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0167・四人のダンジョンデビュー




 酒場での食事を終えて宿へと戻る。特に問題無く追跡しているが、スラムに駆け込んだっぽいまま動かない。そんな事をローネとネルに話しつつ、二人の相手をしていく。ヴァルと一緒に挟んで撃沈し、綺麗にしたらヴァルに後を頼む。


 百足姿で外に出たミクは、追跡しているヤツの下に近付いていくも突然反応が消えた。慌てて素早く移動すると、部屋の中で頭から血を流して死んでいる。傍らには妙な男が居て懐を探っているので、麻痺させてから尋問を始めた。


 すると、殺された男が拳を潰されたと聞いたので、今までの恨みも含めて殺して奪う事に決めたらしい。つまり恨みからの犯行だった。スラムの組織の下っ端だったので、組織の話も聞き出してから喰らい、裏組織のアジトへ移動する。


 そこでも麻痺させつつ貪り喰って、尋問してから喰い殺す。久しぶりにクズどもの肉を貪っていると、妙な反応が真っ直ぐミクの下に来るので慌てて百足になって隙間に隠れる。喰う時には<暴食形態>になっていたのだ。



 「……おかしい。ここに確かに何者かの反応があった筈だぞ? 結構な早さで生命反応が消えていくから調べに来たが、いったいどういう事だ? ……本当に何もおらんな。後は……虫の反応ぐらいか。そんなものは山ほど在るしな」



 そう言って、骨太で背が低い男は去って行った。おそらくアレがこの町の創半神族ドヴェルクだろう。生命反応が減ったと言っていた以上は、ほぼ間違いなく【生命探知】を持つ筈だ。長く生きているんだろうし厄介な事だ。


 この町での動き難さを感じつつ、それでも貪る事は止めずにその後も喰い荒らしたミク。何度か創半神族ドヴェルクの男が近付いてきたものの、全てをかわして宿に戻る。そもそも犯罪者を喰ってるだけなのに、何故いちいちミクを探すのか?。


 宿の部屋に戻ってからヴァルと話すも結論は当然出ず、面倒になって思考を止めて分体を停止するのだった。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 明けて翌日。食堂で朝食を食べたミク達は、冒険者ギルドへ行きダンジョンの事を調べる。すると纏めた冊子を売っていた場所があったが、現在は取り扱っていないようだ。ダンジョン内の地形など、色々変わった為に役に立たなくなったらしい。


 そういえば町の門番がそんな事を言っていたなと思い出した一行は、事前情報なしで入ってみる事にして向かう。浅い層なら四人が居ても大丈夫だろうし、流石に死ぬような目には遭わないだろうと思いダンジョンへと移動。


 魔法陣の前の列に並び、順番が来たら中に入る。1層目は石壁迷宮で、早速ウロウロさせられているのか、先へと進めずにボヤいている冒険者が居た。そいつらをスルーして歩きだし、四人にダンジョンの基本を教える。


 周囲に気を配る事、特にミキは【気配察知】を持つので警戒する事。サエも【罠察知】を持つので使えるようになる事など、様々な情報を混ぜつつ四人で攻略する場合のやり方も教えていく。


 今はまだ四人だけでは入らせないが、いつかは自分達だけでダンジョンに入って稼がなければいけない時が来る。その為にも覚えておくべき事を何度も何度も教えつつ戦わせていく。レッサーゴブリン程度だが、閉所での戦いも経験しておくべき事だ。


 それなりにウロウロしていると、次の層への赤い魔法陣を発見した。どうやらこの星のダンジョンも根本的な部分は何も変わらないらしい。もしかしたら、この世界では殆ど変わらないのかもしれないと思うミクだった。


 そんな魔法陣を見せつつ、四人に青い魔法陣の話もしていく。



 「赤い魔法陣は次の層へ進む魔法陣。青い魔法陣は脱出の魔法陣。そうやって覚えておくといい。ここ、最初の1層目は同じ場所だけど、2層目からはランダムな場所に転移させられるから。いつも同じ場所じゃないよ」


 「「えっ!?」」


 「すぐに気付いたのはエイジとシロウだけか。お前達は創作物とやらで知っていたのかもしれんが、ランダムな場所に転移させられるという事は、同じ攻略法は通用せんという事だ。それと地図が重要になってくる」


 「そもそもパーティー単位で攻略する場合、誰か一人がマッパーの役をやらなくちゃいけない。たとえ地図を買っても、自分達に分かりやすい目印などは地図に書いておかないと困る。目印が無いと現在地の把握が難しい」


 「「あ~……」」


 「現実のダンジョンは思っている以上に凶悪だ。いや、もともと凶悪なんだけど、俺達がゲーム的に考えすぎなんだろうなぁ。迂闊な事をすると死ぬんだっていう自覚が足りないな。何度目だよ、コレを思うの……」


 「本当にな。思っている以上に毒されてるぞ、オレ達。やり直しなんて出来ない1回限りの事なんだ、慎重で臆病なくらいで丁度良いんだろうな」



 緊張している四人を連れて2層へと進む。再び石壁迷宮ではあるものの、そこまで苦労はしない。1層目もそうだったが、人が消えた場所を探せばそこに魔法陣はある。赤か青かは定かではないが。


 そして2層目に来て少ししてから、人が消えた場所を発見している。その事を伝えると四人も納得した。人の気配の場合は死亡などの可能性も加わるが、ミクの場合は五種の感知系を使っている。よって【気配察知】より正確に分かるのだ。


 石壁迷宮の層を順調にクリアし5層目に到達した時、地形が変化した。次は開けた草原らしい。ただし、ブル系とボーア系の魔物が多い。どうやらダンジョンマスターは侵入者を轢き殺したいようだ。



 「牛と猪かー。どう考えても俺達を轢き殺そうとしてるじゃん。あんなのどうやって戦えばいいんだよ。標的にされたら延々と突進してくるんだろ? 正直に言って性格悪いとしか思えないぞ、これを考えた奴」


 「ダンジョンマスターの性格がいい訳ないだろ? きっと陰湿な奴なんだろうよ。そう簡単に先に進めないぞ、突進ばっかりしてくるなんてよ」


 「ここで役に立つのはサエだな。矢を射って一頭ずつおびき出せばいい。そしてエイジが前に立ち、当たる前に回避するか全力で防げ。そうしたら、ミキかシロウが足を攻撃だ。四つ足の魔物は、足さえ止めれば然して強くはない」



 その言葉を聞き、エイジが防ぐ事を選択する。カイトシールドを前面に出し、両手を使って全力で防ぐ。足を止めさせすれば、十分に勝機はある。そう判断したらしい。ミキは不安そうな顔をしているが、エイジが説得して準備を始める。


 一番前にエイジ。右後ろにミキが居て、左後ろにシロウが居る。サエは一番後ろで指示を出す。いつもの形と言えばそうだが、足を素早く狙うという難しい作戦だ。


 足というのはそこまで大きくなく狙い難い。もちろん胴体と比べてなのだが、魔物の足を狙い十分なダメージを与えて使えなくする。それが簡単に出来るかと言えば、そんなに簡単な事でもない。


 周囲では似たような戦いをしている冒険者がいるが、彼らは経験のある者達だ。四人のように素人に毛の生えたような存在ではない。とはいえ、四人にとっては避けられない試練のようなものだ。


 緊張しつつもエイジが合図を出しサエが矢を射ると、その矢は綺麗にランニングブルの胴体に直撃した。途端にエイジ達の方を向いて睨みつけ。足で地面を掻きながら赤くなっていく皮膚。


 そして四肢に力を篭めたかと思うと一気に突っ込んできた。両手でカイトシールドを持ち、踏ん張って全力で迎え撃つエイジ。両者が激突し、「ガァンッ!!」という音が鳴る。


 結果を見届けずに素早く動くミキとシロウ。果たして上手くいったのだろうか?。


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