彼岸
朝晩の寒さがなくなり、暖かい日が多くなってきた。
彼岸入りした。
墓に寄ってから、竹藪の整備へ向かう。
街に住む人たちと違い、田舎では普通なのだが、この辺の墓は家の近くにある。
それぞれの家のそばにあったり、数軒でまとめて小さな墓地にしてあったりする。
「……今だと許可されないかもな」
ふと思う。
だが――
「……楽だな」
墓参りは気軽に行ける。
散歩のついでで行ける距離だ。
手を合わせる。
「……まあ、いつも通りで」
それで終わりにする。
こないだ買った苗木のことを思い出し、そちらにも向かう。
倉庫の近くを整備して、すでに植えてある。
周りは木の柵で囲ってある。
「……これでいいか」
ひと通り確認する。
問題はない。
そのまま竹藪へ向かう。
整備を始める。
ほとんど終わっているで。
作業をし残りの片付けをして、竹藪の整備は完了とする。
「……終わったな。筍が楽しみだ」
小さく呟く。
そのまま、裏山の間伐へ移る。
木が密集している場所を間伐していく。
伐採して枝を落とし、規定の長さに切り揃える。
それを林道まで下ろしていく。
運搬車に載せる。
丸太の置き場は整地して作ってあるので、そこまで運んで下ろす。
その作業を繰り返す。
ひと通り終え。
今日の作業は終了だ。
「……さて」
その足で、ログハウスの建設予定地へ向かう。
すでに土は入れ替えられていた。
地盤改良も、整地も済んでいる。
基礎工事の型枠も設置されていた。
「……早いな」
思わず呟く。
少し、わくわくする。
そのまま帰ることにした。
部屋でタブレットをいじり、漫画を読んでいた。
しばらくすると――
「ねー」
子狐が声をかけてくる。
「……なんだ」
「確定申告、しておいた」
「……は?」
一瞬、固まる。
「誰のだ」
「あなたの」
「……まじか」
思わず声が出る。
「どうやってやった」
「マイナンバーカード使った」
「……暗証番号は?」
「知ってる」
「……どうやって?」
「見てた」
「……見てた?」
「番号を入力していたの」
「……そうか」
少しだけ考える。
「……いや、勝手にやるな」
「一言いって」
ため息をつく。
「わかった」
素直に返ってくる。
「……やり方は?」
「ネットで覚えた」
「……できたのか」
「できた」
「……そうか」
少し驚く。
「ちゃんと収入も入れてる」
「……収入?」
「広告のやつ」
「私の分も入れてある」
「……お前の、そうだ忘れてた」
一瞬、間が空く。
「……まあ、いいか」
細かいことは考えないことにする。
子狐に言われた。
「これからは領収書、ちゃんともらっといて」
「……はい、わかりました」
俺はそう言って、軽く頭を下げた。
「これからもよろしくお願いします」
お願いをした
内心――
「……なんだこの子」
「……やたら優秀だな、便利」
「……そういえば狐の収益化の申請の時も全部できてたな」
そう思った。




