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71話

 ダイヤモンド帝国のギルドに併設された宿の一室、五人の冒険者たちが、各々自由に過ごしていた。


「ふわぁ。よく寝た……」

「丸一日も寝ているじゃないですか!」

「だって、疲れたんだよ。寝てもいいだろう?」

「そろそろ彼が動き出す頃です」

「そうか~、そうだよなぁ」


 紫の髪を揺らしながら、五人は部屋を出た。昼下がりのギルド内は多くの冒険者で溢れかえっていた、冒険者たちは手近な冒険者に声を掛ける。


「フウって冒険者知らない?」

「フウ?」

「若草色の髪をした男だよ」

「ああ、昨日ヘスさんと話してたな。図書館に行ったとか。なんかあったのか?」

「まぁねぇ~」


 短いやり取りを終えると、五人は路地裏に身を寄せた。そして冷や汗をかきながら、今冒険者に聞いた話を繰り返す。


「図書館に行っただとォ!アイツに休みたいとかそういう気持ちはないのかァ!」

「どれだけ行動力あるんだ」

「仕方ないでしょう。命が掛かってるかもしれないのですから」

「でも、このまま動きが掴めないと怒られるぅう」


 口々に『フウ』に対して思っていることをぶちまけている、まさにその時だった。背後から冷ややかな声がした。


「安心してください。悪魔は無事、ホワイトドラゴンと合流しましたから」


 五人は一斉に振り返ると、吸血鬼がそこに立っていた。五人の冒険者は一瞬にして擬態を解き、ブラッドウルフの姿に変貌する。


「吸血鬼さんは行かなくていいんですか?」

「私は少し用があるので、これで失礼いたします。ブラッドウルフの皆さん、ありがとうございました」

「本物のアメシストのSランク冒険者たちは大丈夫なんですよね?」


 一匹のブラッドウルフが心配そうな声で、吸血鬼に問うた。


「金を払えば大丈夫でしたよ。冒険者なんて所詮、金で動くものです。楽に稼げるなら、それでいいんでしょう」

「……ヘスって冒険者、昨日少し騒ぎになってたけど、何かしたんですか?」

「さあ?精神干渉は闇属性の得意分野だと思うので、そのようなことはあなた方の方が詳しいと思いますけど」


 吸血鬼はそれだけ言って、影のように姿を消した。残された五匹のブラッドウルフは、影の中に身を潜めると、緊張の糸が途切れたかのように、息を吐き、再び話し始めた。


「人間を買収できるほどの金を持ってるなんて、何を売ったんだろう」

「考えるだけ無駄さ。吸血鬼さんは前前魔王に仕えてたし、その時の財宝でも持っているんだろ」

「前前魔王の四天王って、皆死んでるから、実質財宝を独り占めってことか」

「ひぇ~」



 その場を立ち去った吸血鬼は、ある場所へと向かっていた。


 そして目当ての建物の前に立つと堂々と正面から中へと入る。そしてある部屋の中に入ると、ベッドで横たわっている女を上から見下ろした。


「彼女が、ユーカ様のご友人ですか——」

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