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0102・山賊と冒険者と商会




 「おい! 見つかったか!? ………そっちも駄目か。……クソッ! 冒険者のゴミどもめっ!! 奴等のやった事が俺達の所為にされてるじゃねえか。その所為で碌に商人を襲えやしねえ!」


 「って事はそっちにも居なかったんだな。クソーッ! クズ冒険者どもめ! 山賊の俺達が言う事じゃねえが、派手にやりやがって。ここ最近、碌に仕事が出来てやしねえ。かろうじて下っ端に魔物を売らせちゃいるが……」


 「まるで俺達が冒険者で、アイツらが山賊だぜ。このままじゃレットン商会の旦那からの差し入れが打ち切られるかもしれねえ。こっちからも情報は送っちゃあいるが、向こうも俺達と繋がってるなんてバレたらマズいだろうからな」


 「レットン商会は裏で魔石を捌いてたからな。俺達はその代わりに食料や酒を貰ってたし。クソッ、それにしてもバカな冒険者どもが同じ冒険者まで襲いやがって! それも俺達の所為になってるじゃねえか!!」


 「俺達は人攫いとかはしねえからなあ。それだけはしちゃあいけねえってのに、冒険者の癖に犯罪ばっかりしやがって……!」



 どうやら山賊の裏にはレットン商会があり、そいつらがバックアップをしているようだ。それはいいのだが、冒険者が山賊の真似事をしており、それを山賊が批判する。なんだか面白い事態になっていると思うミクだった。


 そんな事を考えていると山賊の仲間が来て、どうも問題の冒険者を見つけたらしい事を報せてきた。山賊連中はその話を聞いた途端、走って知らされた場所へと駆けていく。すると、そこでは冒険者が待ち構えていた。



 「なっ!? どういう事だ。……まさか、テメェ!! 裏切りやがったな!!」


 「金にもならねえ、そのうえ相手の方が強いってなったら仕方ねえだろ。オレだって死にたくねえしな。恨むんなら頭ぁ恨んでくれや。おぐっ!?」


 「ヒャハハハハ! バカじゃねえの? テメェらまとめてココで死ぬに決まってるじゃねえかよー。そんな事も分かんねえから、簡単に死んじまうんだぜぇ? おら、ヤっちまうぞ!!」


 「「「「「「「「「おうっ!!!」」」」」」」」」



 何故か目の前で山賊VS冒険者が始まったが、ミクはお構いなく麻痺毒を散布する。あっと言う間に双方がマヒしたので、最後に感知系のスキル五種で確認したところ、隠れている者などは居ない事が分かった。


 なので素早く百足姿で近付いたミクは、脳を操って聞き出していく。すると、この冒険者どもはレットン商会と関わりのある連中だった。その商会はそろそろ露見しそうだという事で、その前に山賊に罪を押し付けて荒稼ぎしようとしたらしい。


 その後、十分稼いだら山賊を殺して賞金も得る。そういう筋書きだったそうだ。聞いている山賊が麻痺しながら激怒している。今度は麻痺している山賊の脳を操りアジトの場所を話させる。この情報に麻痺しながら喜ぶ冒険者。


 最後にミクは百足姿から暴食形態に変化し、この場に居た全員を喰い荒らす。大量の口に咀嚼され飲み込まれた山賊と冒険者は、2分と掛からず喰い尽くされた。


 殺された者達の持っていた物は肉を通して転送しているので、百足姿に戻って今度はアジトへと移動するミク。残っている連中は多くないが、山賊の親分は未だにアジトに居るらしい。


 聞いていた場所に行くと、遠くからは見えないような場所に小屋があった。谷のようになっている場所であり、周囲からは殆ど見えない。よくこんな場所を探し出したものである。


 百足姿のまま突入すると、中に居たのは山賊のボスらしき無精髭のスキンヘッドと薄汚れた連中が10人程いた。彼らは顔を付き合わせて話しているが、この小屋は隙間だらけなので簡単に聞く事が出来る。



 「レットン商会の馬車が来てねえだと? ……まさか奴等、裏切りやがったんじゃねえだろうな!? ここ最近おかしな冒険者が暴れてやがるが、それも奴等の差し金かもしれねえ。一旦小屋を離れるか?」


 「その方がいいんじゃないですかい? 流石に食料が心許なくなってきてます。今が撤退の丁度良い時期でしょうや。でないとメシも喰わずに山を下りる事になりますぜ」


 「チッ! 仕方ねえ。アイツらが戻ってきたら移動だ。いつものアジトに一旦帰るぞ。今回は碌に儲かってねえが、まだまだ蓄えはある。レットンの連中には全て渡してねえからな。情報を集めた後、必要ならブッ潰してやる」



 成る程。山賊は山賊で騙されているだけではなかったようだ。それでも彼らの命はココで潰える事に変わりはない。ミクは麻痺毒を散布し山賊を麻痺させていく。しかし、山賊のボスはすぐに小屋を脱出した。



 「クソッ! どうなってやがる!? 急に【危険予知】に特大の反応が出たぞ!! ……いったい何処に敵がいやがるっていうんだ!?」



 まさかミクの麻痺毒に反応する者が居るとは思わなかったが、濃縮された麻痺毒は強く反応するのかもしれない。それに【危険予知】というスキルは非常にレアなスキルだ。さしものミクも完全に想定外であった。


 今のまま出れば流石に百足でも怪しまれるだろう。困ったミクは仕方なくデスホーネットの姿で山賊のボスに近付いていく。



 「あぁ? 蜂の魔物だぁ? ………ポイズンワスプか? しかし、その程度で【危険予知】があんなに反応するっつうのはおかしいぞ。コイツ、ただのポイズンワスプじゃねえな」



 山賊のボスは魔力を練ると魔法を使ってきた。【風魔法】の【強風】ではあったが、上から下への風だったのでミクを叩き落そうと思ったのだろう。ミクは下へとズレながら山賊のボスに近付いていく。



 「チッ! 魔法だけじゃ叩き落せねえか。こうなったガッ!?」



 突然高速で接近したミクは、針で麻痺毒を注入する。あっと言う間に倒れるボス。ミクは空中に蜂の姿で居たが、すぐにグランドベアの姿になり噛んで引き摺っていく。


 小屋の中に入ったミクは他の麻痺している連中と並べ、一人一人に触手を使って喋らせていく。その結果、この中にもレットン商会の回し者が居て、山賊を嵌めようとしていた事が判明。


 もう一つの隠れ家の何処に金を貯め込んでいるのかを調べていた。どうやら隠した物の場所はボスしか知らなかったらしく、ボスが麻痺しながら怒り狂っている。ミクにとってはどうでもいいので無視して次へ。


 どんどんと喋らせていき、ボス以外は全て情報を吐かせた。終わったのでグランドベアの姿のまま山賊どもを喰らっていく。持っている物や服を脱がせたら喰らっていき、ボス以外を喰い終わると何かが聞こえた。



 「お……は…れだ。……じゃ………ろ、……へん……しい」



 どうやらボスが喋っているらしいが、呼吸ぐらいしか出来ない癖に気になってしょうがないらしい。仕方なくミクはグランドベアの姿から女性形態に変化する。その変わりように目を剥く山賊のボス。


 流石に想像の埒外らちがいだったらしく、さっきまで必死に喋っていたが何も言わなくなっている。呼吸音しか聞こえないが、どうやら色々考えているらしい。ミクは一切気にする事なく体から触手を出し、ボスの頭に付け脳を操った。



 「お前は山賊のボスだね? 何故山賊のボスでしかないお前が、【危険予知】なんてレアなスキルを持っているの?」


 「俺が山賊のボスで間違いない。俺はガキの頃に実験施設に連れて行かれ、色々薬を打たれたり体を弄くられたりした。そこには何百人ものガキが居たが、俺達一部の者は強力なスキルを手に入れた」


 「そんな事がねぇ………。で、それはどこ?」


 「王都の近くだったがもう無い。俺達が叛逆してぶっ潰した。以降は俺以外の奴がどうなったかは知らない。俺はその時のどさくさ紛れに逃げたからな。それからは偶にそれっぽい噂を聞くぐらいだ」



 どうやら魔導国も神聖国と変わらず、それなりの事をやらかしている国らしい。


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