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盆と嫁






 夏の日差し。


 


 風に乗って、風鈴の音色が響く。


 


「……夏だな」


 


 小さく呟く。


 


 お盆になった。


 


 朝、墓参りへ行く。


 


 線香をあげ、手を合わせる。


 


 それだけでいい。


 


 軽トラの荷台に。


 


 石の祠、石像と荷物。


 


 それらを積み込む。


 


 そのまま、祠へ向かい。


 


 水場に着く。


 


 水場の中に石の祠を設置する。


 


 さらに


 


 大きめの平らな石を置く。


 


 甲羅干し用だ。


 


「……いいかんじだ」


 


 小さく呟く。


 


 旦那の祠に


 


 嫁の石像も置く。


 


 すべて整える。


 


 みなの祠へ、お供えをする。


 


 酒も置く。


 


 気配が動く。


 


 亀嫁が、人の姿で現れる。


 


「ありがとうございます」


 


 頭を下げてくる。


 


「いえいえ」


 


 軽く返す。


 


「こちらこそ、いろいろ助かっているので」


 


 そう言う。


 


 亀嫁は言う。


 


「毎朝、子狐様が卵を洗いに来ていますよね」


 


「それを、手伝わせていただけませんか」


 


「……手伝う?」


 


 聞き返す。


 


「卵の回収」


 


「小屋の掃除」




「山羊と羊の小屋の掃除」


 


「餌やり」


 


「卵の浄化」


 


「パック詰め、ラベル貼りまで」


 


「出荷できる状態までやります」


 


「……」


 


 少し考える。


 


 ありがたい話だ。


 


 だが――


 


「報酬は要りません」


 


 先に言われる。


 


「今まで通り、旦那へのお供えだけで十分です」


 


「……そうか」


 


 さらに続く。


 


「その代わり――」


 


「出産した際、子供たちをこの一帯に住まわせてください」


 


「……子供?」


 


「10年に一度だけ産みます」


 


「数は百から三百ほど」


 


「……多いな」


 


 思わず言う。


 


「成長途中で減るかもしれません」


 


「それでも、残る子もいます」


 


「……なるほど」


 


 話を聞く。


 


 能力持ちは珍しいらしい。


 


 ほとんどは普通の亀だという。


 


 さらに


 


「旦那にも、定期的に掃除をさせます」


 


「この周辺も綺麗に保ちます」


 


「……そこまで」


 


 少し驚く。


 


 だが、悪い話ではない。


 


「……わかりました」


 


「それでお願いします」


 


 そう返す。


 


 ただ


 


「それだけだと、こっちが申し訳ない」


 


 そう思う。


 


「……池、作るか」


 


 池を作ることにする。


 


 環境も良くなる。


 


 子狐の負担も減る。


 


「……ちょうどいいな」


 


 そういうことにする。


 


 契約成立。


 


 そのまま工場へ向かう。


 


 子狐に伝える。


 


 翌日から


 


 亀嫁は動き始めた。


 


 卵の回収。


 


 掃除。


 


 餌やり。


 


 すべてやっている。


 


 小屋も


 


 旦那が掃除して、かなり綺麗になっていた。


 


「……すごいな」


 


 素直に思う。


 


 一つだけ、お願いしておく。


 


「この辺、人はあまり来ませんが」


 


「来たときは、人の姿は見せないでもらいたい」


 


 亀嫁はうなずく。


 


「分かりました」


 


 そのまま


 


 池の作業を始めることにした。




 池は


 


 自分たちでやる。


 


 倉庫より上へ登った場所。


 


 少し開けた土地がある。


 


 そこを使う。


 


 まず、木々を伐採する。


 


 根も残さない。


 


 抜根までやる。




 怪力を使い抜いていく。


 


 周辺を整地してきれいにする。


 


「……ここだな」


 


 位置を決める。


 


 ユンボで掘り始める。


 


 形は、プールのようにする。


 


 十五メートル×二十五メートル。


 


 深さは三段階。


 


 三十センチ、六十センチ、八十センチ。


 


「……十分だな」


 


 掘り進め、形を整える。


 


 地面を固める。


 


 その上に砂利を敷く。


 


 さらに、防水シートを被せる。


 


 その上に鉄筋を組む。


 


「……やること多いな」


 


 小さく呟く。


 


 まずは底面。


 


 コンクリートを流し込む。


 


 乾かす。




 コンクリートはプロに頼んだ。


 


 側面は後日。


 


 型枠を組んで、コンクリートを流す。


 


 この作業も、プロに任せた。




 同時に、水の流れも作る。


 


 祠から、水路で繋いで。


 


 池へ引く。


 


 さらに、池から沢へ流す。


 


「……循環だな」


 


 形はできてきた。


 


 作業は続く。


 


 おじさん。


 


 子狐。


 


 カラス。


 


 亀嫁。


 


 四人で進める。


 


 形になった。


 


「……できたな」


 


 小さく呟く。


 


 あとは仕上げだけだ。





【更新スタイル変更のお知らせ】

明日より、投稿スタイルを以下の通り変更いたします。

更新: 不定期更新

投稿方法: 準備が整い次第、予約投稿にて順次アップいたします。

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