薔薇色のはじまり
こちらは女主人公で私立の男子校に女子一人のシチュエーションでありながら逆ハーレムでもない謎のテイストの恋愛小説になります。主に恋愛部分はBLになりますが、NLもあります。GLも連載が続けば出てくる予定です。
諸々拙い文になりますが少しでもお楽しみいただけたら幸いです。
■登場人物紹介
□主人公:一色 光
…三白眼につり眉で仏頂面がトレードマークの勉強大好き女子。勉強の虫。全国模試一位。集中して勉強できれば大抵のことはどうでもいい。図書室と実験室に引き籠ることが好きで運動は苦手だが、山奥の過疎地域で育ったのでアウトドアに抵抗はない。
座右の銘は人生色々
□主人公の叔父:一色 眞波
…光の父の年が離れた弟。20代半ば。自他ともに認める極度のブラコン。15歳の光に大人気ない態度をとることが多い。自覚ありのゲイ。自分と同じく思春期に性的嗜好で悩む少年達を集め、”普通じゃないこと”で悩まずに楽しい学園生活を送れるようにと私立薔薇園学園を設立した。
□魔性の美少年:七瀬 咲夜
…男を惑わす魔性を持って生まれてしまった超絶美少年。本人の嗜好はどノンケであり、むしろ無自覚に女好きのヤリチン気質が漂う性格をしている。顔はとても可愛いが口は悪い。熊専だろうがノンケだろうがなぜか強烈に男を誘惑できてしまう。ノンケを男もいける道に無理矢理覚醒させてしまうことに葛藤を覚え、むしろゲイしかいない薔薇園学園にきてノンケ男に出会わないようにしている。本当は共学で可愛いJKとキャッキャウフフしたい。
人生色々あるという、それは本当、その通り。
Rose Color School Life
第1色 「薔薇色のはじまり」
そこかしこに流れる陽気な朝の平穏ー。
今日もいい天気。
いいことも悪いこともありそうだ。
むくりと起き上がって欠伸もせずに静かに背伸びをし、階段を降りて自室から一階の洗面所に向かう。
私は一色 光。中学三年生で受験勉強真っ盛り中だ。
昨日も長時間机に向かっていたためかお尻が痛い。
もっといいクッションを買わないと…。
洗面台で勢いよく水を浴びせた三白眼が際立つ仏頂面はいつもの自分の顔だ。
釣り眉なのもあり我ながら可愛げのない顔だと思う。別に怒っていないのに人からは常時不機嫌だと勘違いされるのもよくあることだった。
自分でも顔立ちでずいぶん損をしていると思う。
今日は高校入試当日。
だが緊張は一切していない。なぜなら地元が過疎地域なため唯一通える範囲にある高校を一応の体で受験するだけだからだ。全校生が確か新入生になる私とあと隣山の2人ほどだけだったかと思う。
だが普通の受験だったとしても志望校に落ちる気はしない。
自慢じゃないが私は勉強の虫のためテストにはめっぽう強いからだ。
全国模試でも一位をとっている。
頭がいいと言うよりも勉強が好きで予習も復習も授業もテストもずーっと集中していられる。
机に向かって何かを考えたり知っていく、知識を付けていくという行為そのものが好きなため読書だろうが計算だろうが自学学習を24時間ぶっ通しで行っても全然苦にならない。
自分でも好きなことでずいぶん得をしていると思う。
ただ体育、家庭科、美術など苦手科目はある…。
素足に心地いい冷えを感じながらリビングを覗くと招かれざる客が一人ソファに座っていた。
「げ。」
叔父だ。
名前は一色 眞波。
父の年が離れた弟なのでまだ20代半ば。15歳にとっては普通に大人なような、叔父さんと呼ぶには年若いような微妙な年代だ。
私はこの叔父というにはなのもかも微妙な男が苦手だった。
女性でも普通にロングに分類できるだろう長髪をラフに一つしばりにし、気怠げに揺らしながら叔父が私に振り向いた。
「今日はJK試験日だろう?ずいぶん悠長に起きてきたな。」
薄い唇にニヒルな笑いを讃えながらいつものように私を揶揄してくる。
この男はシャツにジーンズというごくごくラフな格好ながら感心するほどにどこか育ちの良さを感じさせる。
そして同時に生まれに胡座をかいたまま成長したんだろうなという高慢な性格も濃厚に醸し出していた。
この家、一色家はいいとこの出である父と平凡家庭だったらしい母とが駆け落ちして過疎な山奥で娘の私一人をもうけた慎ましい家庭だった。
父の実家自体はもう父のことは諦めているらしい。
しかし極度のブラコンらしい叔父が父の行方を突き止めてからは度々来襲をくらっているという状態だ。
この男は父にはデレデレに甘える。父と駆け落ちしたが母のことも嫌っていないようで、むしろ懐いているようだ。
しかし私にだけはやたらと突っかかってくるし、形ばかりの愛想で向けられる笑顔も意地の悪いものばかりだった。
「高校入試なんていつもの学校のテストと変わらない。
それより、なんでアンタが朝からこの家にきてるんだよ。
あと母さんと父さんは?なんで見当たらないんだ?」
私もいつものように無愛想に叔父の揶揄に答えると、口早に疑問をぶつけた。
普段なら暖かい笑顔で朝食にむかえてくれる両親の姿が見当たらない。突然来襲してくるとはいえこんな山奥に早朝に来ることはなかった叔父の姿にも怪訝な表情を浮かべざるおえない。
「ま、お前の頭ならそうだろうな。」
相変わらず薄い笑みを浮かべながら一人私の返答に満足する。
私の疑問には答えずに叔父は立ち上がるとスッと私に向き合い何かの書類を差し出した。
ーーーーー
私立薔薇園学園高等部
入学許可証
一色 光
ーーーーー
他にも細々かいてあったがおおよその内容は太字で書かれているその三文だった。
私の名前が書かれた謎の学園の謎の入学許可証がなんだというんだ…
なんだ私立薔薇園学園て!どこのフローラル私立だ!どんなネーミングセンスだ!?
軽く混乱しながら差し出された書類を無言のままじと目で睨んでいると、叔父は薄い笑いを貼り付けたまま楽しそうに追い討ちをかけてきた。
「入試ギリギリまで議論したそうだが、昨日の町会で過疎すぎてこの区域の高校はやっぱり廃校にすることにしたらしい。
だから俺の運営する私立校にお前を入れてやることにした。感謝しろよ。
そして兄さんと乃薔薇さんは今町会に呼ばれて、改めて説明を受けに行った。あと、お前のオレの学園への入学用の準備品も買いに行ってくるってさ。
安心するなあの二人に任されたんだ。お前のことは責任持たずにオレが面倒みてやる。」
えええええええええええええええええええええええええ
今度こそ本格的に混乱し、流石にうろたえ頭を両手で覆いながら膝から崩れ落ちた。
急展開すぎる…。
私が無言のままムンクの叫びを上げそうな面持ちでうつ向いていると、叔父が無駄に綺麗な長い指で顎をすくい上げながら私に微笑んだ。嫌味たっぷりな表情で。
「ようこそ、薔薇色の学園生活へ」
>>>To Be next
まずは最初の導入になります。
□魔性の美少年:七瀬 咲夜にいたっては登場してすらおりませんが次回登場します。
気長に気軽にお待ちいただければ幸いです。