桜と植樹
桃の花が終わり、桜が満開になった。
風が吹く。
花びらが舞い落ちる。
桜吹雪の中を歩く。
「……いいな」
自然とそう思う。
気温も上がり、過ごしやすくなってきた。
小さな苗木7本と剣スコップを持つ。
祠へ向かって歩く。
途中、倉庫に寄り。
イチョウの苗木を植えておく。
「……こんなもんか」
軽く踏み固める。
そのまま祠へ向かう。
祠に着くと。
イノシシを埋めた場所――
石を積んだところに、牡丹の苗木を植える。
ここは牡丹でいいかと、牡丹鍋からのイメージで選んだ。
祠の近くには榊2本を植える。
周りには、紅葉と桜を植えていく。
そして――
中心の窪みの近くに、楠木を植えた。
「……ここは、これだな」
なんとなく、そう思った。
すべて植え終える。
そのまま、少し休む。
腰を下ろし。
植えた苗木を眺める。
大きく育った風景を、ぼんやりと想像する。
「……悪くない」
小さく呟く。
――そのとき。
気配が変わる。
天狗と九尾が現れた。
「……おはようございます」
軽く挨拶する。
「何をしていた」
天狗が聞いてくる。
「苗木を植えたんで、それが大きくなった時を想像してました」
そう答える。
九尾が笑う。
「なら、見せてやろう」
そう言って――
舞い始めた。
風が揺れる。
空気が変わる。
目の前の苗木が――
伸びる。
枝を広げる。
葉をつける。
花が咲く。
一気に、景色が変わる。
「……」
言葉が出ない。
舞が終わる。
気づけば――
楠木も大木になっていた。
「……すごいな」
ぽつりと呟く。
九尾は楽しそうに笑っていた。
しばらく呆然と眺めていた。
二人は用事があったのかかと、ふと思う。
「……今日はどうしたんですか」
聞いてみる。
「連絡が取れん」
天狗が言う。
「連絡先交換していない、友達登録していないだろう」
なるほどと思う。
「……そういうことか」
スマホを取り出す。
その場で友達登録して、連絡先も交換した。
「これでいいですか」
確認する。
二人とも満足したようだった。
「ではな」
そう言って、消えた。
「……早いな」
少しして――
スマホが鳴る。
メッセージが届いていた。
天狗と九尾からだった。
『よろしく』
それと――
『次は有名店の羊羹がいい』
URLまで貼ってあった。
「……ちゃっかりしてるな」
小さく呟く。
しばらくして立ち上がる。
「……行くか」
林道の整備と間伐作業へ向かった。
作業を終え、早めに帰宅した。
林道の整備も進んできている。
「……車で移動するか」
そう思い。
軽トラが欲しくなった。
街へ向かう。
本当はディーラーで買うつもりだったが――
道沿いの車屋に、新車の軽トラが並んでいた。
「……ここでいいか」
そのまま店に入る。
軽トラを見せてもらう。
「これ、すぐ納車できますか?」
聞く。
「できますよ」
即答だった。
「……じゃあ、これで」
そのまま契約する。
手付金を払って店を出た。
「……早いな」
数日で納車されるらしい。
せっかく街まで来たので、買い物をする。
お供え物。
カラスと子狐の菓子や饅頭も買っておく。
帰り道――
以前、石像を頼んだ石屋に寄る。
「テーブルとか作れます?」
大きめの石のテーブルと、丸太をこれぐらいで切った感じの石の椅子をできます?。
「問題ないですよ」
そう言われる。
「じゃあ、頼みます」
そのまま注文する。
帰宅する。
部屋に戻る。
カラスと子狐に菓子を渡し。
「……ほら」
二人とも喜んでいる。
URLの有名店の羊羹を購入して。
そのまま、のんびり過ごした。




