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冬支度






 朝晩の冷え込みが、厳しくなってきた。


 


 吐く息が白い。


 


 空気が、澄んでいる。


 


 冬の気配が、はっきりと分かる。


 


「……寒いな」


 


 小さく呟く。


 


 薪ストーブに薪をくべる。


 


 火が広がる。


 


 ぱちぱちと音がする。


 


 部屋が、ゆっくりと温まっていく。


 


 その間に、出かける準備をする。


 


 身支度を整える。


 


 道具を確認する。


 


 終わったところで、朝食をとる。


 


 そのまま


 


 ストーブの前に椅子を持ってきて、座る。


 


 淹れたての珈琲を、一口飲む。


 


「……いいな」


 


 体の内側から、温まる。


 


 祠の探索へ出かける。


 


 今日も同じだ。


 


 区画を一つ決める。


 


 山へ入る。


 


 空から、地上から。


 


 探す、感じる。


 


 移動する。


 


 繰り返す。


 


 だが、見つからない。


 


「……ないな」


 


 小さく呟く。


 


 午前中で切り上げる。


 


 無理にやっても仕方がない。


 


 帰宅する。


 


 冷えた体を、そのまま温泉へ。


 


 湯に浸かる。


 


「……はぁ」


 


 息が抜ける。


 


 体の芯まで温まる。


 


「……生き返るな」


 


 しばらくは、湯船の中にいた。


 


 午後。


 


 何をするか考える。


 


 山仕事。


 


 畑。


 


 それとも、レザークラフト。


 


「……今日はこっちだな」


 


 机に向かう。


 


 革を広げる。


 


 ゴートスキン、山羊革だ。


 


 柔らかく。




 薄く。




 軽い。


 


 それに、摩擦に強い。


 


 扱いやすい革だ。


 


 ショルダーバッグを作る。


 


 四つ。


 


 天狗用。


 


 九尾用。




 子狐用。


 


 それと自分用。


 


 クリスマスのプレゼントとして作っている。


 


 型紙は、自作ではない。


 


 購入したものを使う。


 


 それでいい。


 


 道具も揃えた。


 


 革用のミシン。


 


 大型のレーザー加工機。


 


 電動の漉き機。


 


 ハンドプレス機。


 


「……増えたな」


 


 小さく呟く。


 


 今回は、ミシン縫いにする。


 


 手縫いでは時間がかかる。


 


 効率を優先した。


 


 一週間ほどかけて、形になる。


 


 そして


 


 今日。


 


 仕上がった。


 


「……いいな」


 


 素人にしては、上出来だ。


 


 三つは箱に入れる。


 


 そのまま保管する。


 


 クリスマスに、渡す。


 


 他にも準備している。


 


 天狗には、電子書籍リーダー。


 


 九尾には、ポータブルゲーム機。


 


 亀旦那には、酒と乾物。


 


 亀嫁には、林檎のスマホとタブレット。


 


 カラスには、酒と、モアサナイト。


 


 海外通販で購入、安い。


 


 いろんなカラットを、大量に。


 


「……好きだからな」


 


 キラキラしたものを、やたら気に入っている。


 


 親父と母親には


 


 羽毛布団を用意した。


 


 冬はこれがいい。


 


 余った革で、巾着を数個作る。


 


 モアサナイトは、それに入れることにした。


 


「……これでいいか」


 


 ひと通り終える。


 


 ふと見る


 


 薪ストーブの上に置いていたさつまいもが、焼けていた。


 


「……ちょうどいいな」


 


 取り出す。


 


 芋を割る。


 


 湯気が立つ、甘い匂いが広がる。


 


 カラスを呼ぶ。


 


 秋田犬たちも寄ってくる。


 


 分ける。


 


 秋田犬の分は


 


 カラスが風で冷ましている。


 


「……便利だな」


 


 小さく言う。


 


 子狐は、まだ工場から帰っていない。


 


 もうすぐ戻るだろう。


 


 もうすぐ、クリスマスだ。


 


 静かな冬の時間が、流れていた。






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