若葉
桜が散り、若葉が芽吹き始めた。
朝から祠に来て、周辺の木を間伐していた。
九尾の舞で、周囲の木々も一気に育ってしまったからだ。
「……やりすぎだろ」
小さく呟く。
あれから五日ほど、間伐作業をしている。
ようやく終わりが見えてきた。
夕方までに片付けも終える。
「……終わったな」
道具をまとめる。
帰ろうと歩き出す。
ふと、立ち止まり振り返る。
全体を見る。
「……」
なぜか、落ち着く。
視線を上げる、桜を見る。
「……まだ満開か」
散る気配がない。
「……大丈夫か?」
少し気になる。
スマホを取り出す。
九尾にメッセージを送る。
写真も添える。
『散る気配がないです、これは散りますか?』
すぐに返信が来た。
画像付きだった。
「……自撮りか」
九尾の顔が映っている。
その下に一言。
『そのうち散る』
「……まあ、いいか」
深く考えないことにする。
そのまま山を下りる。
納車された軽トラに道具を積む。
「……便利だな」
小さく呟く。
そのまま帰宅した。
翌日。
四トントラックで石屋に向かっていた。
テーブルが出来たと連絡があったのだ。
石屋に着く。
支払いを済ませ、トラックに積み込んでもらう。
「設置、手伝いましょうか?」
そう言われたが――
「大丈夫です」
断った。
人力では到底無理な重量だ。
だが――
「……いけるだろ」
そう思っている。
トラックに乗り、祠へ向かう。
祠の近くの林道まで行き。
林道から祠までは道を作ってある。
運びやすくしている。
「……ここからだな」
トラックを止める。
荷台に回る。
両手を広げる。
テーブルを掴む。
そのまま引き寄せる。
ゆっくりと下ろす。
「……いけるな」
問題ない。
そのまま持ち上げる。
祠まで運び。
テーブルと椅子を設置する。
位置を微調整する。
「……こんなもんか」
腰を下ろし、座ってみる。
「……いいな」
しっくりくる。
しばらく、そのまま休む。
風が抜ける。
静かだった。
「……悪くない」
立ち上がり、トラックに戻る。
そのまま倉庫まで行き。
軽トラに乗り換える。
「……行くか」
間伐へ向かう。
作業を進める。
夕方だ作業を止めて帰る。
ログハウスの建設場所に寄る。
基礎はすでに出来上がっている。
木材も搬入されている。
「……進んでるな」
少し眺める。
それから――
そのまま帰ることにした。
家に帰り。
部屋に入ると――
「……なんだこれ」
見慣れない物があった。
カラスと子狐に聞く。
「主たちからの贈り物」
カラスが答える。
「お前がイノシシと戦った話をした」
「武器がなかったから鉄を投げたって言ったら――」
「くれた」
「……は?」
視線を向ける。
そこには――
槍と刀があった。
「槍は天狗様から」
「刀は九尾様から」
「……すごいな」
見ているだけで、何か圧を感じる。
「……これ、大丈夫か?」
思わず聞く。
「妖刀だ、すごい」
カラスが嬉しそうに言う。
子狐も頷いている。
「……いや、そうじゃなくて」
少し引く。
「これ、襲ってきたり生気を吸取ったりしないよね?」
「加護があるから大丈夫」
「……するのか」
納得する。
「……なんか、肌がヒリヒリするんだが」
「そんなもん」
「……そうか」
とりあえず受け入れる。
狐のログハウス保管してもらいたい、ここでは無理だ
「これ大事な贈り物だから、狐のログハウスで保管しといてくれない」
「この部屋は狭いし」
子狐に頼む。
「わかった」
素直に返事が返ってくる。
「……ふう」
少し安心する。
スマホを取り出す。
天狗と九尾に礼のメッセージを送る。
すぐに返信が来た。
スタンプだった。
「……軽いな」
小さく呟く。
そして――
「……これ、許可とか大丈夫か?」
現実的な問題が浮かぶ。
「……どうにかしないとな」
「……確実に駄目なやつだ」
「……登録に出したら大騒ぎだな、無理だ」
そう思った。




