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0143・冒険者登録と装備




 ディロウ町が見えてきたので、高校生以外の面々はそれぞれ町に入って行く。彼らには既に言い含めてあり、それは愚かな事や腐った事をすれば、例外無く殺すという事だ。そもそもだが、その為にミク達は召喚されている。


 彼らに対して伝えたのだが、抑止効果は期待していない。所詮、人間種は欲に溺れるものである。そんな事はよく知っているが故に、ミク達は殺す事になるだろうと思いつつ見送った。そして高校生四人に対してハッキリと言う。



 「残念ながら貴女達は捨て置く事が出来ない。どこから複製されたかは知らないけど、貴女達は知識を持ち過ぎている。その知識をバラ撒かれると更に狂った事になりかねない。なので、私達は貴女達を監視する事にした」


 「「「「えっ!?」」」」


 「当然だろう。お前達の知識は、この星の常識と照らし合わせても進み過ぎだ。お前達にとっては普通でも、この星の者どもにとっては普通ではない。むしろ、あの城の者どもに知識を奪われずに済んで良かったわ。碌な事にならん」


 「何でもそうだけど、新しいものが生まれる時には知識が前提になる。貴女達が良かれと思って撒き散らした知識が、遠い未来に大量虐殺兵器になる事もあり得る。その覚悟を持ってほしい。でないと、私達が殺す事になる。過ぎたる知識は星を滅ぼす」


 「「「「………」」」」


 「ま、そういう事だから諦めてよ。流石にね、見過ごす事は出来ないんだ。神どもからも命じられてるしね。容赦無く殺せって。この星はさ、魔力が豊富で半特異点になってるらしいんだ。だから何が起こるか分からないし、神どもはとっくに見捨ててる」


 「そんな星に私達は飛ばされてきた訳だ。ゴミどもの処分という仕事を与えられてな。神の子と言えば聞こえは良いが、実際には都合の良い駒だよ。仕方がないのだがな」


 「それもあるけど、貴女達は騎士を殺した時に吐いていた。おそらく平和な星から来たんだろうけど、それではすぐに死ぬ。私達が少なくとも生きていけるようにしてやる必要もある。それは分かってるよね?」


 「「「「はい……」」」」


 「どんな所だって言いたくなるけど、とりあえず宿に行こうか。宿の泊まり方くらい分かるよね? それと無駄なお金は使わないように。お金って簡単に無くなるからさ。後は……冒険者ギルドがこの星にもあるって聞いてるから、登録だけはしておかないとね」


 「「冒険者!」」



 男子二人は冒険者と聞いてテンションが上がっているが、まともに戦えるのだろうか? そんな事を考えながらも宿に行き、三軒目でようやく部屋がとれた。安い部屋が多いが気にしたら負けだ。


 ミク達は三人部屋をとり、高校生は二人部屋が二つだ。当然ながら”男女”で一部屋ずつとなっている。紗枝と四郎は恋人同士で問題無いのだが、影二と美輝は……と思っていたら、美輝の方が乗り気で影二はタジタジであった。


 そんな事がありつつも、その後は冒険者ギルドへ行く。扉を開け「カラン、カラーン」という音が鳴ると、影二と四郎はガッカリしていた。何でも創作の中の冒険者ギルドはスイングドアとかいう物らしい。


 それを聞いたミクが「それだと寒い時季に困るでしょ?」と言ったら、何も言えなくなっていた。イメージというのは分からないくもないが、冬にどうするんだと言われれば返す言葉が無いのだろう。


 中に入って真っ直ぐの受付嬢に登録を頼むと、銀貨一枚と言われたのでミクが金貨を出す。高校生達は自分で払うと言ったが、ミクは気にしなくていいと言って取り合わない。


 自分の名前や年齢などを書いて渡すと、受付嬢はそれを持って裏に行った。一息吐いたのか、影二と四郎が話を始める。



 「ゲームとかだと名前とかだけじゃなく所持スキルとか出るけど、現実にはそんな事は無いんだな? 何でだろう?」


 「いや、そんな事したら対策とられてメタ装備で殺されるじゃん。誰でもそうだけど、現実なら殺されないようにするんじゃないかな? ………どうなんです?」


 「うん? 影二の言う通りだろうね。前の星でも出す奴なんて居ないし、何だったら冒険者ギルドには秘匿義務があったくらいだよ。貴族関係でも突っぱねる事があるぐらいだし……ここは知らないけどね」


 「ここがどうかは別にして、お前達も所持スキルは誰にも喋るなよ。仲間内でも言うな。どんなスキルを持っているかと、何が出来るかは同じじゃないがな。せめて何が出来るかという程度に留めて置け」


 「流石は<首狩ローネ>、アドバイスも的確。まあ、そこは冗談として、私達のような物作りをする者も同じ。知られると囲われて碌な事にならない。特に物作りは、お金儲けに直結するから凄く危険」


 「「「「あ~……」」」」



 登録証が出来たらしいので受け取り、木の板だった事にガッカリしている男二人。それを放っておき、ギルドを出たミク達は武具を見に行く。最初から良い物を持たせても上手くはならないので、自分達のお金で買わせる。


 武具店に着いて早速見て行くが、美輝と紗枝は既に決まっているので考える必要は無い。この四人の鑑定結果はこうだ。



 ■■■■■■■■■■■■■■■



 <星川ほしかわ 美輝みき


 種族・人間族

 性別・女

 年齢・18

 【スキル】・勇剣術・覇気・気配察知・精神耐性



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 <御堂みどう 紗枝さえ


 種族・人間族

 性別・女

 年齢・18

 【スキル】・弓術・魔力察知・罠察知・治癒魔法・精神耐性



 ■■■■■■■■■■■■■■■



 <暗持くらもち 影二えいじ


 種族・人間族

 性別・男

 年齢・18

 【スキル】・超速回復・挺身・頑強・精神耐性



 ■■■■■■■■■■■■■■■



 <夏目なつめ 四郎しろう


 種族・人間族

 性別・男

 年齢・18

 【スキル】・集中力・風魔法・土魔法・音魔法・光魔法・精神耐性



 ■■■■■■■■■■■■■■■



 紗枝と四郎に特筆する【スキル】は無いが、十二分に戦っていけるだけの力はある。この四人は特にバランスが良い。紗枝の弓と影二の盾にはお金が掛かるだろうが、後は弱点など無いバランス型だ。


 とはいえ、バランス型には強みが無いものだ。そこは美輝の【勇剣術】に期待するしかないだろう。そんな中、影二と四郎が何やら探しているようだ。



 「どうしたの? 何か探しているようだけど」


 「あっ、ミクさん。あのですね、魔法を使うのに補助してくれる杖を探しているんですよ。自分としてはスタッフ系が良いんじゃないかと思うんですよね。アリー・ポッテーのロッドは魔法使いっぽくないですし」


 「??? ……お前が何を言っているのか分からんが、魔法を補助する杖など無いぞ? お前達の言う創作話にはあるのかもしれんが、現実にそんなものは無い。魔法が上手くなりたければ、ひたすら練習しろ」


 「「………」」



 何故か二人が打ちひしがれているが、そろそろ自分達は現実を生きているのだと自覚してもらいたいところだ。それよりも、女性陣は続々と買い物を済ませているのに、何故男どもは何も買っていないのだろうか。



 「あっ! えーっとですね。俺はいったい何の武器を持てば良いのでしょう? 自分の持つ【スキル】から盾を持つのは分かるんですけど、武器に関しては何も……」


 「影二はまず痩せるべき、それが先。後、見た感じ不器用だから、先が球のメイスが良い。あれならどこが当たってもダメージは与えられる。下手な者が武器を振り回しても意味なんて無い。むしろ邪魔」


 「辛辣ぅ! でもま、事実ですね。大人しく使いやすい武器にしようっと」


 「えっと、オレは……」


 「魔法を使うなら牽制しやすい槍が良い。もしくは棒。とにかく魔法を使う為の時間を稼げればいい。魔法を使える奴が傷付くとパーティーメンバーが困る。もちろん戦えないのは論外だけど」


 「槍ですね。まあ、戦国時代だって使われてたんだし、リーチが長い方が有利だよな。そう考えると影二は大変だなぁ」


 「それを言わないでくれ、色々折り合い付けるの大変なんだからさー」


 「すまん、すまん」



 それなりの値段がしたようだが、四人とも武器防具を買えたようだ。今日は昼食を食べた後、町の外に出て戦闘訓練という名の扱きが始まる。


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