恵みの雨と拡張
恵みの雨が、大地に降り注ぐ。
野菜たちは青々と育ち
傍らでは、紫陽花が色鮮やかに咲きそろっていた。
「……いいな」
小さく呟く。
親父に呼ばれ、実家に来ている。
「ちょっと話がある」
そう言われて座る。
内容は
名義のことだった。
ログハウスの周辺。
裏山の周辺の田畑。
それらを
俺の名義に変えないか、という話だった。
贈与だ。
さらに
裏山の周辺にある、他人の田畑。
その持ち主から
「買わないか」
という話も来ているらしい。
「……まとめるか」
そういう流れになる。
買うなら
親父名義の農地も、一緒に名義変更した方がいい。
「……分かった」
了承する。
申請と、相手との交渉は親父に任せた。
今までヒキニートみたいな生活だったが
実家の手伝いもしている。
林業、畜産、畑。
一応、収入もある。
確定申告もしている。
「……許可は下りるだろ」
そう思う。
今日は雨だ。
そのままログハウスへ戻る。
部屋にこもる。
レザークラフトをやる。
久しぶりだ。
手が少し鈍っている。
「……まあいいか」
ゆっくりやる。
子狐は工場へ行っている。
カラスはリビングで配信を見ている。
秋田犬たちは寝ている。
静かな時間だ。
夜。
リビングで子狐と並ぶ。
画面を見ながら
トラクターを選んでいる。
今までは、実家のものを借りていた。
だが、購入することにした。
「……小さいのがいいな」
小回りが利くもの。
大きな畑はすくない。
小さな畑が多い。
形もいびつだ。
「……これだな」
決める。
翌日。
現物を見に行く。
結果、小型と大型。
二台、購入した。
「……増えたな」
ついでに
コンバインと、田植え機も買う。
さらに
フォークリフトも注文した。
「……まあいいか」
もう止まらない。
今はホームセンターにいる。
耐火レンガを買う。
窯を作るためだ。
「……やるか」
庭でピザ。
一度はやりたい。
そのための資材を揃える。
ついでに
草刈り機も二台購入する。
子狐用と、カラス用だ。
機械でできない場所は
人力になる。
仕方ない。
「……やってもらう」
カラスは烏天狗になれば使える。
問題ない。
横を見る。
子狐が、少し嫌そうな顔をしていた。
「……頼むぞ」
小さく言う。
雨は降っていない。
ピザ窯作りを始めた。
まずは土台を作る。
コンクリートブロックを積み――
鉄筋を入れて組む。
周りは耐火レンガで固める。
天面も――
耐火モルタルで仕上げる。
「……こんなもんか」
一度確認する。
カラスに乾燥してもらう。
そのあと
子狐に頼む。
丸太を切り出し、機械で加工してもらう。
半球を作る。
それを、天板の中心に置く。
その周りを
耐火レンガと耐火モルタルで、少しずつ組み上げていく。
ドーム状にしていく。
入口を作る。
煙突も付ける。
「……いいな」
形が見えてくる。
カラスに少し乾燥をしてもらう。
そのまま数日、放置して。
乾燥させる。
最後は
カラスに頼む。
内部を一気に乾燥させる。
そのあと
ドームの中で火を付ける。
中に入れていた半球の木を燃やす。
燃え尽きると
空洞が残る。
「……完成だな」
小さく呟く。
そのまま
ピザを焼く。
火を入れる。
温度を上げる。
生地を入れる。
あっという間に焼き上がる。
「……いいな」
取り出す。
みんなで、食べる。
「……うまい」
それだけで十分だった。
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