紅葉と終わり
朝晩は肌寒くなってきた。
山々は、鮮やかな赤に染まっている。
「……秋だな」
小さく呟く。
早朝――
裏山に入り。
キノコを採る。
そのまま準備をして、子狐が出荷しにいく。
だが――
「……もう終わりだな」
ほとんど採れなくなってきた。
今年のキノコの出荷は、これで最後になりそうだ。
ふと――
イチョウの苗木を見る。
ずいぶん大きくなっていた。
見上げないと、全体が見えない。
「……早いな」
少し驚く。
カラスが言う。
「子狐が頑張ってるからな」
「……そうだな」
うなずく。
しばらくして――
気になっていたことを聞く。
「なあカラス」
「家畜、裏山のあちこちで見るけど」
「外に出てないよな?」
「よその畑に行ったら、怒られるぞ」
カラスは即答する。
「問題ない」
「子狐が囲ってる」
「……囲ってる?」
聞き返す。
「裏山の周りを、匂い付けして回ってる」
「その先には出るなって、言い聞かせてある」
「……ああ」
なんとなく理解する。
「犬とか猫のマーキングみたいなもんだ」
「……なるほどな」
納得する。
「……すごいな」
素直に思う。
ふと、別のことに気づく。
「……鶏、ヒヨコが増えてないか?」
明らかに数が増えている、このままじゃ鶏だらけだ。
「増えすぎたらどうするんだ」
カラスが淡々と言う。
「問題ない」
「つまみ食いしてる」
「……ん?」
一瞬止まる。
「つまみ食い?」
カラスが続ける。
「子狐が、たまに食ってる」
「……そうか」
納得する。
「お菓子あれば食わないんじゃなかったのか」
「……まあな」
カラスは軽く流す。
「増えすぎても困るだろ」
「……そうだな」
自然の流れだ。
少し考える。
「……子狐に言っといてくれ」
「大きいやつは、家の食材に回せって」
「わかった」
カラスが答える。
山を見渡す。
赤く染まった景色が広がっていた。
「……まあ」
小さく呟く。
「……これでいいか」
ログハウスの周辺。
畑になる場所を耕しておく。
来年から使う予定だ。
「……まずは、じゃがいもか」
無難なところから始めることにした。
それと――
五右衛門風呂。
釜は手に入れてある。
自分でやることもできるが――
「……どうせなら、ちゃんとやるか」
見た目も良くしたい。
開放感のある建物にしたい。
なので、業者に頼むことにした。
建築屋に電話する。
「五右衛門風呂なんだけど、やれます?」
相談する。
「十畳くらいの、開放的な建物で」
「風呂と脱衣室だけのシンプルなやつ」
そう伝える。
「来年の二月くらいまでに建てたいのですが?」
聞いてみる。
少し間があって――
「やったことはないけど、やってみたいな」
そんな返事が返ってきた。
「……じゃあ頼みます」
そのままお願いする。
場所は――
倉庫と、これから建つプレハブの近くにする予定だ。
山仕事や作業のあと、そのまま風呂に入れるように。
「……いいな」
少し想像する。
檜の丸太もある。
「……檜風呂も追加するか」
少し大きめにしてもいい。
内装も、全部檜にして――
「……大きいガラスもいいな」
景色が見えるように。
「……あとで相談だな」
そう思いながら――
次の準備を考えていた。




