々破壊など出来ない。そのエイジの後ろからシロウがついていき、魔法が途切れた瞬間前に出て、聖女の胸を<魔尖槍>で突き刺した。


 その衝撃で聖女の意識が途切れた隙に、エイジが【強打旋】を繰り出し聖女の頭を叩き潰す。頭が潰れた聖女の死体は、倒れて血を噴出させている。肩で息を吐きつつ死体を見、ようやく勝利を確信したのか座り込んだ。


 どうやら戦いが完全に終わったようである。


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