第77話 レティシアと友は傷をえぐる
脱出したワタシ。
今日はアカリさんに逢うことしか考えていなかったので、この後は特に行くところもない。
ふらふらと大学前の通りを歩いていると、ちょうどマリー達に遭遇できたので一緒にランチをする事になった。
ケンカなんてよくあることだし、いちいち気にしていては友達なんてやってられない。その証拠にソフィアは今日も能天気に笑っている。
緩く固まって歩く友人達の間をわたしは軽く話をしながらくるくる歩き回る。
「今日はご機嫌じゃない?レティシアちゃん」
「アカリさんには会えたの?」
「ん~」
私はその場でくるりと回ってみた。
空色のワンピースの膝丈のスカートがふわりと広がる。
なんかマリーが呆れ顔だ。
「……あんた、ホントに美人だねぇ」
「でしょう?でも見て欲しい人には逢えないんだよね~何故か」
あの朝の河原での出会いから、アカリさんと逢えていない。あんなに毎日、最低でも視線は交わしていたのに、この3日間ニアミスすらない。
3日だよ、ありえない。
「それにしては落ち込んで無いじゃない?」
「何の余裕なのそれは」
ぞろぞろ歩く仲間達からスキップで数歩前に出た。
「まぁ、キ、キスの直前まで行った間柄ですから!持つ者の余裕なのよ。待つのも恋のスパイスなのよ、わかるかなぁ」
私は恋愛落伍者たちに余裕の背中を見せつけてやった。
「叩きたい」
「キスが怖くて逃げたヘタレに、また会ってくれるかなぁ」
「宇宙の人なんて恋愛はオープンなんだから、アッチコッチでチュッチュしてるに違いないわ。キスも出来ない地上の女なんか、もう忘れてる頃よ」
「最後のチャンスだったのにね……」
「キスなんて、入り口ですらないのよ?」
「お子様レティシアにはまだ早かったのね……戻っておいで、一緒に呑もう」
いつもの突っ込み勢より多いんですけど!
「ヤバい、泣かせた?」
「マリー、あんたいっつもデリカシーがないのよ」
「いや、今のは皆で煽ったでしょ!?」
「またゾンビパーティーする?」
「「「「や~あれはちょっと……」」」」
人を打ちのめしておいて、なんか楽しそうに……。
「泣いてないし……ちょっとお腹空いただけ……」
「よ、よし!お肉食べよう、肉!」
「「肉神」のハンバーグのビュッフェランチを食べ尽くしてやりましょう!」
とはいえそんなに食べられるものでもなく、程々満腹で楽しいランチであった。




