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0180・<人物鑑定の宝玉>




 ミクが外に出てきたと分かると慌てて駆け寄ってきた皆。即座にローネとネルが「服を着ろ」というのでワンピースにスカートとサンダルというラフな格好に着替える。それなりの連中が近くに居て見られたが、相変わらずミクは気にしていない。



 「裸だったという事は<暴食形態>になったんだろうが、あの男はどうなった? おそらくはミクに貪り喰われたのだとは思うが、一応な」


 「最後の40層には見た事もない変な屋敷が建っていて、その前に大量の魔物が居たよ。それで<暴食形態>になって喰い荒らしたんだけど、最後にドラゴンを召喚してくれてさ。いやー久しぶりだったけど美味しかったね。出てきた瞬間、喰ってやったよ」


 「ドラゴンが喰われたんですか……ま、そうですよね。ドラゴンだろうと何だろうと喰われるしかないでしょうし。それはともかくダンジョンマスターの男も喰ったんですよね」


 「心配しなくても魂ごと喰い荒らしたから、復活とか蘇生とかそういうのはあり得ないよ。その後は屋敷の中にあったダンジョンコアを粉砕したら外に出されたんだ。いきなりだったからビックリしたけどね」


 「成る程な。それはともかく、こっちは外に出てから大変だったぞ。蛇女族ラミアーの女はミキと争うし、半身鳥ハルピュイアの女はサエと争うしでな」


 「何故かミキと蛇女族ラミアーの女は分かり合って、サエと半身鳥ハルピュイアの女はサエが正妻で決着したけど。とりあえず二人は女を増やす事に納得したみたいだし、揉め事が起きないなら何でもいい」



 そんな話をしながらフロットン町へと歩いて行く。町の中に入り、そのまま食堂へ。もう夜も近いが、まだギリギリで食堂は開いていた。滑り込みセーフというところだろうか。ミク達は代金を支払って食事を待つとすぐに出てきた。


 ミクが半身鳥ハルピュイアの女性は食べられるのかと思って確認すると、彼女は【風魔法】の【風の手】を使って器用に食事をしていた。それを見て大丈夫だと思ったミクは、いつもの美しい所作で食事を進めていく。


 夕食後、帰り道を歩いている最中にミクの表情が停止する。ローネとネルは直ぐに理解したが、六人は理解出来ず困惑中だ。それでも普通に歩けているので宿まで戻ると、ミクは蛇女族ラミアー半身鳥ハルピュイアの女性に部屋に来るように言った。


 二人は訝しんだものの、仕方なくミクの言う事を聞き、ミク達の部屋に入る。すると、即座にミクの両腕が肉塊と化し二人を包む。元の腕に戻った時には二人は居なくなっていた。



 「おそらく神に呼ばれたのだと思うのだが、いったい何の用でアイツらが呼ばれたのだ?」


 「<蛇の神>と<鳥の神>が来て、私の肉を二人に分けるんだってさ。蛇女族ラミアーの女は下半身の蛇部分。半身鳥ハルピュイアの女は翼の両腕と鳥の下半身部分を私の肉に置き換えるらしいよ」


 「………神は何を考えてるの? その部分を変えるって事はつまり、種族の根源部分を変えるって事。何故神がそれを許す?」


 「変えてしまうんじゃなくて、人間種と同じ形に変えられるようにするって事………ああ、人間種と同じ腕や足にする【スキル】を与えるんだってさ。その大元として私の肉が必要みたい」


 「という事は何か? あの女どもは都合良く蛇の姿や鳥の姿に変われるという事か? 何だその都合の良い変身は。ミクの肉を使うとはいえ卑怯だろう! 反則だぞ!!」


 「知らないよ、そんなの。神どもいわく、これで上手くいくなら順次入れ替えるってさ。腹の中に居る間に弄れば種族を多少変えられるみたいだし、人間種の腕や足に変えられた方が生きやすいだろうってさ」


 「まあ、そうだろうとは思う。でも、他の種族の神が怒って揉めそうな気もしないでもない。そして私達がそれに巻き込まれそうな気が凄くする。というより、ほぼ確定事項?」


 「嫌な事を言うな。何故我々ばかりが巻き込まれねばならんのだ。少しは光半神族リョース・アールヴの奴等を使えばいい。我々……というか、ミクが居るからか……」



 ローネがガックリしているが、ミクは無視して39層で手に入れた宝玉を<鑑定板>で鑑定する。何となくはそうじゃないかと思っていたが、予想が大当たりしていた。



 ■■■■■■■■■■■■■■■



 <人物鑑定の宝玉・一級>


 三種ある人物鑑定の宝玉でも最も良い物。かつては一種類しかなかったが、とある存在を表示する為、神が新しく作り出した。それ故に三種類となった物の一つ。あらゆる人物の能力を鑑定できる。ダンジョン産



 ■■■■■■■■■■■■■■■



 「………ミクが表示出来なかったからといって、わざわざ々ここまでするか? 神々も何を考えていらっしゃるのやら」



 そんな事を言っている横で、ミクは自分を鑑定してみた。すると、またもや微妙な鑑定結果となる。良いか悪いかは別にして、これで良いかという気持ちも湧いてきたのだった。



 ■■■■■■■■■■■■■■■



 <喰らう者>


 種族・喰らう者

 性別・無し

 年齢・無し

 【スキル】・大量のため表示不能

 【加護】・神々の加護



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 <使い魔>


 種族・使い魔

 性別・無し

 年齢・無し

 【スキル】・大量のため表示不能

 【加護】・神々の加護



 ■■■■■■■■■■■■■■■



 「ミクとヴァルは鑑定内容が殆ど変わらんな。私の鑑定結果も見ているが、あの城で見た時と同じだ。………ネルもどうやら変わらんようだな。となると、元々の物は一段落ちる物で、それより上と下を神々が作られたという事かもしれん」


 「成る程。これが一級だから元々の物は二級。そして簡易版の三級を作られた。……という事は、神々は<人物鑑定の宝玉>を広めたい? 妙なスキルが蔓延するのを防ぐか、もしくはスキルに対する風評を防ぐ為かもしれない」


 「簡単に調べられるなら、スキルの事もより詳しく分かるか。もしくはこの星の連中同士で監視させ合う為かもしれんな。神々はこの星を見捨てているし、互いに疑心暗鬼ぐらいで丁度良いのかもしれん。この星は」


 「ああ、それはあるかも。……っと、こんな話をしている場合じゃない。そろそろ始めないと、私達も明日の朝が大変になる」


 「そうだな。早く準備をして始めなければ」



 ローネとネルは急いで準備を始めたが、明日が大変なら素直に寝ればいいと思うミクとヴァル。面倒になった二人は触手と媚薬のコンボで撃沈させるのだった。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 明けて翌日。朝早くに起動したミクは蛇女族ラミアーの女性と、半身鳥ハルピュイアの女性を転移させた。二人は本体空間で爆睡していたが、そろそろこちらに連れて来ていないといけない。


 その為に出したのだが、未だ眠ったままだった。ちなみに服装は、二人ともズボンを履いている。足を出していても細かな怪我をするだけだから当たり前なのだが、慣れていないからか足を触りながら寝ていた。


 別の気配がしたからだろうローネとネルが起きたが、一目見てどうでもいいと思ったのか無視してまた寝る。これ以上寝られても困るので起こし、未だ寝ている床の二人も叩き起こす。


 その後は宿の玄関で合流し、食堂に行って朝食を注文する。蛇女族ラミアーの女性の下半身と、半身鳥ハルピュイアの女性の両腕と下半身が普通の人間になっているからだろう。四人が凄く驚いている。


 とりあえず「後で説明する」と言い、運ばれてきた食事を食べるミクだった。


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