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0184・王都に着くまでの色々と魔物の強さ




 王都の門前にある列に並んでいたが、それなりに待たされた後で順番が回ってきた。冒険者の登録証を出すとジロジロ見てくるが、ミク達の冒険者ランクが信用出来なかったようだ。


 実は一ヶ月と少し程で、ミク達の冒険者ランクは9まで上がっている。シェルとベルは違うが、既にランク5に上がる試験も突破済みだ。前の星でもそうだったが、何故ランク5刻みで試験があるのだろう? 不思議なものである。


 ロクデナシを弾くのであれば3刻みでも4刻みでも良い筈だ。まあ、おそらくキリがいい数字だから5刻みにしてあるのだろうが、それが結果的に実力の無い者も上に上げる結果になっているのではあるまいか。


 実力を疑われているミク達からすれば、これぐらいの不満は持ってしまうものである。多少待たされたものの、門番は文句を言う事も無く通してくれた。それにしては長時間疑われたが……。


 そんな事を考えつつも宿に行き、二人部屋を三つとったミク達は食堂に行く。夕食には少し早いが王都のなので混むかもしれない、なので早めに酒場に向かう。酒場なのは、何か情報が無いか探る為だ。


 エイジ達にも何度も言っているが、少なくとも西条董二の言っていた事に「見ていた」というのがあった。音まで聞こえていたかはともかく、ダンジョン内の行動は監視されていたのだ。


 更にシェルやベルのように利用されている者も居る。場合によっては王都内ですら誰かが監視しているかもしれない。それを念頭に置くと迂闊な事は喋れないのだ。息苦しいかもしれないが、相手に情報を奪われると不利になる。


 なので、余計な事は喋らない事を鉄則とした。不安はベルだが、駄目な場合は諦めるしかない。誰もが迂闊にポロっと口走る可能性はあるのだから、厳しくしても上手くはいかない。そんな事も全員で共有している。


 そのうえで王都内の情報を調べるなら、やはり酒場が一番良いとなった。食事と酒を注文し、席に座って雑談をする。運ばれてきた酒と肴で一息吐く酒飲み三人。いつもの二人にシェルが加わっただけだ。


 蛇女族ラミアーは猛烈に酒に強い種族らしく、アルコールの分解能力が異常に高いらしい。そして今はミクの肉まで加えられている。もはや酔うものの悪影響は一切無い肉体だ。本人は凄く喜んでいるが、エイジとミキは呆れていた。


 半身鳥ハルピュイアは逆にアルコールに非常に弱い種族だ。一口飲めばあっさり千鳥足になるレベルの弱さで、ミクの肉を加えられても弱さは変わらなかった。ただし悪影響は一切無かったので、シロウとサエは安堵していたが。


 王都に移動するまでの六日間で、関係が少し変わったシロウ達だが悪くはなっていない。単に正妻に拘っていたサエが、それを完全に止めただけである。何故ならシロウと同じくらい自分にも「好き好きー」とベルが言うからだ。


 最初は上手く取り入る為になどと考えていたサエだが、ベルが予想以上に何も考えておらず、想定以上に男女両方愛せる人物だと分かったからだった。困惑していたものの、サエも受け入れる事にしたらしい。今では三人で本当に愛し合っているそうだ。


 ちなみにエイジの方は、重い女性二人からの御奉仕合戦らしい。別に勝敗は決めていないものの、毎回どちらもが納得するまで搾り取っていくそうだ。たまにローネやネルから怒られている事もある二人。エイジは大丈夫だろうか?。



 「まあ、何とか大丈夫です。本当にヤバくなると止めてくれますから。それが良いのかどうかは分かりませんが……」


 「まあ、良くはないだろうが、死なんだけマシと思うしかないな。コイツらだと本当に搾り殺すかもしれんが、その時はコイツらが悪いのだ。諦めるしかないな」


 「まあ、そんな事はどうでもいいとして、明日は情報収集をするから休みね。そろそろ貴方達も自分達だけで出歩けるようにならないと困るし、余程の相手でない限りは大丈夫でしょ? 実力もついたし」


 「幾らパーティーとはいえ、四人でグレーターオーガを倒せたなら十分。実力者に分類される程には強くなってる。私達が教えたのと、貴方達のセンスか才能があったからだと思う」


 「そうだな。戦闘訓練を始めてから一ヶ月ちょっとでグレーターオーガが何とか倒せるレベルだからな。十分強くなっただろう。ま、ここからが一番の難関ではあるのだが……」


 「「「「「「難関?」」」」」」


 「お前達そろってか……。まあ、横に置いておくとして、難関なのはグレータークラスからは相手の強さが跳ね上がっていくからだ。グレータークラスの下位と中位では強さがガラッと変わるのでな、ここから先は誰もが苦労する」


 「そんなに違うんですか……」


 「グレータークラスの上位はグレータークラスの下位を一方的に殺せる。それぐらいに違う」


 「「「「「「「「「「………」」」」」」」」」」


 「そしてその上であるアーククラスは更に桁が違う。アーククラス下位からアーククラス中位の差は、それ以前の全てを超える差だ。つまりアーククラスの下位から中位へは、レッサークラスの下位からグレータークラスの上位より差が広い」


 「「「「「「「「「「………」」」」」」」」」」


 「それがこの世の理なんだから、どうしようもないね。人間種というのが、本当にちっぽけに感じる程の実力だと思えばいいよ。実際に目の前にすれば嫌と言うほど理解するだろうけどね」


 「まあ、そうだな。アーククラスの強さは会えばすぐに分かる。出会ったら全力で逃げろ、いいな? 全力でだ。何でもいい、あらゆるものを駆使して逃げ切れ。必要なら仲間を蹴り飛ばして逃げろ、自分が逃げる為の生贄にするんだ。それが出来なければ死ぬ」


 「「「「「「「「「「………」」」」」」」」」」


 「ローネの言っている事は間違いのない現実。それぐらいアーククラスから逃亡する事は難しい。私もアーククラスから逃げたのは一度や二度じゃないし、生きた心地は毎回しなかった。少なくとも四回は仲間を見捨てた。そうしないと生き残れない」


 「………ふぅ。そこまで何ですか? いや、言ってる事は分かりますし、とんでもないのも分かりますけど」


 「その時点で分かっていない。アーククラスというのは、まごついていたら死ぬ。反射で逃げろ。アーククラスから逃げるというのは、そのレベルなのだ。勘の悪い奴は全員死ぬ。臆病で勘の鋭い奴だけが生き延びるのだ」


 「「「「「「「「「「………」」」」」」」」」」



 何故か酒場が重苦しくなったが、周りで聞いている連中は何故耳を傾けているのだろうか。沈黙してしまうくらいならば笑い飛ばしてしまえばいいと思うのだが、良くも悪くも似た経験があるのかもしれない。


 食事後は雰囲気を悪くしてしまったので、さっさと宿に帰った一行。それぞれの部屋の者達は男を引っ張って行ったので、今日も満足するまでヤるのだろう。それはともかく、ローネとネルはミクとヴァルに聞く。



 「怪しい奴は居たか? 私には居たようには思わなかったが、ミクとヴァルでは違うだろうからな」


 「私の方も怪しい奴が居たようには感じなかった。とはいえ、私はスキルもないけど」


 「スキルの有無じゃ決まらないからねえ。ただ、私の方にも怪しい奴は感じられなかったね。後ろから尾行してくる奴も居なかったし。まだまだ王都に来たばかりだから、目を着けられてないだけかも」


 『俺もそう思う。監視されるとしても、これからだろう。今はゆっくりしていて良いと思うぞ』



 ヴァルがそう言うと、いそいそと用意し始める二人。ミクとヴァルはさっさと二人を満足させ、分体を停止させるのだった。


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