第1話:初めての時間停止
結構思いつきで書いています。
文章や表現力は下手ですが、読んでいただけるとありがたいです。
交通量が多い交差点で信号待ちになった。
ここは国道と交わるため思ったより長い。
〔ブーン!ブーン!〕
信号を待てずにアクセルをふかす音…
右折レーンの先頭に止まっているその車からは、ヘビメタが迷惑になるくらいガンガンと大音量で鳴り響いているのが聞こえる。
〔うっとうしいなぁ…〕
そう思っていると信号が変わると同時に加速し、とても危険なスピードで進入する。
と同時に僕が待っていた反対側から周りを見ないで全速力で走ってくる小学生の男の子がいた。
〔危ない!〕
男の子の近くにいた周りの大人達も顔を伏せていた。
〔あの子もだけど、あの運転手バカじゃないのか?
あっ!そう言えば…〕
僕にはさっき仙人からもらった不思議な時計がある。
必死でスイッチを押すと全ての動きが本当に止まる。
〔ヤベェ!これ、本物じゃん!〕
〔02:59…02:58…02:57…〕
液晶画面がカウントダウンを始めた。
「おっと!これは急がないとな!」
俊介は男の子の近くに駆け寄ると、必死に抱っこした。
〔軽い!小学生だから?それとも火事場の馬鹿力?〕
気にする暇もなく、男の子の行こうとした方向の歩道まで運ぶ。
〔00:58〕
あと1分近く残っている。
もう一度良く見ると、暴走車に気付かぬまま渡ろうとしていた初老の婦人がいた。
「引かれると可哀想だな」
今度はその女性の近くに駆け寄り、抱っこする。
〔やっぱり…軽い…〕
違和感を感じながらも運んでいると
〔00:05〕
時計を見ると残りがない。
〔時間が動き出した時、なるべく違和感がないようにしないとのう…〕
仙人の言葉を思い出す。
まだ反対側には着いていなかったが、暴走車からは引き離されていたので下ろす。
〔ピーン!〕
電子音が鳴る。
〔ブウーン!!〕
「退け!ヒャッホー!!」
叫びながら駆け抜ける暴走車。
渡ろうとしていたサラリーマンやOLはあまりのことに唖然としていた。
男の子と女性は瞬間移動のようになっていてビックリしていたが、なんとか事故は防げたようだ。
俊介は家に帰るとぐったりして、夕方前なのにそのまま眠りについた。
〔ご苦労じゃったなぁ〕
〔仙人…〕
〔呼び捨てにするでない!相変わらずじゃな〕
〔にしても、すごい時計ですね!〕
〔あの時計で時間を止めた間はパワーも最高1億倍まで使えるしな〕
〔どうりで…〕
〔しかし…あの場面で咄嗟に時計を使ったお主には感心じゃな〕
〔もう…必死だったよ。車は危ないし、子供は走って来るし…〕
〔とにかく見事じゃ!やはりワシが見込んだ通り、お主は時計を使うのに相応しい人物じゃな!〕
〔…〕
〔今日は疲れたじゃろ?ゆっくり眠るがよい!あっ、そうそう…時計のちょっとした代償じゃ!寝てる間の3分間だけお主の時間だけが止まる!〕
〔分かった…よ…〕
〔じゃ今後も有効に使えよ!〕
そうして俊介の1日は終わっていった。
よろしければ感想をお願いします。
スローペースですが、2話以降も楽しみにお待ちください。