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3.初めまして②

 俺、側から見たら変態とかに見えない? 大丈夫?

 14歳の中学生男児が幼女とはしゃいでるのって怪しくね?


 いや、兄妹に見えなくもない…か……?


「お兄ちゃんは今なんさい?」


「14歳。桜ちゃんは?」


「5さい!」


「そっかぁ、京香と同い年だ」


 思い浮かべるのは俺と9つ歳の離れた幼い弟。

 年も離れているからか、大きな喧嘩もした事がなく普通の兄弟よりも仲はいいと思う。

 俺を見かけると「兄ちゃん!」と笑顔で抱きついてくるのが可愛くて仕方がない。ブラコンだと言われても構うものか。可愛いのが悪い。


「きょう…?」


「京香。俺の弟だよ」


 今は友達の家に遊びに行ってしまっていないけれど、二人が並んだらきっとめちゃくちゃ可愛いんだろうな。

 同い年だと言うのに京香より桜ちゃんの方が大人びて見えるのは女の子だからだろうか。女の子の方が男よりも精神年齢が数歳上だとよく聞くし。

 もしくは家庭環境か……。


「今度、京香ともご挨拶してくれる?」


「うん」


「ありがとう」


 あぁ、可愛い。

 京香も可愛いけれど、また違う可愛さがあるというか。


「あのね……」


「ん?」


 もぞもぞと恥ずかしそうに頬を赤らめて何かを言いにくそうにする彼女にどうしたのかと問う。


「お、お兄ちゃんのことお名前で呼んでもいい?」


「もちろん!」


「悠叶くんのお名前とてもきれいだから、好きなの」


「…………綺麗」


 初めてだった。

 今まで可愛いだとか女みたいだとかは散々言われてきたけど、綺麗は初めて言われた。

 そう言えば、似合ってないとかも言われたっけなぁ。はっきり言ってこの名前にいい思い出はない。


「王子様みたいにやさしい悠叶くんにピッタリだとおもうの」


「そっか、ピッタリかぁ」


 初めて言われたその言葉に柄にもなく舞い上がる。

 きっと、彼女は何にも考えず思ったままのことを言ったのだろう。その証拠に声をあげて笑う俺のことをキョトンとした目で見ている。

 けれど俺には、その何の含みもないその言葉が嬉しくて仕方がなかった。まっすぐな言葉も、花が咲くような笑顔も。俺に向けてくれるその純粋さが何よりも嬉しくて、守りたいと思った。


「ありがとう、すごく嬉しいよ」


 そう言ってふわふわの頭をそっと撫でれば、彼女は解けるように笑った。


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