表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/6

レティシアとガラスの友情

 始まりはとある昼下がり、自由大学帰りのソフィアに呼び出されたことからだった。


 彼女には珍しく私好みのバー、つまり居酒屋に独りでいた。


「レティシア。レティシアは私の友達だよね」


「お、おう」


 店の雰囲気を大事にする私がとりあえずの生を飲み干して、次のドリンクを物色している無防備なタイミングで、ソフィアがつっこんできた。


 驚きはしたがまずは冷静に店員を呼んで、


「日本酒をグラスで。このへんので良いわ。あとホヤのお刺身と……」


「私も同じの。ホヤって、美味しい?」


「好きな人は好きだね。あと唐揚げ。以上で」


 よし。


「でどうしたの?確かに私達は友達だね」


「マリーとも友達だよね」


「そうね」


 たまにお母さんっぽいけど。


「私が親友になるから、マリーとはもう仲良くしないで!」


 どうするんだ、料理を運んできたお姉さんが固まってるぞ。


「ありがと。そこに置いといて」


 お詫びの印にレティシアスマイル10倍だ。店員は頬を染めて去っていった。




「らしくないね。喧嘩でもした?」


 マリーと仲良くしない選択肢はない。彼女がいなければこの街でまともに生きていく自信がないからね。これもまたどうせしょうもないオチだろう。


「喧嘩じゃないわ……戦争よ!」


 この街に出てくるまで同世代の友達というモノがいなかった私は、付き合いが下手だ。今も何とか表面を繕っているにすぎない。私には重すぎるよ、ソフィ……。


 グラスを一気に干して心を落ち着かせる。


「聞かせて」


 素面じゃ聞けん、と言うことだけど。


 店員に目で合図してお代わりを頼む。


 本人達はいたって真剣だという事はわかるが。要約すると、二人が好きなMANGAがあって、私も知っている有名なやつだ。全部は知らないけど。それのある登場人物のことを二人が好きになってしまったと言うこと。


 私の私だけの彼なのに。


 そうなるともう許せないのだ。彼のことは話さないで。いや、私が好きなんだから。


 たまに聞くシチュエーションだけど、マリーまでそんなに熱くなるとは驚きだ。


「そのMANGAだったら私、ジョナサンが好きだな」


 ジョナサンは元エースパイロットで、過去の出来事を引きずってウジウジしているのだ。そこまで人気のあるキャラではないけど、玄人好みだよね。


「うわー、引くわ。有り得ない。ジョナサン?ないわ~」


 何コイツムカつくんですけど!


「マリーもジョナサンだけはないって、ほら」


 いつの間にメールしていたのか、ソフィアが端末の画面を見せてくる。


『私もないと思うけど、レティシア流のジョークだと思う』


 何様だぁ~! 


「あんた達の推しも、単なるイケメンのペラッペラじゃん?どんだけイケメンが好きなのよ!男は陰が大事なの、わかる?」


「陰じゃないし。単なる陰キャだし。ていうかあいつ決戦前に死ぬときのセリフ、ギャグしかないし」


「え……」


 酷い、ありえないネタバレだ。ジョナサンさん死んじゃうの?


「あ、ゴメン。知らなかった?」


「ひどいよ。ソフィ……」


「……ぷっ」


 なぜそこで笑う。


「いや、ジョナサンの最期のセリフ思い出したら、つい」


 ソフィアとはもう絶交だ!いや、戦争だ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ