ⅩⅢ これが、恋。
合唱コンクール当日。
俺は右はじ、佐織先生は左はじを撮る、となり、持ち場に着いた。
俺のクラスが歌うのは、全体で七番目。
最初に一年が歌って、次に二年だ。同じ学年の中では三番目。
毎日、熱心に指導してきた。
歌は歌えないが、とにかくネットなどで調べて呼びかけるとかした。
カシャ カシャ
とにかく、俺は、撮ることに集中した。
ドンッ
誰かとぶつかった。
「あ、すいません。」
俺が、そう言った時、
「すいません。」
佐織先生と声がかぶった。
俺のクラスの、合唱が流れ始めた。
でも、佐織先生と合った目がそらせない。
先にそらしたのは、佐織先生だった。
「では。」
顔を真っ赤にして、写真を撮り始めた。
「あの、直人先生…。」
お昼休み。階段踊り場で階段の一番上にいた、佐織先生に声をかけられた。
合唱コンクールは午前中に行い、午後は文化部の発表などを行う。明日は、学校祭(模擬店出したり…)をやる。
「何でしょうか?。」
さっきの見つめあったこと忘れられねえ。
まともに顔が見られない。
佐織先生は、動揺していた。
「あ、あの…、ここで言うことでもないんですけど…。えっと、あの…。」
なにが言いたいんだろう。
「きゃっ。」
佐織先生の悲鳴と同時に、佐織先生は降ってきた。
足を滑らせたようだ。
俺が受け止めようと走ると、俺のちょうど上にふってきた。
目をつぶった。
俺は背中に強い衝撃を受けた。
…それと同時に唇に柔らかい感触があった。
ふわっと甘い香りもする。
目を開けると、目の前には、佐織先生の顔があった。
「!!。」
その感触が何だか、分かった。
記憶の中で初。
「す、すいませんでしたー。」
佐織先生は、すぐさま立ち上がって頭を下げると、走ってどこかへ行ってしまった。
…これが、恋…。
読んでいただいてありがとうございます。
次回もお楽しみに。




