0099・様々な物の鑑定結果
「う…む……これは何とも言えぬのだが、いったい何処で手に入れたのかな?」
「王国でドラゴン討伐に参加したんだけど、その時ドラゴン戦に乱入してきた奴等が持ってたものだよ。私達がドラゴンと戦おうと思ったら後ろから入ってきてさ。こっちを襲ってきたんだ」
「………成る程。それと鑑定結果には”あの名前”で出てこぬという事は、所持者が何と呼ぶかで変わるのであろうな。そもそも最初に手に入った時には<光の魔剣>とでも出ていたのであろう」
「ああ、そういう事ですか。つまりミク殿が<魔剣ブレインホワイト>だと思っていらっしゃるという事ですね。しかし”ブレインホワイト”ですか………。よく皮肉が効いていると思います」
「うむ、ワシもそう思う。あそこは<幸福薬>を使うロクデナシの国だからな。国家でなければ周辺国と協力して駆逐しておるわ。アレらは国家国民を何とも思うておらん。国王も何をしておるのか知らぬが、<神聖教>に好き放題されておる」
「あそこの王は<神聖教>の操り人形だよ。王族にも貴族にも<幸福薬>が使われてるし、歴代の王妃や側妃は代々<神聖教>の慰みものなんだってさ。神聖国に潜入した裏稼業の男がそう話してたよ」
「「「「「「「………」」」」」」」
そこまでだったとは知らなかったのだろう。室内に居るミクとヴァル以外の全員が唖然としている。まさか王侯貴族まで都合の良い操り人形にしているなど、もはや国家の体を為していない。
王族や貴族なら当たり前に理解できる答えだ。そんな時、部屋のドアがノックされて入ってきた者がミクの前に盆を置いた。その上には金貨20枚が積まれていたので聞くと、第一王女の呪いを解いた謝礼らしい。なので頂いてアイテムバッグに仕舞う。
先ほどの話が衝撃的すぎたのだろう、一旦忘れる事にした王は、ミクに対して他にも鑑定する物はないかと聞いてきた。国家として頭の痛い情報だとは思うが、王がそれでいいのだろうか?。
そう思うも面白そうなので、ミクもどんどん出していった。
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<竜鉄のメイス>
とある存在が、己の存在を表現する為に作り上げたメイス。非常に高品質な竜鉄で作り上げられており、膂力さえあればドラゴンの頭すら叩き割る事が出来る。珠玉の一品。
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<竜牙の鉈>
とある存在が、己の存在を表現する為に作り上げた鉈。ドラゴンの牙をそのまま鉈にしている為、鉈ではあるが凄まじい切れ味を持つ。珠玉の一品。
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<獅子王のナイフ>
<天を貫く山>に居たアーククラスの魔物、ネメアルの牙と爪を使って作られた大型のナイフ。その切れ味はドラゴンの鱗さえ存在しないかのように切り裂く。珠玉の一品。
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<獅子王の毛皮>
<天を貫く山>に居たアーククラスの魔物、ネメアルの毛皮をそのまま使った衣。柔らかく暖かながら異常なまでの防御力を誇り、ドラゴンの牙ですら切り裂く事はできない。これを所持する者はネメアルを絞め殺した筈である。
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<死毒蜂のハチミツ>
デスホーネットの巣のハチミツ。味わう為にはデスホーネットを殲滅する実力が必要である。鮮烈で芳醇な香りと、舌と頭を蕩けさせる程の甘さを持つ。珠玉の一品と言えるが、採取難易度は非常に高い。
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「「「「「「「「………」」」」」」」」
鑑定結果を見ながら呆然としているが、ミクにとっては大して面白い結果ではなかった。期待外れと言ってもいいのだが、ヴァルは呆れている。面倒な連中に色々な物を見せたからだろう。
他にも確認したが、驚いていたのは五つだった。そういえば一つ気になる物があったので、それも鑑定板に乗せる。一部しか乗せられないが仕方ないだろう。
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<ドラゴンバスター>
<※※の神>と<※いの神>と<※いの神>と<※※の神>と<※の神>が話し合いを行い、妥協して作られた竜殺しの剣。とある存在が使う事しか考えられていない為、あまりにも重過ぎる物となっている。通常の人間種では振る事すら出来ず、剣として使用するのは不可能である。
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「「「「「「「「………」」」」」」」」
この結果にミクは渋面を隠せない。何故か神どもの名は伏せられるらしく、自分は<とある存在>と出てしまっているからだ。何となく納得出来ないが、下界の連中に気付かれても困るからだろう。
その割には<○○の神>と、神である事は主張するんだな? そうミクは怒っていたりする。隠すなら神である事も隠せよとミクが思うのも、無理からぬ事であろう。
「あー………そなたは神々と関わりある者……なのかな?」
「そこは話せない。ノーコメントで」
答えを言っている様なものである。とはいえ、ミクが言えるのはこれで精一杯だ。直接言及すると神どもに何をされるか分からない。神と関わりある者ならば構わないが、神と関わりの無い者には言えないのだ。
当たり前だが、ミクの一言で関わりがある事を理解した一同。何を言っていいのか分からなくなり、沈黙してしまった為に部屋の中は静かだ。そんな中、ミクはまだ鑑定板で遊ぶ。こうなったら最後までやろうと思ったらしい。
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<竜革のライダースーツ>
<※の神>が、とある存在の為に作った全身一体型の服。ドラゴンの革で作られていて高い耐久力を誇る。神の手製である為、最高品質で最高等級。
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<マナ・ダイアモンド>
珍しい魔力を篭められるダイアモンド。大きければ大きいほど価値は高いが、これは小さい為、そこまで価値は高くない。それでも優秀な素材である。
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<オーラ・アレキサンドライト>
珍しい闘気を篭められるアレキサンドライト。大きければ大きいほど価値は高いが、これは小さい為、そこまで価値は高くない。それでも優秀な素材である。
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<アラクネクイーンのドレス>
とある魔女が己の美しさをアピールする為に作らせたドレス。現在は魔女が美で完敗した相手にプレゼントした。その相手のドレス姿に魔女は欲情を抑えられず、夜の戦いでも完敗している。
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「「「「「「「「………」」」」」」」」
この鑑定結果にミクは大笑いしているが、ヴァルは不思議がっている。何故今までは普通の鑑定結果だったのに、あのドレスだけ訳の分からない鑑定結果になったのだろうか? 幾ら考えても不思議でしょうがないヴァル。
実は鑑定結果には大元のデータベースがあるのだが、それを<知識の神>がイジった結果、微妙に面白情報が出るように”改善”されたのだ。誰にとって善なのかは、各々の立場や立ち位置によって異なる。
「………えっと、この薬も見てみましょう」
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「精力剤・神級」
<※の神>が、とある存在に渡した薬。どんな男性でも絶倫に近い活力と精力を与えるが、とある存在はこれを投与した相手から、たった一晩で搾り取りきった。使用には注意されたし。
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<媚薬・神級>
<※の神>が、とある存在に渡した薬。どんな女性でも耐えられないほどの発情を与え敏感にするが、とある存在はヤりすぎて相手の女性を帰ってこれなくした。サキュバスだったから良かったものの、使用には注意せよ!!。
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何故か鑑定結果に怒られるミクだった。




