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冬と聖夜






 朝晩の冷え込みが厳しくなってきた。


 


 裏山の木々は葉を落とし


 


 冬が訪れている。


 


「……寒いな」


 


 小さく呟く。


 


 ログハウスのリビングでくつろぐ。


 


 外に出る気はない。


 


「……快適すぎるな」


 


 そう思う。


 


 薪ストーブの火を眺める。


 


 揺れる炎を見ているだけで


 


 気分が落ち着く。


 


「……いいな」


 


 思わず呟く。


 


 リビングには


 


 俺。


 


 カラス。


 


 子狐。


 


 ……そして。


 


 秋田犬が二匹。


 


「……なんでいるんだ」


 


 思わず口に出る。


 


 ちゃんとした犬小屋は作ってある。


 


 庭先にある。


 


「……家あるだろ」


 


 ぼそっと言う。


 


 原因は分かっている。


 


 裏口の横に付けた


 


 ペット用の入口だ。


 


 カラスと子狐用に付けたものだが


 


「……でかすぎたな」


 


 大型犬用にしたのがまずかった。


 


 まだ子犬だが、それなりに大きい。


 


 余裕で通れる。


 


「……成犬でもいけそうだな」


 


 結果――


 


 自分の犬小屋には帰らず、


 


 こっちに入り浸っている。


 


 今も――


 


 薪ストーブの近くで、ごろごろしている。


 


 子狐とじゃれて遊んでいた。


 


 子狐も楽しそうだ。


 


「……まあ、いいか」


 


 強くは言えない。


 


 ただ――


 


「……足だけはな」


 


 気になる。


 


 土が付いたまま入られるのは、さすがに困る。


 


 だが――


 


「……無理か」


 


 犬だ。


 


 自分で洗うわけもない。


 


「……」


 


 少し考える。


 


「……カラス」


 


 声をかける。


 


「入るとき、足洗うようにって伝えといてくれ」


 


「子狐に」


 


 カラスは軽くうなずく。


 


「わかった」


 


 カラスがそこで、ついでに聞く。


 


「……ロバはどうだ?」


 


「中に入れるのは無理だよな……」


 


 カラスがこちらを見る。


 


「駄目なのか?」


 


 聞き返してくる。


 


「……駄目だ」


 


 即答する。


 


 カラスは少しだけ残念そうにした。


 


「……そうか」


 


 納得したようだ。


 


 薪ストーブの火が揺れる。


 


 暖かい空気が、部屋に広がる。


 


 外は寒い。


 


 だが――


 


「……悪くないな」


 


 そう思いながら、ゆっくりと時間を過ごしていた。


 


 


 翌日。


 


 道の駅へ出荷に向かう。


 


 今日は、久々に自分で行くことにした。


 


 愛車の四駆で走る。


 


「……たまにはいいか」


 


 そう思う。


 


 出荷を終える。


 


 そのまま――


 


 大きな街へ向かう。


 


「……買い物だ」


 


 本日、二十四日。


 


 クリスマスイブだ。


 


 ケーキとプレゼントを買うために来た。




 林檎ストアーに行き。




 予約していたスマホとヘッドホンを受け取る。


 


 林檎の最新モデル。


 


 五台。


 


 自分用も含めている。




 林檎のヘッドホンは子狐用。




 次は、ショッピングモールに行く。

 



 人が多い。


 


「……多いな」


 


 小さく呟く。


 


 まずは――


 


 カラス用に、止まり木。


 


 父親とカラスには酒、ついでに祠用も。


 


 母親には商品券。


 


 秋田犬には、大型のペット用ベッド。


 


「……ロバは」


 


 一応考える。


 


「……水桶でいいか」


 


 それにした。


 


 ケーキも買う。


 


 ホールを二つ。


 


 自分用と、祠用。


 


 親用には、カットケーキを二つ。


 


 さらに――


 


 いなり寿司を買う。


 


 お供え用だ。


 


「……こんなもんか」


 


 ひと通り揃う。


 


 帰ることにした。


 


 荷物を持って、駐車場へ向かう。


 


 その途中――


 


「……」


 


 視線を感じる。


 


 最初は気にしない。


 


 だが――


 


 ずっと続いている。


 


「……なんだ」


 


 悪い感じではない。


 


 だが、落ち着かない。


 


 駐車場に出る。


 


 車に乗り込む。


 


 そこで――


 


 千里眼を使う。


 


 視線の主を探す。


 


「……いた」


 


 見つけた。


 


 相手は――


 


 こちらに気づいたのか、すぐに顔を逸らした。


 


 そのまま店内へ戻っていく。


 


「……」


 


 顔は見えた。


 


 思い出す。


 


「……あの人か」


 


 三十代くらいの女性。


 


 前に、林檎ストアで


 


 呪いのことを忠告してくれた人だ。


 


「……なんでだ」


 


 少し考える。


 


 理由は分からない。


 


 だが――


 


「……呪いか」


 


 自分の状態は、そのままだ。


 


 それが気になり見ていたのか?。


 


「……まあいいか」


 


 深く考えないことにする。


 


 エンジンをかける。


 


 そのまま帰路についた。






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