魔物解体
なんか前回からかなり遅くなりました。これから気をつけよう!
1/16 再編集しました。
(...オェーー。)
それはそれはもう凄まじいモノでした。
サラシで口を覆っているのに鼻の粘膜に染み付くような悪臭。
ドロドロした液体にまみれた腐っているような肉の塊。
もうひたすらグロい、気持ち悪い。
ティノの目の前では旅人がせっせとナイフを動かして魔物の肉をいくつかに切り分けていました。
やがてすべて切り終えると、水を張ったたらいでそれを洗って並べていきます。
それが終わり次の魔物を取り出して油紙の上に置くとティノの方を見て、
「やるか?」
「ふぇ?」
「魔物をさばく機会なんてめったにないぞ。」
「うーん。じゃ、せっかくだからやる!」
「よしよし、こっちおいで。ナイフを持って座りなさい。」
ティノは魔物の前に座ります。
目の前にはグロテスクな魔物が。
右手には旅人のナイフが。
後ろには旅人が。
「........で、何からやるの?」
「..見ていたじゃないか。」
「あのね、僕やると思ってなかったからそんなにじっくり見てないし、普通見てたからってできるもんじゃないと思うんだけど。」
「そういうもんか?」
「そうじゃなかったら天才すぎだよ。」
「天才...、そうだな。」
そう言って旅人はティノの手をとってナイフを魔物に刺し込みます。
「魔物の解体はただ骨と肉に分ければいい訳ではない。例えば肉にも固いところ柔らかいところがあって、それをきちんと分けなければ魔道具にできない。だけどその差はわずかで見ためにもわからない。だからナイフをいれる時の感覚で切り分けるんだ。」
「その感覚が微妙すぎて解体が難しいってこと?」
「そういうことだ。まぁ、向き不向きもあるしやってみろ。ごく稀だが生まれつきの才能でいとも簡単にやるやつもいるしな。」
「ふーん。」
ティノは旅人の動かすナイフごしに魔物の肉の感触を感じました。
すると少しブニョブニョしていて気持ち悪いのですがなんとなく質感が違う気がします。
「ねぇ、いまさっきより固いところやってない?」
「ん?どれどれ。」
旅人は切っているところをブニブニと触りながら固さを確かめました。
「ほぅ!よくわかったな。ティノは才能あるんだな。よし、残り全部やってみろ。」
「えぇー。難しそうーー。」
と言いつつティノはやってみたくて仕方ありませんでした。
やってみると自然にナイフが滑るようですいすい作業が進みます。
そして.....。
「できたーーーー!!」
「うんうん、始めてにしては上出来すぎるぞ!」
「えへへー。」
旅人が嫌いだったことをいつの間にか忘れてティノは上機嫌です。
「ただまだ完璧とは言えない。まだ昼飯まで時間が少しあるから特訓するか?」
「やるやるーー!」
※※※
「ウェェェェェーー。」
本日何度目かもわからない吐き気がティノをおそいます。
「なんで..。薬飲んだのにぃー。」
「あぁ、魔物の匂いはキツイから完全には防げないんだよ。」
「そんなぁーー。」
そんな酒場のテーブル席に向かい合って話すティノとライは魔物の解体をやめて、酒場に昼食を食べに来ています。二人のところに湯気をたたせながらケファロが昼飯を置きます。
「ほいよ!特製ランチプレート2つ!ティノ、いくら食欲なくてもちゃんと食べるんだぞ!!」
「わかっているよ、それにお腹は空いているんだ。」
「ならいいんだが。さぁ、熱いうちにどうぞ!!」
「はーい。いっただきまーす!!」
「...いただきます。」
もぐもぐと二人の人間が食べています。
ふと、ライが話しかけました。
「..で、楽しかったか?解体。」
「...うーんっとねぇー。うん、楽しかった。なんかわくわくして、もっとやりたいって思った。友達と遊ぶ時の楽しいとはなんか違うんだけど。」
「..そうか、よかったよ。お前は才能あるようだし。」
「そう?」
「あぁ、そうだな。.....明日もやるか?」
「うーん...、やる!..って今日はもうやらないの?あと一匹残ってたじゃないか。」
「あれは丸干しにして売る。袋は空間魔法のおかげでどれだけ入れてもかさばらないから平気なんだ。」
「空間魔法の袋って、あの高いやつ?」
「そう。しかも長持ちして重さを感じない最高級品だよ。魔物の皮から作る。」
「えっ、魔物の皮!?」
「内側にな。」
「うへぇぇーー。」
「まあな。今日は初心者にしては解体をやりすぎた。本当は匂いのことがあるから少しずつ体を慣らしながらやるんだ。明日、加工を少しやるぞ。」
「はぁーい。」
ケファロは二人の会話を微笑ましく見ていました。
そしてテキパキと夜のために仕込みをしていました。
二人の会話が続きます。
「そういえば、さっき解体をしてたときに白い石みたいな塊があったよね、あれ何?」
「魔物の骨。」
「へっ?骨??」
「肉だけじゃ体の形が保ちにくいだろ、私らと同じで魔物も骨を持っているんだ。イメージとしては石ころを入れたゼリーだな。白くてキレイだから昔は加工して首に下げたりしたんだ。」
「お守りってこと?」
「そうだ。ただこれも加工が難しいから当時も今も高級品だ。今は加工することが少ないから出回る数が少なくなっている。まぁ、最近はその存在を知らない人も多いからな。」
「ふーん。」
「せっかくだから明日は骨の加工をやってみるか。私も多少なら教えてやれるぞ。」
「まぁ、興味無いことはないけど。でも難しいんじゃないのそれ?ってかライさん色々出来るんだね。」
「まぁな。ティノは魔物の解体のセンスがあったから問題ないと思うぞ。お前、自分の彫刻刀とか持っているか?」
「ナイフならあるけど。」
「わかった。決まりだな。」
残りのご飯を食べ終わると、ライは明日の用意をしに部屋に戻りました。ティノは友達にライのことをはなしに出掛けました。
ティノはいつの間にか旅人を嫌う気持ちを忘れてなつき始めていることに気づいていませんでした。
書くのが難しい。ネタ切れそう。頑張ろう。