過去の話
ガチャッ
「っ!先輩が居るんですか……大丈夫なんですか?」
「話くらいは悲しくはなるけど大丈夫だよ!」
「…本当に良いんですか?」
「うん!ソルやパートム閣下、セイン様だと分かりにくいところもあると思うしね!」
「それはそうですね。パートムも繋がりはあるけど直接的なのは無いしね。」
「そうだな。俺よりもセヴァン様の方が関係あるレベルかもな。」
「うん。」
「セヴァン、途中で辞めても良いからね?」
「…うん。聞かせて。」
「分かったよ。セインも大丈夫?」
「…大体は大丈夫です。」
「…その時は席を外しても良いよ?」
「いえ、私よりも辛い子が居るのにそれは出来ませんしする気もありません。」
「…まぁ、体調を見ながらだね。パートム以外の。」
「…俺も関係はあるんだがな。」
「悪くなるの?」
「あの時のことならその場に居ても大丈夫だろうな。」
「だよね。それじゃあ話すよ?良い?」
「うん。」
「分かったよ。」
「まずは獣人との戦闘があったってのは知ってるの?」
「うん。そこは聞いてるよ。」
「それなら場所からかな。戦闘があった場所は相手の街と王都…今の帝都だよ。」
「……ここのどこなの?」
「戦闘の無かったところってあるの?」
「戦闘にすらならなかったところなら沢山あるぞ。」
「……ならなかった?」
「戦いにならないくらいの力の差があって一方的に蹂躙された場所だね。」
「……そこはどうなったの?」
「詳細は言わないけど人も物も酷いことになったよ。」
「……どのくらいの人に被害があったの?」
「直接なら1…2割かな?間接的なら大きく考えれば全員だね。そうじゃないなら8割?9割?そのくらいだよ。もっとかもしれないけどね。」
「……パパにもあったの?」
「間接的にはあったね。まぁ、俺の話は後で良いとして…大丈夫ですか?」
「うん!セヴァン様、ボクから少し良いですか?」
「…お願い。」
「はい。端的に言うとボクのお父さんとお母さんが殺されました。」
「………どっちも?」
「はい。同時にです。」
「………恨みはないの?」
「無いわけではないですね。ただ、何かをする気は無いです。」
「………セー、強いね。」
「何も出来なかっただけですよ。相手にもボクと同じような子供が居て、ボクにはそんな子供にボクと同じような苦しみを与えることが出来る強さが無かっただけです。」
「……力的にはできたんだよね?」
「出来たというか準備はみんながしてくれていました。まぁ、ボクには出来ませんでしたが。」
「あれは止める目的がありましたからね?あのままされても困りましたよ?」
「仮にあの時ボクが辞めなかったらどうしてたの?」
「その時は予定通りするだけです。ただ、みんなが先輩には向いてないと思ったからあんな感じになったんですよ。仮に俺がするとなったらどうします?」
「…辞めることは無いと思うから出来るところでは協力するかな?」
「みんなもそんな感じだと思いますか?」
「うん。」
「俺は辞められるような強さは無いですが先輩にはそんな強さがあるとみんなが思ったからあんな感じになったんですよ。まぁ、先輩は強いって事ですね。」
「セーは強いんだね。」
「うん。強いよ。3人とも大丈夫ですか?」
「うん!」
「私も大丈夫です。」
「平気だよ。」
「分かりました。…セヴァン、1つ誰のことってわけじゃ無いけどきついことを話しても良い?」
「…お願い。」
「分かったよ。先輩でも大分マシな方なんだよね、他の住民と比べると。」
「…………どんなところがマシなの?」
「選ぶことが出来たってことが1つ目だね。何かをするもしないも自分で選べた人はそんなに居ないと思うよ。」
「…2つ目は?」
「戦いが終わった後の生活だね。1つ目の話にも繋がってくるけど、その後のことに気持ちが移れるかって事と単純な食料とか金銭とかその辺りの心配が無かったことかな。」
「……終わった後に食べられなくて…ってのはあったの?」
「パートム、どうだったの?」
「セヴァン様、餓死はありません。食料に関しては多少の余裕がありましたので無償で配ることも出来ました。」
「そっか、よかった…」
「…そうですね。」
(「何があったの?」)
(「簡単に言うと治安の悪化だな。後処理に兵も割かれた上に食料は良くても他は補填出来るような状況じゃなかったからな。」)
(「あー、王家にそんな余裕は無かったね。」)
(「そうだな。あの時は国土の何割…何%を持ってたかってレベルだからな。」)
(「それに復興もあったしね。」)
(「あぁ。まぁ、そこは数が増えたのもあってマシだったがな。」)
(「そうだね。…先王のことを話すつもりだけど良い?」)
(「俺は良いぞ。セヴァン様次第だな。」)
(「それなら反応を見ながら話すよ。」)
(「あぁ。」)
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