初夏と増えるもの
梅雨が明け。
肌にまとわりつくような蒸し暑さ。
曇り一つない青空から、初夏の光が降り注ぐ。
「……暑いな」
小さく呟く。
いつものように
出荷の準備をする。
卵。
それと、梅雨前に収穫しておいたじゃがいも。
準備を終える。
子狐が出荷に向かった。
畑を見回る。
ミョウガと生姜は、芽を出している。
しっかり育っている。
トウモロコシも伸びてきた。
さつまいもも根付き、広がっている。
かぼちゃは蔓を伸ばしている。
「……順調だな」
今年は――
田植えもした。
田には合鴨を放している。
こちらも問題ない。
「……さて」
少し空を見上げる。
「カラス探してから、草刈りだな」
名義の件も、すべて終わった。
田畑の購入。
親父名義だった、ログハウス周辺と裏山の田畑。
すべて名義変更した。
そのまま法人に貸す手続きも済ませた。
「……問題なかった」
子狐が戻ってくる。
そのままユンボで草刈りを始め。
去年から
山羊と羊が毎日草を食べている。
そのおかげで
今年は五日ほどで草刈りが終わった。
あとは山羊と羊に任せる。
田畑のあぜ道だけ
エンジン式の手押し草刈り機で対応する。
残りを草刈り機で刈る。
昼過ぎまで作業して。
温泉に入る。
「……生き返るな」
そのまま、のんびり過ごす。
林道整備も
裏山の間伐も、まだ残っている。
「……先は長いな」
小さく呟く。
祠へ向かう。
お供えをする。
そのまま水場へ行き。
「……?」
違和感がある。
亀が――
増えている。
「……なんでだ」
スマホを取り出す。
暇そうな、カラスにメッセージを送る。
「祠に来て」
すぐに返信が来る。
スタンプだけだ。
しばらくして、カラスが来る。
「……亀、増えてるぞ」
そう言う。
カラスも見る。
「……ホントだ」
そのまま、亀に聞く。
少しして
答えが返ってくる。
「……嫁だ」
「……は?」
一瞬、止まる。
話を聞く。
天狗と九尾に頼んで
嫁を探してもらったらしい。
「……なるほど」
なんとなく納得する。
ここは、食物と酒に困らない。
安全だ。
水も豊富。
近くに沢もある。
温泉もある。
「……そりゃ来るか」
住み心地はいい。
だから
嫁をもらったらしい。
「……おめでとうございます」
素直に言う。
エビの乾物を出す。
一つずつ渡す。
もぐもぐと食べている。
そのまま話を聞く。
嫁も
玄武の血を引いているらしい。
「……能力あるのですか?」
聞く。
答えが返ってくる。
「擬人化できる」
「……見せて貰えますか」
そう言うと、水場から移動した。
次の瞬間――
姿が変わる。
人の形になる。
言葉も話す。
「……はじめまして」
「……初めまして」
普通に会話ができる。
軽く挨拶をする。
「いつも旦那がお世話になっています」
「……こちらこそ」
返す。
「これからもよろしくお願いします」
そう言て。
乾物を渡す。
「これ、どうぞ」
受け取る。
少し考える。
「……石像も作るか」
そう言っておく。
ひと通り終える。
「……じゃあ帰るか」
そのまま、祠を後にした。
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