表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/12

10.だいすきなひと

桜side



 今日も私は広いおうちでひとり。


 前のおうちでもお留守番をすることはたくさんあったけど、今みたいな気持ちにはならなかった。

 寂しいけど、絵本をよんだりお絵かきをしていればあっという間で。

 お日様がいなくなったら、ママの言いつけどおりごはんを温めて食べてどっちかが帰ってきてくれるのを待つの。


 二人はおしごとで忙しいからおうちにはあまりいられないんだって。


 新しいおうちは前よりもお大きくて、初めてこのおうちに来たときは久しぶりにママとパパがずっといっしょにいいてくれてうれしかった。

 お話をしたり、遊んだりはなかったけれど、いっしょにいてくれるだけでうれしかったの。


 お隣のおうちはお花がとてもキレイで、後から出てきたお兄ちゃんは絵本の中の王子様みたいだった。


 かっこよくて、優しくて、いつも笑顔の悠叶くんが大好き。

 私とたくさん遊んでくれて、いっしょにごはんを食べてくれて抱っこしてくれたり。頭をふわふわなでられるのも好き。

 でもいちばん好きなのは、悠叶くんがお名前をよんでくれるとき。


 お花みたいにキレイに笑って、お日様みたいなあったかい声で私のお名前をよんでくれるの。


 広くて静かなお部屋で悠叶くんのことを思い出すと暗い気持ちがどこかにとんでいくんだよ。

 それでもどうしても、とんでいってくれないときは心のなかで何回も悠叶くんのお名前をよぶの。


 そうするとね。


「桜ちゃん」


 いつもお迎えにきてくれるんだ。


 悠叶くんがずっとそばにいてくれたらいいのに。

 そうしたらこわい時間もさみしい時間もぜんぶなくなるのに。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ