0141・ミク達の鑑定結果と脱出
周りの連中がミク達に宝珠に触れるように促してくるので、已む無く近付く。まずはミクが触れようとしたのだが、それより先にローネが近付き触れてしまう。何があってもミクの方が安全なのだが……。
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<ローネレリア・エッサドシア・クムリスティアル・デック・アールヴ>
種族・闇半神族
性別・女
年齢・1279
【スキル】・闇ノ香・短剣術・暗殺術・投擲術・回避術・歩術・闇神術・天命殺・気配察知・魔力察知・罠察知
【加護】・闇の神の神子
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「「「「「「「「「「!!!」」」」」」」」」」
「本物のチートキターーーーーッ!!!」
デブの青年こと影二だけはおかしな驚き方をしているが、それ以外の者達はあまりの驚きに言葉が無いようだ。そんな中、次に宝珠に手を置いたのはネルだった。
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<ネルディリア・アトモスト・ヴァイヘルム・ドヴェルク>
種族・創半神族
性別・女
年齢・982
【スキル】・創造の眼・短槍術・棍棒術・回避術・頑健・創神術・鍛冶・木工・縫製・魔道具・魔装具・料理・酒造
【加護】・創造神の神子
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「「「「「「「「「「おぉーーーっ!!!!」」」」」」」」」」
「チート二人目キターーーーーッ!!!」
やはり影二の驚き方だけがおかしい。そのおかしな驚き方が徐々に面白くなってきたミクが最後に宝珠に触れる。そこにはローネとネルが予想した通りの答えがあった。
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<不明>
種族・不明
性別・不明
年齢・不明
【スキル】・不明
【加護】・不明
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「「「「「「「「「「………」」」」」」」」」」
「不明って……もしかして超絶チートぉ!?」
やっぱりおかしい影二はさておき、この結果には周りの者が不審がった。どうもこの星では<人物鑑定の宝珠>で鑑定出来なかった事は今まで無く、そんな事は何処の記録を探しても無いそうだ。
「そんな事は知らないし興味も無いけど、私はそっちの言う事をいちいち聞いてやる義理も無いから出て行かせてもらうよ。そもそも召喚だか何だか知らないけど勝手に呼び出しておいて、私達が黙って従うとか思ってないよね?」
「おっと。それ以上動かないでもらいましょうか。何の為に周りに騎士が居て武器を持っているか分かりませんかな? 召喚された者は武器を持っていないのですよ。そしてここには近衛の魔法兵も居る。後は説明する必要もあるまい?」
何故か急に上から目線になったが、近衛騎士団長とはアホでもなれるらしい。背後に居る王が烈火の如く怒り狂った目を向けているのだが、欠片も気付いて無いし教えてやらないようだ。
「何をバカな事を言っているのか知らないけど、それは私達に敵対するという事でいいね?」
「敵対も何も、お前達は既にこちらの言う事を聞くしかない。そんな事も分からんとはな。まあ、お前は役に立たんみたいだから、兵の穴として使われていればいい。それぐらいの役に」
『それ以上囀るな、ゴミめ……。主を侮辱する者は俺が許さんぞ』
「超絶イケメンキターーッ!!!」
近衛騎士団長をバルディッシュで真っ二つにしたヴァルが登場すると、すぐに影二が反応する。しかし、何でこうも影二は五月蝿いのだろうか? ラノベを読んでいる気分なのかもしれないが、せっかくヴァルが出てきて決めたというのに台無しである。
しかし近衛の騎士は素早く動き始めた。とはいえ、ヴァルはアイテムバッグから三人に武器を投げて渡す。ミクには巨人の剣、ローネには竜鉄の短剣、ネルには雷撃棒を渡し戦闘準備は完了。後は倒すだけである。
ミクは凄まじいパワーで振り下ろし、床に剣が叩きつけられると爆発音のような音が響き渡る。受けた騎士は剣や鎧ごと潰された。ローネは騎士の攻撃をフラフラ回避しながら首を切り裂いていく。速く動いている様には見えないが捉えられない。
ネルは雷撃棒を敵に当てると一気に電撃を流して肉を焦がしてしまう。後には煙を噴いて倒れる死体があるだけだ。ヴァルは素早くコンパクトにバルディッシュを振り、騎士を綺麗に殺害していく。
四人の圧倒的な暴力の前に五分も保たず、近衛騎士達は皆殺しにされた。ミク達は愚か者の殺害を命じられている為、最初から一切容赦などしない。そんな中、影二達は死体を見たからか吐いている。
「で、他に死にたいのは居る? 私達はね、お前達みたいなクズに召喚されるって最初から知ってたんだよ。その私達が何の対策もしていない訳がないでしょ。バカバカしい」
「なっ!? そんな事は不可能だ! この召喚陣は複製を召喚するだけ。複製された本人は自身が複製された事すら知らない筈だぞ! 出鱈目を申すな! 我が国には神のお言葉が正しく伝わっておるわ!!」
「ならば、その神がそちらの美女を送り込んだのではないのか? 神が居るかどうかなど知らないが、居るのであれば可能だろう。何より、そちらのお二人は神の子と出ていた」
「「「「「「「「「「!!!」」」」」」」」」」
どうやら星川美輝に指摘されてようやく気付いたらしい。そもそも神の子を都合良く利用しようとなどすれば、始末されるに決まっているのだ。それを考えれば簡単に答えが出る事である。
「ここで皆殺しにされるか、私達に慰謝料払って解放するか。どっちでも好きな方を選びなよ。それと……貴女達の中で一緒に行きたい者がいるなら、途中までは一緒に行ってあげる。ああ、この国に使われるのも自由だから、そこは好きにしていいよ」
そう言われて国に使われる事を望む者など居ない。という事で、皆に金貨30枚ずつ渡された。前の惑星と貨幣価値は殆ど同じだったので感覚的には非常に楽である。18歳の高校生? という若い子達は苦労していたが……。
そのまま悠々と出て行くミク達。城の者達は苦虫を噛み潰した顔をしているが、彼らは気付いていない。二度と召喚が出来ないという事を。それに気付いた時、どのような顔をするか見られないのは残念だと思うミク達だった。
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どうもこちらは朝の早い時間らしく、人通りは多くて活気がある。そんな国の王都を真っ直ぐ歩きつつミク達は出て行く。王都の平民に多少聞いたところ、ここから南にディロウ町があり、そこから東西南に街道があるそうだ。
まずはその町まで行こうとなり、召喚者全員で歩いて行く。積極的にミク達に話し掛けてくる女性がおり、彼女の名は<御堂 紗枝>と言うそうだ。何でもヤマト皇国という所の国民らしい。
星川美輝の親友が御堂紗枝であり、もう一人の男子高校生である<夏目 四郎>の彼女だそうだ。で、その四郎の親友が影二らしい。四郎は明るく影二は暗いが、不思議にお互い親友なんだと言っている。
二人は馬が合うらしく、お互い気兼ねなく話せる間柄なんだそうだ。ちなみに女子高生二人は影二に対し微妙に引いている。汗臭そうなのが理由らしい。言われても平然としている影二は、ある意味で凄い奴である。
本人は体力が無いのか「ひー、ひー」言いながらついてきている。見た目通り太り過ぎが原因だろう。




