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愛の伝え方  作者: レモン
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第二章 20年前の文化祭

 「なんか怖いね~。うちの学校で殺人事件なんて。」美波の同級生の友達である川野礼奈が言った。

 「大丈夫だよ、礼奈のことは俺が守るから。」礼奈の彼氏の岩田大智は言った。

 「やめてよ、恥ずかしい!」

 『いいな、カップルって。』美波は何となく羨ましく思った。

 「美波はさ、好きな人とかいないの?」と礼奈は聞いてきた。

 「えっ!」美波は持っていた教科書を落とした。

 「分かりやすっ!えー、誰なの?めっちゃ気になる~。」

 「別にいないよ、そんな人!」美波はそう言いながら教科書を拾った。

 すると、後ろから誰かが「あ、あ、あの…」と言ってきた。

 それはガリ勉で有名な大石淳という眼鏡をかけた男子だった。「え、え、鉛筆も落としてます。」

 「ありがとう」と美波がにっこり笑うと、今度は秀樹が不快な顔をした。

 「ねえねえ秀樹くん!」そう言いながら秀樹に言い寄ってきたのは、美人でモテモテの女子である熊井彩乃だった。「今日お昼ご飯一緒に食べようよ!」

 「あ、あぁ-」

 「はい、皆さん、席について下さい!」担任の山本京子先生が呼びかけた。

 「ほら、チャイム鳴ってるぞ!」もう一人の担任の太田茂先生も言った。

 「それでは、今日のホームルームを始めます。クリスマス企画についてですが、今年は体育館で12月25日にダンスパーティが開かれる予定です。」

 『ダンスパーティか…』美波はちらっと秀樹の方を見た。ちょうどその時秀樹と目が合ってしまい、美波はつい下を向いてしまった。『ダメだ、私。うまく伝えられない…』少し自分に絶望してしまった。

 でも美波は諦めたくなかった。大好きな秀樹とダンスパーティで踊る、それまでに秀樹に告白する、という大きな目標を自分の中で立てた。


 「ねえ、知ってる?20年前の文化祭の話。」礼奈は言った。

 「えー、何それ?」

 「なんか今回殺人のあった屋上で、20年前の文化祭の時に失恋した女子高校生が飛び降り自殺したらしいよ。」

 『失恋ってそんなに悲しいものなんだ。』美波はちょっとドキッとした。秀樹の方を見ると、彼は彩乃と楽しそうに昼ごはんを食べていた。それを見て美波は少しうつむいた。『私に勝ち目なんてあるのかな…』


 「わー、綺麗なレストラン!」

 美波、秀樹、礼奈、大智、彩乃、淳はライトアップした綺麗なイタリアンレストランの前にいた。

 「そんなに高くないし、ここにしよう!」

 中もシャンデリアで豪華な雰囲気が漂っていた。

 「ダンスパーティ楽しみだね!」

 「うんうん、何着ていこうかな。」

 その時、

 「あれ、あそこに座っているのこの前の事件の容疑者の滝沢光一さんと室井佳奈子さんじゃない?」

 「本当だ!夫が亡くなった後なのに、また不倫してるのかな佳奈子さん…」

 すると光一は立ち上がってトイレに行った。佳奈子は一人で携帯を見ていた。

 「まだ私たちには気づいていないみたいね。」

 「なんか怖いね、また事件が起きそうで。」

 ちょうどその時、バン!と大きな銃声がした。

 「え、うそ!」

 「何、今の音?」

 レストランの客が騒いだり叫んだりする中、美波はすぐに男子トイレに走った。倒れていたのは光一で、やはり頭から血を流していた。男子トイレの小さな窓が開いていて、その下の壁も血まみれだった。

 「まさか!」

 美波はトイレの窓から飛び出ると、狭い道の奥へと怪しげな黒を纏った人物が走っていくのが見えた。

 「待てっ!」美波もその後を走り出した。しかし、その人物は角を曲がって見えなくなった。美波が角まで来た時には、犯人はバイクに乗って逃げていってしまった。「くそっ!」


 その後、警察が到着した。

 一同は警察署に行って、事情聴取を受けた。

 「事件が起きたのは、イタリアンレストラン『新世界』で、あなたたち6人が夕食を取っている時にたまたま滝沢光一さんと室井佳奈子さんが近くに座っているのに気づき、光一さんがトイレに行ったら一分後ぐらいに大きな銃声がしたのですね?」

 今度はベテラン女性警部である池上奈央が聞いてきた。

 「はい。」

 美波は答えた。

 『綺麗な女性警部さん。私もこうなりたいな。』と美波は少し羨ましく思った。

 「それで、美波さんが男子トイレに行ったら、光一さんが頭から血を流して倒れていて、窓から出ると怪しい黒を纏った人物がそのレストランの近くの細道を走っていたのを見て追いかけたのですね。しかし、その人は角を曲がり、美波さんが角に来た頃にはもうバイクに乗っで逃げてしまったと。」

 「すみません…」

 「いいえ、あなたが謝ることではないわよ。」

 『池上警部は綺麗な上に優しいな。』

 美波は憧れの眼差しで池上警部を見た。

 「ま、所詮女子高生だもんね。」

 そう言ってきたのは、女性警官の三島由衣だった。

 「あら、やっぱり秀樹くんもいたのね!」

 三島は秀樹に手を振った。

 「ミナミちゅわ~ん、危ないコトし過ぎちゃダメですよ~!」

 ジョン・マツシタは美波の肩に手を乗せた。

 「あ、いえ、大丈夫です。」

 美波はちょっと焦ったように言った。美波も秀樹も過度に近寄ってくる警察官たちへの対応に困ってしまった。

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