真相
「セヴァンに関係する話があるんだけど聞く?勿論途中で辞めても良いからね?」
「聞くよ。」
「分かったよ。まずは…俺が王位に就いた理由って知ってる?」
「?順番じゃないの?」
「それはそうなんだけど…何があって俺に順番が来たか分かる?」
「パパのお父さんが病気で死んだからって聞いたよ?」
「セヴァンのお爺さんでもあるけど理由はそうだね。」
「どんな人だったの?」
「うーん、まだ俺も小さかったからね。パートムに聞いたの方が良いと思うよ。」
「パー?」
「優しい御方でしたよ。自分のことよりも民や国のことを御考えになられておりました。」
「かっこよかったの?」
「私にはとてもカッコよく見えましたね。ただセヴァン様からするとどうでしょうね?」
「思わないかもしれないの?」
「思わないと言うよりも陛下が優しくて人徳で国や民を治めるとしたら、ソルは強さで治める感じで全然違うのでどちらを良いと思うか分からないですからね。」
「どっちもかっこいいかな。」
「そうかもしれませんね。セヴァン様はどう治められるでしょうかね?陛下ともソルとも異なる可能性も十分にありますが。」
「どっちがいいんだろう?」
「私からは何もございませんよ。何を選んだとしても私の力の限りセヴァン様を御支えするだけです。ただ他の方の意見を聞くのも良いとは思いますよ。」
「他…どんなのがいいのかな?」
「ボクは分からないですね!」
「私もどんなのが良いのか分からないかな。でもセヴァンがどんなものを選んでも私はそれを尊重するよ。」
「俺は…先に話をしようかな。お、父さんには悪いけどあの時代の王には向いて無かったんだろうね。」
「……そうかもな。ソルならあんな亡くなり方は無かっただろうからな。」
「…病死じゃないの?」
「獣人の…いや、リアスト公爵家の暗殺が死因だよ。だからセヴァンのおじいちゃんの直接的な仇は獣人だよ。その裏にいたリアスト公かもしれないけどね。」
「………セーは本当に強いね。会ったことすらないのに怒りが出てくるよ。」
「本人は居ないけど復讐したい?」
「ソルっ?!」
「……とりあえず聞かせてほしいんだけど…誰に?」
「リアスト公の娘だよ。別にセヴァンが直接する必要は無いからね?」
「…その人は直接は関係ないんだよね?」
「パートム?」
「ありません。血は繋がっていますが一切関わっていない事を確認しています。」
「…それなら、しなくていいかな。」
「セヴァン様お強いですね!!」
「…そんなことはないと思うけど。」
「ありますよ!会った事すらないと仰られておられましたがそれは本来は会う事が出来たのにその機会を失くされた事と同じなんです!それなのに復讐しないことを選ばれるのはお強いですよ!」
「…ありがとう。」
「ボクにお礼は要りませんよ!」
「それよりもソルはどうしてあんな事を聞いたの?」
「どんな王にって話に戻るんですが、俺みたいな統治の仕方だと確実に反発があるんです。そこで徹底的に潰せるなら抑えられると思いますがそうじゃないなら反乱が多発すると思うんです。それが続くと国が疲弊して……」
「それなら…えーと、ソルは国王陛下みたい統治が良いと思ってるの?」
「個人的には自分を1番に考えるくらいであってほしいですけど、俺のやり方よりはそっちの方が俺は良いと思います。」
「セヴァン様が狙われる事はありそうなの?」
「あると思います。特に即位直後ですかね。ただパートムを突破出来るかと言うと…」
「…人間には無理だね!!」
「そうだと思いますよ。まぁ、今までよりは安定していてパートムも居ますからそこまで抑えるのも…って感じに考えてますね。勿論1番はセヴァンのやりたいようにして欲しいけどね。」
「うん。」
「ただ、獣人の解放は出来ないとまでは言わないけど反発は大きいと思うよ。特に帝都の人ほど大きく反発すると思うよ。強引に解放することも出来なくはないと思うけどその時は大きな戦乱が起きるかもね。」
「…いつかはできるかな?」
「……俺には遠い未来のことは分からないから頑張れば出来るかもね。」
「…それじゃあ頑張らないとね!みんな手伝ってくれる?」
「私に出来る事なら勿論するよ。」
「ボクもです!!」
「はい。微力ながらセヴァン様を御支え致します。」
「……」
「パパ?どうしたの?」
「真面目な場面でごめんね?意味は分かってるんだけどパートムが微力って、アハハっ!!」
「……延伸」
ザンッッ!
「正壁 フンダート」
ドガァァッン!
「微力?」
「…微力だろ?」
「パートム基準ならそうかもしれないけど今の見えた人居ます?」
『……』
「みたいだよ?」
「余裕で防いできた奴に言われてもな。」
「ギリギリだよ?」
「大嘘だろ…」
「……今のは魔法だとそこまで余裕無いよ?」
「無いわけでは無いんだな?」
「…まぁ。」
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