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3ヶ月前のこと。
2年付き合っている彼氏から別れて欲しいと言われた。理由は、「僕は君と釣り合いの取れるような真っ当な人間じゃない」かららしい。
何も言えずに私に対して彼は、
「少し長くなるけれど、僕という人間がどういうやつかと言うのを話したいと思う」
そう言って話を始めた。
「高校の時の話なんだけど、クラスにいじめられている子がいて。あ、暴力とか物を隠されたりとかそういういじめじゃなくて、無視とか陰口とかいうタイプの方。俗に言う現代的ないじめ、こっちの方がいじめって認定されにくいからたちが悪いかも知れない」
「みんな気付いてたんだけれど、別に助けたり注意することもなく、気付いていないフリをする。それが1番楽だからね」
「その状態が3ヶ月くらい過ぎた日、そのことで、放課後にクラス会が開かれることになった。その時、担任の先生が出ていったんだよね。これはお前たちの問題だからお前たちで解決しなさいって……」
「僕は、疑問に思ったよ。確かに僕も罪人の1人であることは違いない。助けなかったのだから。だけどさ、担任はまるで自分は自分は部外者のような顔をして教室を出ていったわけ。先生に罪はないのかな……」
「『お前たちで解決しなさい……』って言われても、急に話し合いなんてできるわけない。どうする? 代表者を出して話し合う? その代表者っていじめられている側、いじめている側? できるわけがなかった」
「仕方なく、クラス委員長の男の子が、進行という役割で前に出たんだけれど、『今から、○○さんがいじめられている件について話したいと思います』って、皆がぼんやりとさせていたことをはっきりと言っちゃったんだよね。委員長は素直な子だったから」
「その子がいじめられている理由を僕は知らなかった。僕はスクールカーストの下の方に属していたから、理由までは分からないんだ。そういうのって上の方に属していると噂として回ってくるんだろうけれど僕みたいなタイプには全然で」
「いじめられていたその子、目は大きかったし、肌も綺麗だったし、可愛い子ではあった。それこそ、スクールカーストの上の方に属してそうなルックスしてた。嫉妬なのか、痴情のもつれなのかは分かんないけれど」
「○○さんを率先していじめていた△△さんっていうリーダー格の女子も、確かに可愛い子ではあった。僕の好みの顔でなかったけれど人気はあった。