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五月晴れとクラフト







 五月晴れ。


 


 暖かい日差しを浴びて、新緑が鮮やかだ。


 


「……いいな」


 


 小さく呟く。


 


 四月に植えた、ミョウガと生姜。


 


 畑を見て回る。


 


「……まだか」


 


 芽は、まだ出ていない。


 


 じゃがいもは


 


 よく育っている。


 


「……順調だな」


 


 うなずく。


 


 そのまま実家へ向かう。


 


「ただいま」


 


 玄関で声をかける。


 


「おかえり」


 


 母が出てくる。


 


「どうしたの?」


 


「ちょっと探し物」


 


「すぐ帰る」


 


 それだけ言って、自分の部屋へ向かう。


 


 棚を探す。


 


 昔の道具を取り出す。


 


 レーザークラフトの道具だ。


 


 昔、三年ほどやっていた。


 


 財布や名刺入れ、キーホルダー。


 


 いろいろ作っていた。


 


 だが


 


 いつの間にか、やらなくなっていた。


 


「……またやるか」


 


 ふと思う。


 


 道具を持って帰る。


 


 ログハウスに戻る。


 


 子狐も帰っていた。


 


「これから車の整備に行く」


 


 そう言う。


 


「……後で加工、頼めるか」


 


 聞く。


 


「いいよ」


 


 あっさり返ってくる。


 


 トラックに乗る。


 


 一枚板を探しに行く。


 


 何軒か回る。


 


 見つけた。


 


 ケヤキの一枚板。


 


 2400×1300。


 


 厚み80。


 


「……これだな」


 


 そのまま購入する。


 


 次に


 


 同級生の製材所へ向かう。


 


 両面を機械で整えてもらう。


 


 両端もカットする。


 


「……いいな」


 


 仕上がりを確認する。


 


 それを、そのまま子狐の工場へ持っていく。


 


 脚を取り付けられるように加工してもらう。


 


 溶接で脚を作る。


 


 仕上げる。


 


 塗装する。


 


 出来上がった一枚板。


 


 オイルフィニッシュで、二度塗りする。


 


 翌日。


 


 ログハウスへ運び込む。


 


 脚を取り付ける。


 


 組み上げる。


 


「……いいな」


 


 満足する。


 


 レーザークラフトの道具を置く。


 


 眺める。


 


「……」


 


 少し考える。


 


「……でかいな」


 


 思ったより大きい。


 


「……まあいいか」


 


 そういうことにする。


 


「……椅子、ないな」


 


 今さら気づく。


 


 だが


 


 それでもいい。


 


 机を作っただけで、少し満足している自分がいた。


 


 最近、子狐はあまり家にいない。


 


 忙しいのもあるが


 


 工場にいることがおおい。


 


 その代わり


 


 秋田犬たちが、我が物顔でくつろいでいる。


 


 リビングでも、好き勝手だ。


 


「……」


 


 ふと足元を見る。


 


 泥がついている。


 


「……最近、俺が拭いてるな」


 


 小さく呟く。


 


 まあ、それも悪くない。


 


 そう思いながら、のんびりと時間を過ごしていた。




 翌日。




 椅子を買いに


 


 大きな街まで出てきた。


 


「……これは座らないと分からん」


 


 後で後悔したくない。


 


 店を回る。


 


 いくつか試す。


 


 座る。


 


 立つ。


 


 また座る。


 


「……これだな」


 


 キャスター付きの椅子を、二つ購入する。


 


 そのままホームセンターへ寄る。




 大きな睡蓮鉢を買い。




 水草とメダカを購入。


 


 苗木を買う。


 


 ゆず、すだち、レモン。


 


「……増えてきたな」


 


 小さく呟く。


 


 帰宅して。


 


 そのまま苗木を植えていく。


 


 ゆずは


 


 一つだけ、温泉の近くに植える。


 


「……柚子風呂用だ」


 


 工場へ寄る。


 


 子狐が何かをしている。


 


 声はかけない。


 


 そのままログハウスへ戻り。




 井戸の横に睡蓮鉢を置き。




 汲み置きしていた井戸水入れる。




 睡蓮鉢の中に水草とメダカを入れる。



 

 これで亀もこちらに移動できる。


 


 椅子を置き、机と並べる。


 


「……いいな」


 


 少し満足する。


 


 そこへ――


 


 秋田犬たちが寄ってくる。


 


「……どうだ」


 


「いいだろ」


 


 話しかける。


 


 返事はない。


 


 当然だ。


 


 ふと見る。


 


 足が汚れている。


 


「……」


 


 しゃがむ。


 


 今日も、足を拭く。


 


「……まあいいか」


 


 静かな時間が流れていた。





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