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ダンジョンメンタルクリニック

2月14日の失敗

作者: 悠木 凛

「冴木君、これ……」


 中学一年のバレンタインデー、私は同級生の女の子、小川さんからチョコレートを手渡された。


「え…… どうして?」


 思わず口にする。


「あ、ほら、この前のテストの時、私がわからないところを教えてもらったでしょ? そのお礼」


 小川さんは、ちょっと慌てたように言ったが、私は特に疑問も持たずに「ああ、あれ。いいよいいよ、そんな気を使わなくて」と、笑いながら言ってチョコレートを返そうとした。


「え……」


 小川さんは、悲しそうに私を見る。


 私には、本当に小川さんの気持ちがわからなかった。だって、私も心は女の子だから。


 とはいえ、目の前で同級生の女の子が悲しそうな目で何かを訴えていたら、何か悪いことを言ってしまったことぐらいはわかる。


 おそらく、このチョコレートを返そうとしたことが悪かったのだろう。私は、「……でも、せっかくだからもらっておこうかな~」と言いつくろい、チョコレートを受けとった。


   ※※※


「うわぁ……」


 家に帰り、チョコレートの包装を解いた私は、ようやく事の重大さに気付いた。


 チョコレートには、小川さんからの手紙が添えられており、普段から友達のように自然に接する私への、好意がつづられていた。


 それは自然なはずである。何しろ私も女友達と話すように、小川さんと喋っていたから。


「どうしよう……」


 私は、途方に暮れた。


拙著『医大に受かったけど、親にニューハーフバレして勘当されたので、ショーパブで働いて学費稼ぐ。』のサイドストーリーです。

こちらと併せてご覧いただければ幸いです。

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