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58話

 俺がアメシストに戻ると、ちょうど馬車が出発の準備をしていた。一台にはアメシストの王女、もう一台にはガーネット王国の王女とその側近、そして最後の一台にユーカたちが乗るようだ。各馬車には魔導士や冒険者が護衛としてつき従うようで、物々しい雰囲気を放っていた。急な話ではあったため、荷物などは最小限、とにかく安全な地に移るというのが目的みたいだ。


 今回のガーネットの件があったものの、アメシストの国王らはアメシストに残ると決めたらしい。自分だけ逃げるのは癪だと、娘だけに未来を託したのだという。愚かとも言えるが、その覚悟には一国の王としての重みがあった。半端な覚悟でそのようなことは言えない。


 俺は馬車列よりも前に出て走った。俺は馬よりも高位の速度上昇の魔法をかけているから、馬車の脚よりも先に進んでいた。先に道を下見して安全を確かめる。何かあれば俺が排除するまでだ。


 幸いにも道中、魔族が現れることはなかった。山賊らしき連中はいたが、適当な場所に転移させておいた。天候はおそらく紫龍が操作していたのだろう。雨に打たれることもなく、旅は異様なほど順調だった。俺はほっと胸をなでおろす。道のりが長い故に、何か起こるのではないかと心配していた面が大きかったからだ。


 やがて馬車は無事にダイヤモンド帝国へと辿り着いた。俺は先に検問所で冒険者証を提示する。Bランク冒険者である俺は、何か詮索されることもなく、拍子抜けするほど簡単に帝都に入ることが出来た。


 そして、気づけば足は中央ギルドへと向かっていた。


 ここにはまだ自分が魔族だと知らなかった頃。ダイとして来たことがある。あの時はアールと共にドラゴン討伐の依頼を受けた。だがその依頼の最中に、セネトの死の真相を知り、俺が魔族であることをアール——吸血鬼から言われて、四天王になったんだっけ。


 そしてフウの記憶にもこの地はあった。セネト率いる勇者パーティーがダイヤモンド帝国中央ギルドに所属していたから。フウがよく依頼を貰っていた。セネトはフウが来てから明るくなったとかギルドの職員からも言われていた。


 今となっては遠い昔の話だが、ここは、俺にとって様々なことがあった場所だ。


「えーっと……」


 壁に掛けられた依頼を見る。俺の推測が正しければ、この掲示板に並ぶ依頼の中に、魔族によって仕組まれた依頼があるはずだ。怪しい依頼には既に目星がついていた。アメシストのSランクパーティーが、わざわざダイヤモンド帝国から直々に受けたという依頼である。ダイヤモンド帝国内のパーティーだけでは勝てないという相手——。


 俺が依頼を見ていると一際目立つ依頼があった。


「ダンジョン攻略——」


 ダンジョン攻略、だと? 今時、そんな依頼があること自体が変である。少なくとも俺の記憶には、近年ダンジョンなどというものが依頼の形で扱われた例はない。加えて四天王として魔族領の隅々まで歩き回った俺でさえ、記載されている場所にダンジョンがあったことを知らないということは、最近できたダンジョンというわけだ。


 おそらく、ユーカならそれに気がついて、間違いなく食いつくだろう。


「すみません、このダンジョン依頼っていつからですか?日時が書いていなかったので」

「それが——本日決まりまして、明日の朝七時からでございます」


 ギルドの職員は、どこか困惑を滲ませながらそう告げた。てっきり、まだ詳細が詰まっていないから日時が空欄なのだと思っていた。だが、実際には明日の朝にはもう出発だという。 まるで——ユーカ達が帝都に着く時刻に合わせて、仕組まれたかのようである。


 偶然にしては出来すぎているが、道中、魔族が襲ってくることは無かったし、魔族側に擬態した奴がいない限り、ユーカ達がダイヤモンド帝国に入ったと知る方法はない。——いや、アメシストの時は人間に擬態した魔族がユーカを誘き出すために、龍の話を持ち出していた。もう既に魔族が入り込んでいると仮定したほうがいいだろう。


「ありがとうございます」


 俺はとりあえずギルドに併設された宿の部屋を借りると、街の様子を確かめに外へ出た。ガーネット王国が赤龍に滅ぼされたという話などは、この帝都に届いていないかのようだった。子どもたちは外を走り回り、酒場からは笑い声が溢れている。あまりにも平和で、まるで現実から切り離されているように思えた。


 俺は一通り街を巡り歩いた。気付けば陽が沈み、辺りは暗くなっていた。俺がギルドに戻ると入口に、紫髪の少女が佇んでいた。明らかにギルドには似つかない年齢の人間に見えるが、人間に擬態した紫龍である。


「ここ……じゃな」


 独りでにそう呟くと、紫龍は意気揚々と中へ入っていった。確かに、紫龍に情報収集をさせるというのは悪くない話だ。紫龍なら簡単に冒険者証を作ることが出来るし、魔法も扱える。違和感なく依頼に潜り込むことができるというわけだ。


 それにユーカが危険な地にわざわざ赴く必要もなくなるしな。


「とりあえず、まずは冒険者証なのじゃ」


 紫龍は、まるで自分に言い聞かせるかのように、小さな声でぶつぶつと独り言を呟いていた。紫龍は初めて冒険者になるのだろう。冒険者の礼節も知らない奴がいきなり冒険者になるのは不安だろう。


 考えてみれば当然の話である。そもそも魔族が人間の世界で冒険者をしているという事自体が異常なのだから。


「冒険者証が欲しいのじゃ」

「えっと……お嬢ちゃん、何歳かな?」

「え?」


 俺は紫龍が心配になり、ギルド職員との会話をこっそり盗み聞きしていた。人間の姿に擬態した紫龍は、ぱっと見れば十代前半の少女にしか見えない。職員も困惑気味に対応している。


 中身は八百年を生きてきた魔族だけどな。


「……? 百歳なのじゃ」

「嘘は良くないなぁ。冒険者登録は十四歳以上じゃないと受け付けられないんだ」

「じゅ、十四歳!?」


 ちょっと待て。アイツ、八百年以上も生きておきながら人間の寿命を知らなかったのか?……いや、まぁ確かに他種族の寿命なんて、興味がなければ気にしないだろうし、知らなくてもおかしな話じゃない。


 だが、人間が短命であることくらいの知識はあるだろう。なのに紫龍は、まるで初めて知ったかのように目を丸くしている。人間に擬態しているんだから、せめて表情は隠せないものなのだろうか。


「うっ……」


 職員は眉間にシワを寄せ、手を振り払って、厄介払いするように紫龍を追い出そうとしていた。

 紫龍は困り顔で、瞳を潤ませている。幼い外見に似合った仕草が余計に弱々しく映る。このままでは冒険者証を作るどころか門前払いだ。


 ここは俺が出るしかない。


「冒険者証が作りたいんですか?」

「?」


 この姿では、紫龍と初対面。初対面を装わなくては。


「そうなのじゃ。我は立派な大人なのに、跳ね返されてしまったのじゃ」


 自分で立派な大人なんて言うか?普通。八百を超えている奴の発言とは思えない。


「そうですね、おそらく夜だからというのもあると思うのですが……頼み方というものがあります。ついてきてください」

「お主、良い奴じゃな。名は?」

「フウです。あなたは?」

「アメリアなのじゃ。よろしくなのじゃ」


 まあいい意味でも悪い意味でも四天王の時から紫龍は変わっていない。


「こんばんは。冒険者証を発行したいみたいなので、この子の魔法の測定と試験お願いできますか?」

「未成年に見えるが」


 受付の人間が眉を寄せている。流石にすぐは信用してくれないか。


「少し子供っぽいところはありますが、れっきとした大人ですよ。酒も飲んでいましたし」

「酒なら誰にも負けないのじゃ」


 確かに、魔王様と一緒に紫龍が酒をあおる姿を、俺は幾度となく見てきた。俺は酒が飲めないから、いつも水で付き合うだけだったけれど。そんな紫龍が子供の姿でカウンターに立っているのだから、受付が子供とみなすのは仕方がない話だ。


 だが、笑いごとで済むのは今のうちだろう。彼女の魔法の才なら、Sランクは確実である。魔法主義のこの国がそれを拒むことはできまい。それに、そもそも年齢を確かめる方法なんて無いのだ。ギルドが勝手に安全を理由として年齢制限を設けただけである。年齢で魔法の適性や魔力量が変わることなんてないのだから。


「見た目で判断するよりも、まず適性検査をしてからではありませんか?」

「ひっ……申し訳ございません。それでは仕切り直して……」


 俺が少し圧を掛けると、受付の者は急に大人しくなり、咳払いをひとつしてから淡々と説明を始めた。


「ダイヤモンド帝国中央ギルドでは、冒険者Cランク以上のみ登録可能です。口頭試問を実施するギルドもありますが、ここでは口頭試問はありません。では、この板に手を乗せてください」

「アメリアさん、この板は魔法の適性と魔力量を測定する機械です。基本的にはここで測定された魔法の才から冒険者ランクが決まります」


 アメリアは何気なく手を置こうとしていた。だが、俺は一応口を挟んだ。よく考えれば、水属性で魔力量百なんて叩き出したら、間違いなくSランクだし、このギルドに拘束されること間違いなしだ。流石に目立つようなことをユーカが指示するはずがない。


 つまり、俺と同じように、デバフ魔法で数値を落として、AランクやBランクとして登録するのが一番である。だが、ユーカが魔王の頃、冒険者になったことがあっただろうか?俺ならこの板の誤魔化し方を知っているが、普通、こんな抜け道知るはずがないし、それを指示しなければ紫龍はそのままの数値で登録されてしまう。


「なるほどなのじゃ」


 紫龍は俺の言葉を聞くや否や、何の躊躇もなく自身にデバフ魔法を掛けた。まるで、それがこの板を誤魔化せる方法だと知っているかのようだった。


 ユーカの指示なのか、それとも紫龍自身の判断か。どちらにせよ、俺の心配は杞憂に終わったようだ。俺は敢えて低位の鑑定魔法で、その魔力量の変化を追った。数値は見る間に下がり、凡庸な冒険者に収まっていく。高位の鑑定魔法なら、本当の値が分かるが、それはこの板ごときでは測れない。


 あまり目立たず、あのダンジョン攻略にも参加できる程度——やはり俺と同じBランク冒険者ということになるか。


 俺は紫龍の肩にそっと触れた。水属性、魔力量四十七。

 ……それは、かつてセネトが使っていたものと寸分違わぬ数値だった。


 その瞬間、紫龍の体がびくりと震え、板に手を突いた。そして焦ったようにこちらを見返す。そういえば、紫龍はどこで止めようと思っていたのだろう。俺のように鑑定魔法が使えれば、自分の魔力量を調べられるが、水属性にそんなものは無いし、まさか何となくとかじゃないだろうな。


「水属性。魔力量、四十七レベル。Bランクですね」

「はぁ、はぁ……なんか疲れたのじゃ」

「お名前は?」

「アメリアなのじゃ」

「登録完了しました。こちらが冒険者証です。ギルドの規約は壁に掲示しておりますので、ご確認ください」


 紫龍は受付から冒険者証を渡されると、満足そうな表情でこちらを再び見た。


「おめでとうございます。Bランクは冒険者全体の上位一割程度です。胸を張っていいと思いますよ」

「フウはどのランク帯なのじゃ?」

「私は風属性、魔力量四十一レベルのBランクです」

「なるほどなのじゃ。Bランクというと上級魔法くらいか?」


 冒険者のランクなど、魔族には縁もゆかりもない。所詮は人間の作った区切りに過ぎず、俺たちにとってはどうでもいい尺度だ。


 要するに、紫龍は自身がどれほどの魔法を使えばいいのか聞きたいのだろう。Bランクなら大抵、上級魔法を自在に扱う。帝王級の魔法を扱える者もいるが、それはほぼAランク冒険者と同程度の魔力量を持つ者だけだ。


「そうですね、魔法名で言えば……転移魔法やウィンドカッターを使います。アメリアさんはどのような魔法を使うのですか?」

「基本は水がいっぱい出るタイプのやつじゃな。ま、まぁ、水の壁とか、氷とかも出せるぞ」


 こんな薄っぺらい知識だけで、本当に冒険者として潜り込めるのか?心底、不安になる。


 Bランクの冒険者は詠唱して魔法を使う。——そもそも人間で詠唱なしの魔法が使えるのは勇者や勇者パーティークラスのSランク冒険者である。常識だ。だというのに、コイツはその辺りをまるで分かっていない。せめて魔法名くらいは頭に叩き込んでおいてほしいものだ。


 このままでは、もし実戦で魔法を使う羽目になったら、その瞬間にボロが出るじゃないか。


「そういえば、何か依頼を受けるつもりなんですか?」

「うーん……とりあえず今どんな依頼があるのか気になるのじゃ」

「今は各国のSランクパーティーが招集されて新興ダンジョン攻略という依頼が出ています。ダンジョン攻略は人数が必要になるので、Bランクでも参加できるようになっていまして。私もそれに参加しようと思っているんです。もしよければ……どうですか?今回見つかったダンジョンは、ダイヤモンド帝国から北へ百キロも離れていない場所です。ただ今日突如明日からと公表され、明日出発になりますけど」

「ダンジョンか。ダンジョンとは迷路みたいなやつじゃったな。遠い昔の魔王が人間の興味を引き寄せるために作った装置とか、宝を隠すために作ったとか、色々言い伝えがあるのじゃ」


 紫龍は、俺に向かって平然と魔族の言い伝えを語ってきた。まるで、ここが人間の街だということを忘れたかのように。ペラペラと話す。


 人間は長らくダンジョンから遠ざかっている。ゆえに、魔族に伝わるこの手の言い伝えなど知るはずもない。だが、それを臆面もなく口にするなど正気だろうか?相手が魔族である俺だからいいものの、他の冒険者に口を滑らせればどうなるか。想像するだけで頭が痛くなる。


 いっそ今ここで、自分の正体を打ち明けてしまえば楽なのかもしれないが、紫龍のことだ、驚きのあまり大声で叫ぶに決まっている。そうすれば共倒れである。それだけは絶対に避けねばならない。とにかく、何もしないでほしい。


「ええ、確かに宝の隠し場所とか人間を陥れる罠という説がありますね」


 俺は淡々と返した。


「どうやらダンジョンの内部には、多くの人の骸があったそうです。帝都からそう遠くありませんから、CランクやBランクの冒険者が興味本位で入り込んでしまったのかもしれません。今は立ち入り禁止の看板が置かれているそうですが、放っておくわけにもいかず……という状況です」

「なるほど。だからSランクパーティーがこの国に集っているわけじゃな。ありがとうなのじゃ」

「いえ。……では、参加でよろしいですね?」

「ああ。参加方法がよく分からんから、手引きしてくれると助かるのじゃ」

「参加の場合は明朝、このギルドに集まっていただくだけで結構です。それでは、夜も遅くなってきましたし、おやすみなさい」

「今日はありがとうなのじゃ」


 紫龍は軽く手を振ってギルドを後にした。あまりにもあっさりとダンジョン攻略への参加が決まってしまったことに、驚きを隠せない。ユーカに一旦相談するとかは無いのか?これは本気でどうにかしなければならなくなってしまった。


 そもそも俺が軽率に話題を振ったのも悪かった。だが、紫龍は魔族しか知りえない話をぺらぺらと漏らし、人間の常識を一つも知らない。このまま正体を悟られずに過ごせるかどうか。結局のところ、それは俺に掛かっているのだ。


 紫龍を見送るふりをして、俺は隠密魔法をまとい、静かにその背を追った。ユーカが無事で、安全な場所にいることを祈りながら。


 やがて紫龍は迷うことなく城へと向かい、そのまま城壁を魔法で登った。夜中とはいえ大胆に魔法を放っている。俺はそんな姿を見かねて、紫龍の身に隠密魔法をかけておいた。


 ダイヤモンド帝国の城。俺は中へ入ったことはないが、厳重な警備が敷かれ、門番が固く見張りをしていた。確かに人間では到底登れぬ高さの城壁である。だが、風属性の飛行を用いれば侵入など造作もないだろう。


 警備する者たちの足音が響く。それらを紫龍は容易くすり抜けていくと再び魔法で高く飛びあがり、中に入っていった。


「ユーカ、冒険者証が出来たのじゃ。それと……北方百キロほど先に新興ダンジョンがあるらしくて、我はそこに向かおうと思うのじゃ」


 あそこがユーカの部屋か。俺は空から様子を窺っていた。紫龍の隣にはユーカの影があり、紫龍の話を聞いて何か話していた。正直、この城の守りは堅い。見張りも多く、魔法に習熟していなければ侵入すら困難だろう。少なくとも、そこらの魔族や悪党などに狩られる心配はない。


 ——だが油断はできない。明日のダンジョン攻略に、多くの冒険者が駆り出されるのも事実だ。

 冒険者が減れば、国内の守りが手薄になる。それなら、俺はこの地に残って紫龍に行かせるか?いや、あの紫龍を一人行かせるのは危険だ。やはり、あんな話を振らなければよかった。


 そう考えながらギルドへ戻った時だ。視線の端に、妙に際立つ冒険者の姿があった。その男は、ただ立っているだけなのに周囲の空気を圧している。俺は気付けば、その冒険者に声をかけていた。


「こんばんは。明日のダンジョン攻略に参加する者ですが——。ダイヤモンド帝国に来るのは初めてで。今回指揮を執る方は、どのような方か教えていただけませんか?」

「私だ」


 短く、はっきりとした声である。


「私はダイヤモンド帝国中央ギルド所属のヘスという。君は?」

「私はフウです。色々な国を旅していまして、一応登録はペリドット王国です」

「ペリドットか、かなり遠くから来たんだな」


 ヘスは僅かに頷いた。確かにダイヤモンド帝国から見ればペリドットは相当遠い地である。おそらくアメシストからこの帝都までの距離の二倍以上はある。


「今回のダンジョン攻略は基本的にダイヤモンド帝国とアメシスト王国のSランクパーティー、Aランクパーティーから構成されている。皆実力はあるから安心するといい」

「その間、国の守りが脆弱になると思うのですが、それは大丈夫なのですか?」

「——ああ、大丈夫だ。今回参加しないSランクパーティーもいるし、魔導士も多くいる。そういえば一カ月少し前にガーネットで病院に魔族が出たという話があったが、もしそのような状態になっても問題なく対処できるだろう。特にこの地は対魔法障壁と言って、どんな魔法でも破壊できない造りになっているしな」


 病院襲撃の話は、どうやらダイヤモンド帝国にも伝わっているらしい。だが、ガーネット王国が陥落したという話は出てこなかった。やはり、街中でも話題が出ていなかったし、意図的に知らせていないのだろう。


 加えて、この地の者が安全に対して自信をもって大丈夫と言えるのなら、大丈夫なのだろう。


「フウ、明日はよろしく」


 ヘスは笑みを浮かべて俺に手を差し出した。俺は応じてその手を握り返した。信頼できるリーダーっていうのが俺の第一印象である。

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