余韻
朝晩は寒いが、昼間は少し日差しが暖かくなってきた。
カラスに乾燥してもらった、椎茸用の原木を玉切りにしていく。
そのまま、駒打ちまで済ませておく。
「……こんなもんか」
ひと区切りついた。
その足で、竹藪の整備へ向かう。
現場に着くと――
「……」
ふと、イノシシのことを思い出した。
あれから、剣鉈を購入した。
ついでに、大手通販で鉄球も買ってある。
投擲用する。
「……使うことはないと思いたいが」
小さく呟く。
少し考えて――
竹藪の整備を途中でやめる。
祠へ向かう。
イノシシを埋めた場所へ行く。
そこに石を積む。
軽く手を合わせた。
「……」
特に、何かを恐れているわけではなし。
悪いとも思ってはいない。
ただ――
「……なんとなく、だな」
そうしておこうと思っただけだ。
それで終わりにする。
「……帰るか」
そのまま家に戻る。
今日はもう作業はしない。
家でゆっくりすることにした。
夕食の時間。
親父が言う。
「免許の更新に行ってきた」
「視力検査、通ったぞ」
「眼鏡等、なくなった」
嬉しそうだった。
「……そうか」
短く返す。
少しだけ――
気まずい。
「……」
黙って飯を食べる。
さっさと食べ終える。
そのまま部屋に戻った。
「……」
何も言わず、横になる。
天井を見る。
「……まあ、いいか」
小さく呟いた。
3月になった。
ログハウスの建設が始まる。
完成まではまだ時間がかかるが――
「……なんか、いいな」
少し浮き立つ。
今日は、日の出前に家を出た。
愛車の四駆で走る。
助手席のバッグの中では、カラスが寝ている。
一緒に出かけていた。
日の出前に海へ着く。
空が明るくなり始める。
「……起きろ」
カラスを起こす。
そのまま釣りを始めた。
今日は、アオリイカ狙いだ。
エギング。
餌木――エビの形をしたルアーで釣る。
「……まあ、気楽だな」
移動しながら投げ続ける。
三時間ほどやった。
結果――
一キロほどのアオリイカが一杯。
「……まあ、いいか」
それで切り上げる。
街のホームセンターへ向かう。
カラスとは、海で別れた。
遊んでから飛んで帰るらしい。
ホームセンターで、桃と梨と柿の苗木を六本買い。
そのまま帰宅する。
母親にアオリイカを渡す。
「晩御飯で、刺身にして」
「新鮮だね」
そんな会話をする。
風呂に湯を張る。
体を温める。
部屋に戻ると――
カラスはすでに戻っていた。
「……早いな」
小さく呟く。
明日は、苗木を植える予定だ。
「……やること増えたな」
そう思いながら、横になった。




