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0209・ダンジョン35層まで




 ミクがあっさりと倒してくれた御蔭で、26層へと到着できた。絶対に自分達だけでは突破出来なかったであろう事を考えると、ここはとてつもなく怖ろしいダンジョンである。その事を再認識しながら進むエイジ達。



 「あの虫そこまで嫌? 大して強くも無いしすぐに燃えるし、簡単に倒せるけどなぁ……。まあ、誰しも駄目なものはあるみたいだし、仕方がないんだとは思うけどね」


 「すみません。アレに比べればこの層は天国ですよ。居るのは熊ですけど、ゴキと戦う事に比べれば遥かにマシです。カサカサ動くし素早いし、しかもアイツら病原菌を山ほど持ってるんですよ。勘弁してほしいとしか思えません」


 「へー、それは知らなかった。あまり近付かないでおこう。流石に病気の元まみれというのは怖い。あんな虫如きはどうでもいいけど、病気は怖ろしい」


 「まあ、そうなんですけど……」



 何故か伝わらない事に落胆しているが、そんな事はミク達の知った事ではない。この層ではクラッシュベアやグランドベアが登場しているので、魔物としては相当強い部類である。それでもグレーターオーガに比べれば大した強さではない。


 エイジ達は順調に倒しつつ、高値で売れそうな魔物はゲットしていく。血抜きはエイジが【水魔法】でやっている。何度も使ってきたからか、かつてよりは多少大きい水球というか血球が作れるようになったエイジ。上達しているようで何よりだ。


 そんな事を考えつつ、先ほどのボス戦を考える。どう考えても今までと違うことが起きていた。25層という場所でグレータークラスが七体も出てきている、これは今までに無い事だ。前のダンジョンではグレータークレイジーモンキー三体だった。


 猿と虫という違いはあるが、それでも七匹というのはちょっと多い。そのうえ前のダンジョンマスターはクレイジーモンキーが安いと言っていた。その安い魔物でも三体である。にも関わらず、このダンジョンでは七匹だ。これをどう考えるべきか……。


 大量に魔力を使っているだけなら別にいいのだが、何がしかの病気をバラ撒くとかの為にやっているとしたら極めて厄介である。しかもエイジに言われるまでミク達は知らなかったのだ。


 ミクは慌てて全員を呼び止めて【超位清潔アーククリア】を使い、アイテムバッグから<紅の万能薬>を出して飲ませる。これで病気の心配は無くなっただろう。



 「急にどうしたと思ったが、確かに病気を撒き散らす為のボスだったとしたら極めて厄介な事になっていたな。私達が元で蔓延するなどという、碌でもない事になっていたかもしれん。陰湿な事をしてくるものだ」


 「21層からは地図がないからね。25層まで行った奴等は全滅させられたか、それとも毒虫で全滅したのかは分からない。とはいえ、病気とかで攻められると気が付かない可能性はある。こまめに綺麗にすべきだね」



 会話をしつつも着実に敵を倒していく。オーロの攻撃力が高く、非常に役に立っているようだ。ミキが遊撃の位置に着き、シェルとオーロが長柄で左右から攻撃する。なかなかの連携だし、熊系の魔物すら簡単に倒していく。


 元々セリエンテのパーティーでも斧を使っていたらしく、長柄になった事で多少使い勝手は変わったが、上手く先端の槍部分も使えている。シェルの様な薙ぐ使い方は出来ないが、突き刺すだけでも十分だ。


 そうやって魔物を倒しながら進み、30層のボス部屋前まで来た。熊系の魔物ばかり出てきたのでボスもそうじゃないかと思い、気合いと緊張を胸にボス部屋へと踏み込んでいく。出てきたのはグレーターオーク七体だった。


 エイジ達は拍子抜けしてしまったが、それが悪かったのだろう。エイジが三体を抑えるので精一杯だった事もあり、一気に崩されてしまう。最初に【爆音衝撃サウンドショック】を使うも碌に効いておらず、止める事が出来ていない。


 その所為で雪崩れ込んできたグレーターオークに対処できないのだ。その結果、犯される寸前でミク達が叩き潰す事になった。ここまでエイジ達が追い込まれたのは初めてかもしれない。


 ミクはネメアルのナイフで切り裂き、ローネが【天命殺】で始末。ネルは雷撃棒で気絶させ、ヴァルはバルディッシュでえ断ち割った。後はエイジが抑えている連中をどうにかするだけなので頑張ってもらおう。


 エイジが上手く一体だけ通し、残りの二体を抑えている間に倒す。シェルが【穿突】を使い槍を突き刺した隙に、ミキが【岩落とし】を叩きつけて勝利。次の一体をエイジが通す。それにしてもグレータークラスは防御が硬い。


 全員が持っているのは竜鉄製の武器だ。それでもグレータークラスに苦労するのだから、魔物は強いと言わざるを得ない。後は強力なスキルを持つか、それとも強力な筋力を持つかである。


 その辺りを考えつつ、これから強化していくしかないだろう。最後の一体も倒し終えたが、思っている以上にシロウ達が役に立たなかった、なので謝っているが、これはどうしようもない。



 「シロウ達の主体は魔法だからね。とはいえ、グレータークラスになると弱点でもない限りは魔法の効きも悪い。武器だって普通は難しいんだけど、竜鉄製を渡してあるから何とかなってるだけだし」


 「そうですね。シロウ達の場合は威力が上がるスキルじゃなくて、どちらかというと広範囲を薙ぎ払う魔法ですし、期待しているのもそれですから仕方ないでしょう。逆にこっちじゃ広範囲は無理ですからね。数で潰されます」


 「今回はその数だったんだけどな。ミクさん達が居てくれなきゃ全滅してたぜ。とはいえ、ミクさん達が居なきゃGの層で帰ってるけど……」



 ミク達以外が「うんうん」頷いているが、とりあえずスルーし先へと進む。昼食は先ほどのボス部屋前でとっているので問題なし。しかし31層は森の地形だった。その所為で手鏡を頼りに探していくしかない。


 そのうえ「ブンブン」五月蝿いのだ。嫌な予感しかしない。ミクはヴァルに手鏡を渡し、「ブンブン」音がする方に近付いていく。すると案の定デスホーネットが居た。急に殺意が急上昇しているが、よほど先へ進ませたくないらしい。


 ミクは素早くジャブを放ちつつデスホーネットを食べていく。当たる一瞬だけ拳を口に変えて貪り、素早く拳に戻す。まるでジャブで倒しているように見せながらデスホーネットの巣に近付く。


 更に大量のデスホーネットが出てくるものの、ミクは気にせず食べていき、全て食べたら巣をゲットして全員の下へ。そのまま手鏡を参考に歩き続け、赤の魔法陣を見つけたら次の層へと進む。


 現在35層のボス部屋前である。もはやどんなボスが出てくるか不明なうえ、デスホーネットの恐怖でかなり大変な事になっている。エイジ達も何度か襲われたが、ヴァルとエイジの盾で何とか凌いだ。即死毒の恐怖はエイジ達を相当疲弊させたようである。



 「そりゃそうですよ。喰らったら一分程度で死ぬって怖すぎるでしょう。猶予が短すぎますよ、幾らなんでも。この<集目の盾>と貰った<紅の万能薬>で何とか凌ぎましたけどね」


 「デスホーネットの即死毒すら防げる<紅の万能薬>はやっぱり凄い。製法はまるで分かってないし、ダンジョンからしか見つかってないけど。光半神族リョース・アールヴなら知っていると聞いた事があったような……どう?」


 「私に聞かれても分からん。奴等には会った事も無いし、噂でも聞いた事は無い。そもそもネルに会うまで創半神族ドヴェルクにすら会った事は無かったのだ。奴等は別の大陸に居たのかもしれん」



 35層前で雑談をする事で、大分気が紛れたエイジ達。気合いを入れ直し、ボス部屋に入っていくのだった。


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