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カニヴァな彼女  作者: 椎家 友妻
第一話 あは~ん♡
7/28

7 矢渋(やしぶ)、悟りを開く

 その日の昼休み、俺は裏庭にあるベンチで、伊緒と一緒に弁当を食べていた。

 「それにしても奈吾さん、男子達に凄い人気だね」

 伊緒は、タコ型ウィンナーをパクつきながら言った。

 「まあ、あれだけのルックスとプロポーションがあれば、どんな男子でも夢中になるだろう」

 俺がそう返すと、伊緒は箸をくわえたまま、ジトッとした目で俺を見た。

 「何だ?何か言いたそうな目だな」

 「ヤー君もやっぱり、奈吾さんの事が気になるの?」

 「そんな事はない」

 俺は即答して続けた。

 「俺は伊緒の事もちゃんと好きだぞ」

 「も(・)って何よ!も(・)って!」

 「モザイクのモ(・)」

 「今はモザイク関係ないし!」

 「俺もテキトウに言っただけだし!」

 「ねぇヤー君、伊緒が昨日ヤー君に好きって言った時、ヤー君も同じ気持ちだって言ってくれたよね?あれって嘘じゃないよね?」

 「すこぶる本当の事だ」

 「じゃ、じゃあ、ちゃんと証拠を見せてほしいな・・・・・・」

 伊緒はそう言うと、急に顔を赤らめてモジモジしだした。

そんな伊緒に俺は訊いた。

 「証拠を見せるとは、どうすればいいんだ?」

 「だ、だから、昨日ちゃんと出来なかったアレを、今ここでちゃんとしてほしいの!」

 そして伊緒は目を閉じて口をつぐみ、その唇を俺の方に向けた。

昨日ちゃんと出来なかったアレとは、言うまでもない。

おチチ──────ではなく、キスだ。

キスですね、ハイ。

ここは一発ムチュッと決めなければならないな。

俺が伊緒の全てを好き(そりゃもう、脳天から足の先まで)なのは紛れもない事実なのだから。

よし、やるぞ。覚悟を決めた俺は、伊緒の両肩にそっと手を乗せた。

この場には俺達以外に人は居ない。

キスをするなら今。英語で言うならDo(どう)!Kiss(きす)!Now(なう)!だ。

 それではいただきます。

 俺は伊緒のプニッと柔らかそうな唇を頂くべく、自分の顔を近づけた。

が、唇と唇が触れ合うまであと数センチという所で、俺はピタリと体が動かなくなった。

一体何があったのかというと、自分でも信じられないのだが、緊張しているのだ。

俺が、この状況に。

 ぬぅっ、このキスという行為は、想像以上にドキドキするじゃないか。

このドキドキ感は、昨日伊緒のおチチを触った時のそれよりも、はるかに大きなものだった。

これはどういう事だ?

まさか、掌でおチチをモミモミする事よりも、唇と唇でムチュッとやる事の方が、エロい事だとでもいうのか?

だから俺の心臓は、こんなにもドキドキしているのか?

しかしこのドキドキは、ただ単にエロい感情だけでなく、

キュンと胸を締めつけるというか(それはまるで、血圧計のように)、

何とも言えず甘酸っぱいというか(それはまるで、酢豚に入ったパイナップルのように)、

そういうものが混じりこんでいる。

 そうか、キスという行為は、イヤラシイとかエロイとか、そういう概念(がいねん)超越(ちょうえつ)した、とても神聖なものなのかもしれない。

 以上の事をまとめると、次の結論が導き出される。


 オッパイモミモミはキスに()かず


 そうだったのか。

 俺は悟りを開いた(サソリをシバいたのではない)そしてその悟りを胸に、(おごそ)かな気持ちで伊緒とのキスに臨むことにした。

 と、その時だった。

 この裏庭は、数十メートル行くと体育館裏にたどり着くのだが、その体育館裏に、奈吾さんが居るのが見

えた。

そしてその奈吾さんを取り囲むように、ウチのクラスの女子が三人居るのも見えた。

ちなみにその三人は、クラスの中でもひと際不良な娘達だった。

学校で隠れてタバコは吸うわ、夜遅くまで遊びまわるわ、スカートの下に短パンを穿くわ(これが一番けしからん)で、先生達も手を焼く程の不良娘達だ。

その不良娘達が、今日転校してきたばかりの奈吾さんを体育館裏に呼び出し、一体どうしようというのだろう?考えられる可能性はひとつだ。


 転校してきていきなり男子達にモテモテな奈吾さんを、ちょっくらこらしめてやろうとしている。


 間違いない。

しかし一体どんな風にこらしめるつもりだろう?

まさか、嫌がる奈吾さんの制服を三人がかりで××して、奈吾さんを××にし、その後××を××して××する気では⁉

そして更には××や××を使って××した挙句(あげく)、奈吾さんを××状態にするつもりじゃあ⁉

もしそうだとすれば、すぐに見学・・・・・いやいや!

すぐに助けに行かなくては!

そう考えた俺は、伊緒の両肩から手を放し、ガバッと立ち上がった。

 「ど、どうしたのヤー君?」

 俺の突然の行動に、目を丸くする伊緒。

その伊緒に、俺は至って真剣な眼差(まなざ)しで言った。

 「奈吾さんの(みさお)が、危ないんだ!」

 「へ?」

 俺の言葉が理解出来なかったのか、伊緒は更に目を丸くする。

しかしここで詳しく事情を説明している暇はないので、俺はそのまま体育館裏に向かって駆け出した。

 「え?ど、どこ行くのヤー君⁉待ってよぅ!」

 慌てた声を上げて伊緒も後に続く。

そんな中奈吾さんは、三人の不良娘達に、体育館裏の奥の方へと連れて行かれようとしていた。

俺は急いで奈吾さん達の元へ向かった。


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