ⅩⅤ 最終話「好きだ。」
「あの、そろそろ…。」
秋川先生が腕時計を見て、言い出した。
今日はみんな起きていた。前回のようなめんどくさいことはないようだ。
「じゃ、私たちはこっちの方向なんで、佐織ちゃんと直人くんラブラブお帰りくださーい。」
桜川が大声で叫ぶ。
会計を済ませ、店の外で二手に分かれた。
秋川先生と有川先生、松木先生、桜川は俺らとは反対方向に帰る。俺らとは、俺と佐織先生のこと。
「あの、今日はごめんなさい。」
佐織先生は俺と二人きりになると言った。
「え。いや、そんな、気にしてませんよ。」
俺は、恥ずかしくて、佐織先生の顔を見ずに、遠くの信号を見つめていた。
「直人先生のそういう優しいところが好き。」
え。
俺は何も言えなくなってしまった。
「好き」…。
「やだ、変な意味でとらないで下さいよ?。そういう好きじゃないんで。」
佐織先生はあたふたし始めた。
そのせいなのか、目の前に来ている車に気付いていなかった。
キキーッ
全身に痛みが走る。
…間に合ったか?。
俺は、薄目を開けた。
佐織先生が道路に飛び出して…、車が来て…。
目の前には、俺を覗き込んでいる、佐織先生がいた。
佐織先生、無事なのか…。
良かった…。
目を開けると、暖かい日差しが差し込んでいる部屋で寝ていた。
ベットを机代わりにして、佐織先生は寝ていた。
ところで、ここはどこだ?。
たしか、昨日…。
「あ…、直人先生!!。」
佐織先生は俺に抱きついた。
「よかった、目が覚めた…。」
俺に抱きついて、佐織先生は泣きじゃくっていた。
佐織先生は、おちつくと、状況を説明してくれた。
昨日、俺は佐織先生を助けた。そして、車にもひかれておらず、無傷だったとのことだった。車は危機一髪止まってくれたみたいだ。
「直人先生…、ありがとう。助けてくれて…。そして、ほんとは一生言わないつもりだったんだけど…。」
佐織先生は俺の目をまっすぐにみた。
「言うな。これ以上…。」
俺はなぜかそんな言葉を口にしていた。
そして、
「俺に言わせてほしい。」
なんて、言ってしまった。
「好きだ、佐織。」
「…私もです。」
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