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5、リッターの妹 第5話 バター、卒業……するわけないわよ!

バター100ポンド(45kg)にリッターが切れた。気持ちはわかる。


「まあまあ、お兄様。もうバターやめるってんだし。」


慌ててダンクが羽交い締めでおさえる。

サトミはもぐもぐソーセージを食べていた。


「ナイト?」


「そうよ、あたいの騎士。そこの小屋見ればお兄ちゃんの馬の隣にいるわ。」


サトミがダンクと馬小屋を覗く。

2人、ビックリして目を丸くした。


「で……けえ……

何だこれ、超怖い。サトミの馬の1.5倍あるじゃん……」


そこには、リッターがいつも乗ってる鹿毛の横に、はるかに大きい黒光りして精悍な顔の真っ黒な馬がいて、じろりと2人を睨んだ。


「うっわぁ、ベンにガン飛ばさないように言わなきゃ。蹴られたら死ぬな〜」


ドア閉めてふと見ると、横の小さな畑の端っこに、なんかでっかい直径3フィート(約1m)ほどの石があるのに気がついた。

小屋の物入れは、これのせいで半分しか開かない。


「何だこれ邪魔くせえ石あるなー、割ってやろうか?」


「それなー、馬屋建てる時退かそう思ったけど無理だったんだ〜。

そう言えばサトミ、子供の時、木の棒で割ってたって言ったなあ。

椅子代わりに半分残して半分崩すって、都合いい事出来ねえよなあ……ははっ」


「了解」


「え?」


「き、木の棒は?」


「いらねえよ」


サトミが雪雷を抜いた。

右手1本で刀を返して刀の峰を石の真ん中に添える。

何がはじまるのか、思わず皆が息を飲む。


「はっ!」


キィーン!


刀の刃が鳴った。


ビシッ


石が鈍い音を上げる。


「え?」


サトミが左側に手を添え、右をドカッと蹴ると、きれいに真っ二つになって右側がごろんと倒れた。


「これ、どこ置く?」


「え……え……ええと、その畑の端っこ。」


庭の片隅に、なんか植えてある小さな畑がある。

サトミは刀を仕舞い、左側を立てたままごろんごろんとずらして、重い石を畑の角にどさんと倒した。


「こっちはバラすんだな?」


そう言って先ほど転がした右の石の元に戻るとしゃがみ込み、手を添える。


「ふっ!」


ギシッ!  と石が震えて、網目状にヒビが入って崩れた。


「よし!このくらい小さくなったら持ってけるだろ。」


戻って肉をついばむサトミを横目に、ダンクとリッターが顔を合わせる。


「怖いって、の、もう通り越した。」


「……だな。なあ!サトミってケガした事とかあんの?」


サトミがもぐもぐしながら頬を指さした。


「ほら、ここ。友達の盾にされてさ、2針も縫ったんだぜ?ひどい目にあったわ。」


「ふ、ふうん、大変だったなあ。」


悩みとかのレベルが違う。

盾にするような奴は友達と呼べねえ……


「ねえねえ、すっごい長いナイフ初めて見たー!ねえねえ、持っていい?」


「駄目」


「なんで、ケチ!」


セシリーがすり寄ると、サトミはするんとかわす。

刀に手を伸ばしても、流れるようにくるりと身を翻す。


「うぬう〜、まあ、あたいのスパスと同じね。触られたくないから、気持ちはわかるわ。」


セシリーの横で、リッターが遠い目でダンクにささやいた。


「あいつの銃の値段、俺の銃の3倍。馬も俺の馬の2倍。

いつの間にか勝手に買って来やがるんだ……

ああ……俺の苦労、お前に分け与えたい。」


「お兄さん。俺、セシリーちゃんへの愛が冷めつつあるんですけど。」


「フフフ……逃がさねえから覚悟しろ。」


リッターが、ダンクの首に腕を回した。

なんだか、家族が増えてるような、そんな気さえしてうれしい。


「あたい!ポストアタッカーになるうっ!」


セシリーが、ソーセージを掲げる。


「局長が許すもんかよ〜!たまには世間の荒波に揉まれやがれー!」


リッターが、ビール掲げて飲み干した。


果たして結果はどうなるのか。

ダンクとサトミが後ろ向きで賭ける。

その賭けは局内全体で行われ、そしてレートは半々でいい勝負となった。




おわり!

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