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旅立ち?

数え年、15歳で教会学校中等部を無事卒業し、実家の粉屋を継ぐべく別の郷の粉屋に修行しにいく内定も取っていた俺なワケだが、


「・・これは、違うな」


教会学校の卒業会の帰り道、咲き誇るイーストブロッサムの花吹雪に吹かれて確信した。


『なんか、違う』とっ!!


俺は家に帰ると家族を集め宣言した。


「粉屋は俺ではなく姉貴に継がせようと思う」


「いや、あたし来月嫁に行くんだけど?」


「嫁に行ったくらいで家業を継がない言い訳になると思ってたのか?」


「え~っっ?? 嫁に行っても家業って継ぐ物なの???」


絶句する腹の大きな3個上の姉貴。いわゆる、できちゃった婚だ。結構揉めた。


「ジュウエモンっ、そもそも継ぐ継がないをお前が決めるんじゃない! 何か他にやりたいことでもあるのかっ?」


「そうよ、話してごらんよ」


父と母は困惑している。

婆ちゃんは最近アレだからよくわかってないみたいだが、取り敢えず御茶を美味そうに飲んでいる。

下の弟は秀才で、俺を無視してダイニングのテーブルで自習している。


「俺は・・俺はっ!」


俺はテーブルの上に飛び乗って宣言した!


「俺は冒険者になるっ!! 世界を股に掛けるぜっっ」


この日、俺、ジュウエモン・シルバーモルトは普通に勘当された。



10日後、俺は故郷のハジメ郷の近く森のの茂みに隠れていた。息を殺し、気配を断つ! 俺は茂みだっ、茂みが俺だっ!!

・・来たっ。


「きゅーっ」


毛皮で覆われた丸くて可愛い獣系モンスター『モフダマ』だ。俺が撒いておいた好物のポコの実を小さな口で食べだす。

ヌイグルミみたいだ。鳴き方も超可愛い。人懐っこくてペットとしても人気。だが・・


喰える!


「しゃーっ!!」


俺は手作りの棍棒を手に茂みから飛び出しっ、モフダマをボッコボコにして『肉』として確保したっ。よし!


この森には使われてなかったらしい古い魔除けの野営地があった。建屋の類いは何も残っていないが、取り敢えず魔除けはまだ利いている。現在の『俺の城』だ。

自作の石のナイフで捌いたモフダマを切り分け、串焼きにする。コイツとそこらに成ってるポコの実と、この間見付けた岩塩で、俺はこの森で命を繋いでいた。


「森の恵みに感謝・・」


俺は今日初めての食事に取り掛かった。うんっっっめぇーーーーっっっ!!!


「おい」


夢中になって肉とポコの実に喰らいついていると、後ろから声を掛けられた。


「っ?! しゃーっ!!!」


俺は飛び退いて石のナイフを手に威嚇したっ。

相手はハーフエルフの女らしかった。弓を持っている。


「落ち着け。奇声を上げるな。落ち着け」


「なんだお前はぁーっ?! ここは俺の城だっ」


「ここは我々が昔管理していた魔除けの野営地だ。最近、野人のような人間族の子供が森を荒らしている、という話を聞いたから様子を見に来た。落ち着け」


「俺は野人ではないっっ。俺はジュウエモン・シルバーモルト! 冒険者になる男だっ」


「冒険し過ぎだろ? 落ち着け」


「しゃーっ!」


「それよせ。なんだ? 家出少年が野生に還ってしまったのか?」


「家出ではないっ、勘当された」


「何も、言えないな・・」


「しゃーっ!」


「よせ!」


「コノ城ガ欲シクバ我ヲ屠ッテミヨ」


「カタコトもよせ。いいか? 落ち着け。面倒だから一旦、我々の隠れ里まで来い。どうせハジメ郷の子供だろ?」


「子供じゃねーしっ、数え年で15だしっ!」


「思春期感出すのもよせっ。ついて来い。酷い臭いだ。風呂に入って、歯も磨くなりなんなりしろ」


「まだメシの途中だ」


「チッ。早く食べ終われっ」


「んだよっ、このヒス女っ! ドS軍人かよっ。エルフ感0じゃねーか。ハーフエルフじゃなくて『耳尖ったドS』じゃねーかっ」


「・・わかった少年よ。君の冒険の日々はここまでだ。『ファイナルマナシュート』っっっ!!」


弓をつがえ、矢に最大の魔力を込めて大気と森の木々を震わせる耳尖ったドSっ!


「待て待て待てっっ、わかったわかった! すぐ食べ終わるっ。ハーフエルフなら森の命は無駄にしない物だろっ?!」


俺は慌てて完食し、めちゃ好戦的なハーフエルフについてゆくことになった。

郷から出た途端、とんだ冒険ライフだっ!

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