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0228・ダンジョン31層で脱出




 20層のボス部屋まで辿り着いた一行。中に入ってみれば、ハイクレイジーモンキーが20体だった。こいつは魔力が少なくて済むらしいので分かるが、何故これほどの数を用意するのか意味が分からない。


 それでもエイジが<集目の盾>を使い、ハイクラスなら効く【閃光フラッシュ】をシロウが使えば、大半のハイクレイジーモンキーの目は潰れる。後は目が潰れていない奴等を殺し、その後に処理していけば終わりだ。


 大して強くも無いボスを倒し21層。今度の地形は砂漠である。今回は地形で殺しに来るダンジョンのようだ。再び汗が出て大変な道を必死になって歩いていく。ベルに飛んでもらおうと思ったが、空にはハイホワイトクロウが飛んでいる。


 カラスは頭がいいので集団で襲ってくる可能性が高い。上を結構な数が飛んでるし。そうなるとベル一人ではどうにもならないので、ここは歩いて赤い魔法陣を探す。そうして歩いていると、地面から大きな蠍が現れた。ブラックスコーピオンだ。


 エイジが先頭で盾を構えると、エイジの頭に上から何かが落ちてきた。エイジは無視して前を見ているが、他のメンバーは気付いていた。「あいつら糞を落としてきやがった」と。そのうえ、上から「アホー! アホー!」と聞こえてくる。


 それで怒らない奴は居ない。シロウが魔法で攻撃しようとしたがミクが止め、ミクは【風魔法】の上級である【竜巻トルネード】を連発する。当然ながら巻き込まれて錐揉み状態で飛んでいくハイホワイトクロウ。これでようやく戦闘に集中できる。


 ブラックスコーピオン自体は然して強くもないので簡単に倒し、エイジを【超位清潔アーククリア】で綺麗にしたら進んで行く。まさか強くもない地上の魔物との戦いを上空のアホが邪魔してくるとは。ダンジョンマスターの性格がよく出ているのであろう。



 「上から糞を落としてくる層を作るとか、絶対にダンジョンマスターは性格が悪い。っつーか、性格がまともなダンジョンマスターに会った事がない! 正直に言って、神様が殺せっていうのも納得の酷さだぜ」


 「何をどう考えたら、上から糞を落とす鳥を配置しようと思うんだろうな。綺麗にしてもらえたから助かったけど、頭がおかしいとしか思えない。何度も言ってきたけど今回も言う、頭がおかしいとしか思えない」


 「本当にそうだよね。まともじゃないというか、ここまで来た人を弄んでるだけの気がする。ここのダンジョンマスターがどんな人か知らないけど、間違いなく性格が悪いよ。攻略させまいとすると、どうしてもそうなるのかな?」


 「精神的に凹ませて、攻略を諦めさせようってことー? 確かにそれはあるのかもしれないね。でも、この程度で諦めるかな? 結局諦める一番の理由って、儲からないか危険すぎるくらいだと思うー」



 そんな話をしながらもダラダラと歩き続け、途中でミクが水の樽をアイテムバッグから出して冷やす。それを飲んで休憩しつつ、一行は30層のボス部屋前まで来た。そこでミクが出した食事を食べながら休んでいる。



 「それにしても、このダンジョン色々な意味で厄介極まりないですよ。とにかく地形で攻められるのがここまで大変とは……。いや、正確には暑い地形が続くのがここまで大変とは思いませんでした」


 「そうだな。体力が奪われるわ、水分が奪われるわ、最悪の場所だぜ。そうは言っても寒い地形ばかりもゴメンだけどさ。それにしたって厳しい。もちろんダンジョンマスターはダンジョンコアを壊されたら終わりなんだから分かるけどさー」


 「明らかに、やる気を奪おうというか無くそうというのが分かるよね。上から糞を落としてくるとか、暑くて大変だとか。そこまでしてでも、攻略されたくないのは当然だと思うけど……」



 ダンジョンコアを破壊されたら死ぬしかない。なので全力で侵入者を排除しようとするのは当然である。とはいえ、やっている事がやっている事だからこそ、神から「殺せ」とまで言われる訳で……。


 その事実を加えると、自分の欲の為に必死になっているようにしか感じない一行だった。そんな休息も終わった30層のボス戦。出てきたのはグレーターデスコブラ20匹だった。流石にシャレにならない数である。



 「コブラが20匹とかマジで!? そのうえグレータークラスとか何の冗談だよ! 間違いなくここで殺しに来てるじゃないか!?」


 「エイジ! とにかく集めてくれ!! 少しでも魔法で巻き込んでどうにか数を減らす!!」


 「了解だ!!」



 肝心のサエはコブラが大量に居てすくんでしまっているので、代わりにシロウが指示を出す。Gの時には誰も指示を出せず全員がパニックになったので、サブはシロウという事にしたのだ。その取り決めが生きている。


 エイジはいつも通り<集目の盾>で魔物を集め、シロウが【土魔法】の上級である【蟻地獄】の魔法を使う。これは指定の地面を指定の範囲、円錐状に陥没させる魔法だ。ちなみに元々あった土は外側に押し出される。


 エイジが集めていた多くのグレーターデスコブラは陥没した地面の下に落ち、そこへ復帰したサエが魔力魔法の上級、【魔力嵐刃マジックサイクロン】の魔法で攻撃していく。この魔法は指定範囲に魔力の嵐を起こし、魔力の刃で切り刻む魔法だ。


 魔力魔法の中でもかなり強力な魔法で、その反面、魔力の消費が非常に激しい。今のサエでも2回しか使えないほどである。それでもここで一気に勝負を決める為、サエは解禁してブッ放した。その甲斐もあり、一気に敵の数が減る。


 あとは1匹ずつ倒せば終わるという最中、突然死んだと思っていたグレーターデスコブラにエイジが咬まれる。毒を注入されてしまったものの、ヴァルが即座に殺し、エイジに<紅の万能薬>を飲ませる。


 グレーターデスコブラも持っているのは即死毒だが、エイジ自体は神の加護で【毒耐性】を持っている為、即死毒でも即死はしない。特に問題も無く回復したエイジにミキもシェルもオーロもホッと胸を撫で下ろす。


 丁度最後の一匹をミクが倒したので、一行は31層へと転移していく。到着した31層は火山の地形だった。最後まで灼熱地獄とは本当に容赦が無い。手鏡で調べ、近くにあった青い魔法陣に近付くと、妙な反応を感じた。


 意味がよく分からなかったので近寄ってみると、地面の下から妙な反応がある。ミクが強引に武器を使って地面を掘ると小さな木箱があり、中には透明の球が入っていた。大きさは握り拳くらいの大きさだ。


 何に使うか分からないもののアイテムバッグに入れたミクは、青い魔法陣に乗って外へと脱出した。


 既に夕日が出ていたので慌てて聖都へと戻り、食堂へと駆け込むミク達。夕食を注文して一息吐くと、昨日の冒険者に話しかけられた。



 「お前さん達ダンジョンへ行ったんだろ? どうだった? 儲からなかっただろ。墓場を越えなきゃ儲からないんだが、その墓場が面倒臭いんだよ。特にゾンビな。あいつの腐肉はどの武器で戦っても汚ねえからさ」



 その後も色々話しているが、面倒な一行は適当な相槌を打ちつつ食事をし、さっさと宿の部屋へと帰る。酒を飲んでいたようなので、単に誰かに愚痴を言いたかっただけだろう。付き合ってやる義理など無い。


 宿の部屋に戻り、少し休憩していると二人が用意をし始めたので、今日は女性形態で相手をした。寝ている二人をヴァルに任せ、今日は宿の従業員を洗脳してから平民街へと向かう。


 まだ働いていた者は居たが、眠り薬で眠らせてから<幸福薬>で洗脳してしまう。脳を直接洗脳されると誰も抗えないが、今は<天生快癒薬>があるので治す事は可能だ。


 聖都の連中の善人への洗脳は神の命令なので、治す理由は欠片も無いが。


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