4 冷たい伊緒
キンコンカンコン。この言葉を微妙に変化させると、
ウンコ カチコチになるのだが、今はそんな事実はどうでもいい。
それはともかく、昼休みの始まりを知らせるチャイムが鳴ったので、俺は直ちに席を立ち、伊緒の居る席へと向かった。
今朝の誤解を解き、仲直りがてらに一緒に昼食を食べるためである。
伊緒は朝のホームルームこそ来なかったものの、一時間目の授業にはちゃんと教室に戻って来た。
しかし機嫌が直った様子は全くなく、今に至ってもその不機嫌そうな表情は変わらない。
そんな伊緒に、俺はやや怖じ気づきながら声を掛けた。
「な、なあ、伊緒」
すると伊緒は冷たい視線で俺を睨み、今朝と同じく抑揚のない口調でこう返してきた。
「何かご用ですか?」
う~む、丁寧だが何と他人行儀で冷たい応対だろう。今までの伊緒なら、
『なになに?ヤー君』
と親しみ一杯に返してくれたのだが、今の伊緒はまるで別人のようだ。
正直、怖い。
しかしここで怯む訳にもいかないので、俺は努めて平静を装って伊緒に言った。
「あの、さ、よかったら一緒にお昼でも──────」
と、言いかけたその時、背後から奈吾さんが、
「ヤー君♡一緒にお弁当食べませんか?」
と言って、俺の右腕に抱きついてきた。
「のわわっ⁉奈吾さん⁉」
焦る俺。
今朝に続いて何とも大胆な行動だ。
しかも俺の呼び方が『ヤー君』に変わっている。
この呼び方は今まで伊緒しか使わなかったが、それを今奈吾さんが使った。
これは伊緒に対する挑戦、否、挑発だろうか?
それを察した周囲の生徒達が、口をつぐんで俺達に注目した。
教室に異様な緊張感が流れる。
そんな中、挑発された(?)伊緒は、一瞬険しい表情を見せたものの、奈吾さんの言葉を無視するようにそっぽを向いた。
こういう場合はどうすれば丸く収まるのだろう?
とりあえず、ここで奈吾さんの申し出を受け入れるのが一番マズイと思うので、俺はやんわりとした口調で奈吾さんに言った。
「わ、悪いけど、遠慮させてもらうよ」
「えーっ?どうしてですか?」
奈吾さんはそう言い、俺の右腕にそのふくよかな女体を密着させてきた。
おおぅ、何と心地良い・・・・・・なんてうっとりしてる場合ではない。
ここはキッパリと奈吾さんに言わなければ。
なので俺は奈吾さんに言った。
「奈吾さん、せっかくのお誘いは嬉しいんだけど、俺は、伊緒と一緒にお昼を食べたいんだ」
その言葉に、そっぽを向いていた伊緒がピクンと反応した。
少しは機嫌が直ったかな?
と思っていると、奈吾さんは更に体を密着させ、囁くように俺に言った。
「私だったら、ヤー君の望む事、何でもさせてあげますよ?」
その言葉に、俺のハートとアノ部分が狂おしいまでに反応した。
何という事だ。
せっかくさっきの一言で伊緒の心をこちらに引き寄せられたのに、今の奈吾さんの一言で、俺の心が思いっきり奈吾さんに持っていかれたではないか。
しかも俺の望む事を何でもさせてくれるとは本当だろうか?
××で××な事や、××な格好で××な事もしてくれるんだろうか?
更には××なシチュエーションで、奈吾さんが××になり、俺が××で、こんなプレイとかも・・・・・・。




