四鳥別離
「パートムはどうしてこの部屋に来たの?」
「この天気だろ?セヴァン様がどんな御様子か確認に行ったんだ。」
「どうだったの?」
「音は嫌というか鬱陶しそうにされてたな。まぁ、ここまでは良いんだがセヴァン様の雰囲気がおかしかったんだよな。」
「おかしい?」
「あぁ。上手く説明は出来ないが……いつもと違ったんだ。」
「天気とか寝起きだからとかじゃないの?」
「そのくらいじゃないんだよな。」
「……パートム、セヴァンは絶対におかしいの?」
「ん?まぁ、俺の感覚ではあるがな。」
「……」
「シトノ?」
「………ごめん。」
「何の話?」
「私がもっと積極的に調べてたら……」
「何を?」
「この攻撃を。」
「…攻撃?」
「最近おかしなことなかった?」
「最近……特に思いつかないかな?」
「…パートムは?」
「俺も特には無いな。」
「………どうして私なんだろうね。他の人なら……だからなんだろうな………」
「……シトノ?」
「…昨日シイについて聞いたよね?」
「うん。」
「どこかおかしくない?」
「おかしい?うーん…」
「あのシイが2ヶ月も連絡すらしないってあるの?そもそも離れるって連絡…シイなら謝罪かもしれないけど、それを直接会わなくても連絡できるのにしないの?」
「……ごめん、少し待ってもらえる?」
「うん。」
「………配下なんだから風邪かどうかくらい分かるよね。シイに関しては俺も違和感というか意味の分からない行動をしてたね。」
「私にはわかるかは知らないからあれだけど、おかしいよね?」
「おかしいね。他におかしいところはあるの?」
「そもそも風邪のタイミングがおかしいと思うよ。それと、私がそこを見てないだけかもしれないけどセインとセヴァンの警護って確認したの?」
「………会ってすらないね。タイミングは断言出来ないけど、確認は絶対におかしいね。」
「……ごめん。私はおかしいことはわかってたのに…危険性を考えて……」
「シトノは悪くないよ。俺が油断…馬鹿なだけだよ。」
「私がソルかパートムに話してたら…」
「それは危険すぎるよ。もしかしたら俺が殺してたかもしれないのに。」
「………」
「俺の責任だよ。でもこの事は後で考えるとして、どんな攻撃か分かる?」
「私には直接的なものじゃないことしかわからないよ。」
「俺には何も分からないよ。パートムは何か分かる?」
「分からないな。」
「少し待っててくれる?」
「うん。」
「ウィン?わざわざここまで来てどうしたっすか?」
「急で悪いけどついて来てくれる?」
「本当に急っすね。まぁ、大丈夫っすよ。」
「ありがと。」
「解除、防音。」
「おはようっす。」
「おはよう。急で悪いな。」
「そこは良いっすよ。それよりどうしたんすか?」
「聞きたいことがあるんだよね。」
「?これじゃあダメなんすか?」
「2人に伝わり難いからだね。」
「そういう事っすか。それで何を聞きたいんすか?」
「俺とパートムに毒とかそんな感じのものって効くと思う?」
「余程のものなら可能性はあるかな?ってくらいっすね。ほぼ無いっすけど。」
「そんな感じのに違和感を消すとかおかしいと感じなくなるとかってものはあるの?」
「…そんなのとは違うんすけど、呪いって知ってるっすか?」
「呪い?」
「俺は知らないぞ。」
「うん。」
「めちゃくちゃ簡単に説明すると色々なことをする事で対象を殺したりするものっす。」
「それにあるの?」
「そうっす。ただ、2人には普通にすると絶対に効かないっす。」
「普通じゃないのは?」
「効くと思うっす。勿論余力は無いと思うっすよ。他の何かを削って使ったかもっす。」
「それの範囲ってどのくらいあるの?」
「効果の範囲っすか?」
「うん。」
「2人に使おうと思うと…色々削ってこの城の1割くらいだと思うっす。」
「……そっか。それってどうなるの?」
「ものによって変わるんすけど目標は誰か分かるっすか?」
「多分俺だね。」
「それなら…ウィン本人に対してじゃなくてその周りになりそうっすね。予想はつくっすか?」
「…セヴァン様だろうな。シルとセンストはそこまで変わってなかったからな。」
「殺すつもりはありそうっすか?」
「…今までに出来ただろうな。」
「それなら病気とか感情に関してになりそうっす。」
「それって他の人にも影響は出るの?」
「ウィンが関わっていればあるっすね。」
「感情ってどんなのがあるの?」
「例えば何かに対する執着心や敵意とかの増幅とかっすね。」
「敵意…」
「…それってどのくらいの敵意があれば効果が出るの?それとどのくらい続くの?」
「…効果は敵意がごく僅かでもあれば十分だよ。」
「……ごく僅かって?」
「…本人でも分からないようなレベルだね。」
「……………時間は?」
「……少しずつ敵意は弱くはなるよ。完全に戻るのは2人の力を考えると…30〜45年くらいで一緒に生活出来るのが20〜35年くらいだと思うよ。」
「……そのくらいの時間で消えるの?」
「使ってるやつに維持させなければ消えるはずだね。」
「維持って?」
「普通じゃない今回で言えば多分道具に魔力を入れてて、その魔力が切れれば維持出来なくなるよ。」
「殺す必要は無いってことで良いの?」
「良いけどウィンが行くのは辞めた方が良いよ。呪いって基本的に使い手にも影響があるんだよ。それで敵意の増幅だと見つけた瞬間にウィンが殺しにかかると思うから。」
「…どっちにしても俺が行く気は無いよ。」
「ウィンはこれからどうするつもりなの?」
「セヴァンについて?」
「それもあるよ。」
「セヴァンは……パートム、予定よりも早いけど帝国とセヴァンを頼める?」
「……俺は良いが…ソルは良いのか?セヴァン様を軟禁する事も出来るだろ?」
「俺には出来ないよ。初めに考えてたよりもセヴァンを大切に思えるようになったから。それに予定が早くなるだけだよ。」
「………そうか。」
「うん。」
「うぅん?」
「シル?大丈夫?」
「えーと、センは?!よかった。私は大丈夫だよ!」
「それなら良かったよ。」
「ウィンって光属性と聖属性を使えるよね?」
「使えるよ。」
「どのくらい使えるの?」
「両方超級だね。」
「それなら光陣を使ってくれる?」
「えーと、超級の?」
「そうだよ。」
「わかったよ。光陣。」
「次が超級の聖域の範囲を最小限にして効果を上げたものを使って。」
「聖域。これで良い?」
「大丈夫だよ。これで周りの人くらいなら影響から防げるからね。」
「ありがとね。」
「良いっすよ。どうせ使わない知識を話してるだけっすから。」
「使わないのに知ってるの?」
「使うつもりだった奴が消えたってだけっすよ。他のものに比べると強い相手にも効き易いからね。」
「…まぁ、ありがとね。」
「良いっすよ。」
「うーん?」
「セン大丈夫?」
「シル…ごめん!」
「私もだよ!センの考えも理解はできるのにあんな感じになって!」
「それならボクの方がだよ!シルの考えは分かってるのにボクは…!」
「2人とも説明したいんだけどいい〜?原因のだよ〜」
「お願い!」
「うん!」
「わかったよ〜」
「シトノ、フェル、説明を頼んでも良い?」
「いいよ〜」
「大丈夫だよ。」
「ありがとね。パートムはこっちに来てくれる?」
「あぁ。」
「クーデターよろしくね。」
「……良いんだな?」
「うん。でも1つ頼んで良い?」
「どんなのだ?」
「セヴァンを効果が薄くなるまで守って。」
「勿論、いや、消えてからも守るから安心して良いぞ。」
「よろしくね。」
「あぁ。」
「民衆から始まった感じに出来る?」
「出来るが後から権力を要求してくるかもしれんぞ?」
「過剰なら潰して。そうじゃないならセヴァンと話してもらえる?」
「分かった。」
「あー、税を9割にするって伝えてもらえる?」
「…後世にそんな事をした…アホって伝わるぞ?」
「良いよ。そんなのも見てて面白そうだからね。」
「……分かった。」
「よろしくね。」
「…あぁ。」
「お兄ちゃん、いいの?」
「大丈夫だよ。でも1つ…2つかな?頼んでも良い?」
「いいよ!」
「まだ何も話してないけど…」
「予想はできるからね!!」
「そっか。原因の捕縛と…その後のことだね。」
「うんっ!!絶対にするよっ!!」
「ありがとね。」
「私も思ってるからね!!言われなくてもしてたよ!!」
「そっか。よろしくね。」
「うんっ!!」
「ソル、ごめん!」
「俺の方がですよ。こんなものに…」
「……」
「まぁ、先輩は気にせずにして下さいね?」
「…出来る限りなら。」
「それで良いですよ。」
「ウィンはこれからどうするんすか?」
「死んだ後は世界でも見るつもりだよ。」
「1つ良いことを話すと数十年程度で見れる場所なんてほぼ無いっすよ。特にウィンなら。」
「そっか。楽しみだね。みんなはどうしますか?」
「私は最低でもしばらくはここに居るよ!!」
「色々見て来て悪いね。」
「…そのくらい何も問題ないよ!!それよりも重要だからっ!!」
「よろしくね。」
「うんっ!!」
「ボクもここに居るよ!セヴァン様を手伝わないとねっ!!」
「お願いします。」
「うんっ!!」
「私は…どうしようかな〜?」
「なんでも良いよ?」
「そう言われてもね〜」
「シトノ!お兄ちゃんについて行ってもらえない?」
「なにかあるの〜?」
「ふつう?の人の話が聞きたいから!」
「私はふつうだよ〜?それと、ほんt……まぁ、いいかな〜 話を聞きたいんだね〜」
「そうだよっ!!」
「わかったよ〜」
「ありがとねっ!」
「うん〜 そんなわけでよろしく〜」
「よろしくね。」
「パートムはいいとしてシイはどうなのかな〜?」
「うーん、俺はセヴァン…セインかな?の側にいて欲しいな。」
「シイが断ると思えないよ〜?」
「まぁ、そうだね。それじゃあそんな感じかな。」
「2人かな〜?」
「多分そうだね。」
「おそわれそう〜」
「…適当すぎない?」
「本当に今更すぎてね〜」
「誰もいなくなるんだよ?」
「今までも関係ないと思うよ〜?」
「まぁ、そうだけどね。」
「とりあえず税に関しての連絡の準備は出来たぞ。」
「分かったよ。うーん、シトノは何かある?」
「私〜?この街でのことだよね〜?」
「街というか城?」
「それなら特にないよ〜」
「分かったよ。パートム、通達してくれる?」
「あぁ。」
「セヴァンはすぐに来るのかな?」
「話が疑惑でもなんでも伝わればすぐだと思うっすよ。」
「そっか。来そうになったらシトノとフェルは隠すよ?」
「うん〜」
「分かったっす。」
「お兄ちゃん来たよ。」
「うん。牢。」
ガンッ
「セヴァン?」
「9割ってなにっ?!それに6000万人って?!」
「そのままだよ?」
「何人を飢えさせる気?!」
「知らないよ。1割で無理な方が悪いかな。」
「無理な方g、」
「セヴァン!」
「おかあさん?」
「落ち着いて話そうね?」
「……理由は?」
「理由?6000万は邪魔だからで9割は俺の財産を増やす為だよ?単純だよね。」
「っ!!風k、」
「セヴァン様!お待ち下さい!」
「パー?!」
「セヴァン様には申し訳ないですが勝ち目が無い戦いはするべきではありません。」
「でも!」
「なので私がセヴァン様の代わりに戦います。」
「おr、いや、我に反旗を翻すか。それは良いがここで戦う気か?」
「そんなわけ無いだろう。」
「だろうな。我も戦うつもりは無い。移動するか。」
「あぁ。」
「だが、その前にセインとセヴァンに呪いをかけるか。」
「ソルっ!」
「もう終わったぞ?あと10年程度で効果が分かるだろう。セインはもっと早いだろうが。……天長剣。ミスったな。まぁ良いか。じゃあな。」
ドン
ドンッッ
(足翼変換)
「ではいくぞ?」
「かかって来い。」
(「アレは使わないでね?」)
(「流石にそれは無いから安心しろ。」)
(「うん。アレだけは本当に分からな…もう一つよく分からないのがあったね。」)
(「牢獄のことか?」)
(「それだね。」)
(「牢獄はある意味あれよりも下手に使えないものだぞ。」)
(「絶対に強いね?」)
(「強いがソルも似たようなものがあるだろ?」)
(「絶対にそこまでじゃないよ?」)
(「そうかもしれんが便利だろ?」)
(「うん。めちゃくちゃ便利だね。」)
(「というか空間魔法が便利だがな。」)
(「それは間違いないね。」)
(「それじゃあ適当に飛んで魔法を使うからそれごと斬ってね。強化のスキルは切るから。」)
(「俺は飛べないんだがな。」)
(「飛べないだけでしょ?」)
(「まぁ。」)
(「それじゃあいくよ?」)
(「あぁ。」)
「悪魔召喚×10000。」
(「聞いてないんだが?」)
(「分かりやすいよね?」)
(「そうかもしれんが…まぁ、良いか。」)
「我の軍団に勝てるか?」
「余裕だな。」
(「この会話って他に聞こえてるの?」)
(「聞こえてるぞ?少し遅いのもあって切ることは出来るが。」)
(「分かったよ。」)
「悪魔の支援。いけ。」
「延伸、強靭、炎剣。」
ザンッッ!
「この程度であのような暴政をしたのか。」
「暴政?我の物をどう扱おうとも我の勝手であろう?それに貴様も我に協力しただろう?」
「確かにしたな。だが、あくまで国の安定、そして民のより良い生活のためだ。」
「南はどうなんだ?6000万だったか?そのくらい死んだぞ?」
「…他を安定させる為だ。あのままなら負けていただろうからな。」
「確かにバラバラな状態で勝てる西側諸国では無いが。まぁ、そろそろ良いか。正義の蹂躙。」
「拡大、研磨、守護魔法。」
ザァンッッ!!
「消えろ。」
「氷塊!」
ザンッッ
ザンッッ
「暴虐なる皇帝は討ち取った!」
うぉ
うおぉぉッッ!!!
(「この距離でこれってどれだけ嫌われてたんだろうね?」)
(「まぁ、一応こっちの配下も紛れてるからな?」)
(「どのくらい?」)
(「…100人くらいだな。」)
(「それに触発されたとしてもだと思うよ?これは。」)
(「…まぁ。仕方ないな。」)
(「別に良い事ではあるけど…なんだか複雑。」)
(「……」)
(「まぁ、これからの事はよろしくね。」)
(「あぁ。」)
(「それじゃあまたね。」)
(「あぁ。気をつけてな。」)
(「誰に言ってるの?」)
(「勿論シトノだぞ?」)
(「伝えておくよ。パートムも気をつけてね?」)
(「何がだ?」)
(「色々。パートム以外に対してだけどね。」)
(「ははっ、真面目に言うとソルも気をつけてな。」)
(「うん。そっちもね。」)
(「あぁ。」)
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