怪物
フュン
「ん?シルだね。」
「何か用事があったか?」
「特には無いと思うけど…」
「どうしたの?」
「パートムにお願いがあってきたんだよ!」
「俺に?」
「うん!少し戦ってほしいんだよね!剣で!」
「まぁ、構わんぞ。今からするか?」
「うん!」
「分かった。」
「それじゃあ俺は部屋に居るから現実は気にしないで戦ってね。」
「お兄ちゃんありがとね!!」
「うん。」
(「アレを使うんだよね?」)
(「うん!他も併用すると思うけどね!」)
(「…まぁ、頑張ってね。」)
(「うん!」)
(油断してると普通に負けそう。どうなるのかな?)
『10メートルで良いか?』
『うん!』
「開始はどうするの?」
『お兄ちゃん、テレパシーでお願い!』
「分かったよ。」
(「準備は良い?」)
(「おっけー!」)
(「あぁ。」)
(「それじゃあ、5、4、3、2、1、始め。」)
シュン
ドガァァッッッン!!
(……音が遅れて聞こえた。しかも色々と使ってたパートムを斬り裂いたのかな?)
「おかえり。」
「ただいま!」
「パートム、どんまい。」
「…ソルは知ってたのか?」
「少しだけ知ってたけどあのスピードに関しては一切知らないよ。」
「そうなのか?てっきりソルが仕組んだと思ってたんだが…」
「…間違っては無いかも?シルに戦いを頼んだのは俺だからね。」
「…想像を超えてきたか?」
「……余裕で。当たれば勝てると思ってたけど、単純な速度でパートムに当てるとは思ってなかったよ。」
「…ソルはアレに反応できるか?」
「…パートムって色々使ってたよね?」
「…あぁ。」
「…それでアレだと…多分無理だね。」
「……そうだよな。」
「…うん。シル、アレって何か聞いても良い?」
「問題ないよ!」
「ありがと。防音。」
「アレは細かいものを除いたら4つのスキルの効果だね!1つ目はお兄ちゃんの称号について来てるものだよ!」
「騎士団長に何かあるの?」
「増えたんだよね!」
「あー、大元帥と宰相もあったな。」
「そう言えばそうだったね。言われるまで忘れてた。どんなものなの?」
「陛下から下賜されてそれが私の物だって事を大元帥か宰相に確認されてる物の耐久性の向上だよ!」
「どんな物が対象なの?」
「価値のある物らしいよ!」
「曖昧?」
「うん!」
「どれくらいの効果があるんだ?」
「わからないね!ただ、速さの理由が大幅に耐久性を下げるデメリットのあるスキルなんだけどそれを補って余りあるんだよね!」
「そのデメリットだけで戦ったらどのくらい持つの?」
「あの速さだと振ってる途中に粉々になったよ!」
「大分効果が大きそうだね。」
「うん!」
「残りの2つはどんなものなんだ?」
「対人剣と対能剣だけど知ってる?」
「知ってるが…」
「どうしたの?」
「……どちらも後天的に手に入れた記録が無いスキルなんだよな。」
「………そこまでだったの?」
「…あぁ。」
「……2つ目の方はどんなものなの?」
「対人剣の人じゃなくてスキルに効果があるバージョンだね!」
「…効果は分かりやすいね。」
「…だからこそ強力なんだよな。」
「…制限ってあるの?」
「剣がいるよ!」
「…他は?」
「MPが10分で500くらい消費するね!」
「…それだけ?」
「うん!」
「……汎用性高すぎない?」
「…高いぞ。」
「…シルもパートムと同じ扱いで良いかな?」
「よくないよ!!次戦ったら普通に負けるだけだから人間だよ!!」
「人間かはとりあえず置いておいて、次はどうなりそう?」
「アレを使えば次からは負けないだろうな。」
「…シルごめんね。同じは無かったね。」
「そうだよ!!」
「…ソルならどうするんだ?」
「俺はそもそも近付かないね。飛んで離れた所から魔法とかでシルの攻撃範囲外から一方的に攻撃するよ。」
「遠距離攻撃は無いのか?」
「スキルではほとんど無いね!魔法はあるけど意味ないと思うよ!」
「それはそうだな。防がれて終わりか。」
「うん!」
「ソルが相手だと本当に面倒だな。」
「お互い様だよ?」
「シルからすればどっちが嫌なんだ?」
「お兄ちゃんかな!一方的にやられるからね!」
「…パートムのアレこそ一方的だと思うよ。」
「アレは別に身体の強化は無いからな?普通に負ける可能性はあるぞ?」
「可能性はあっても実際は無いと思うよ?」
「ソルは可能性も無いだろ?」
「……ノーコメントで。」
「前に斬っても身体を変えてたね!」
「…何をすれば倒せるんだろうな?」
「…身体を潰した直後に魔法で本体を吹き飛ばす?」
「…無理だろ。」
「…パートムのアレならこのまま倒せるかもね。」
「…アレじゃないと可能性も無いのか。」
「……」
「そういえばソルの事って誰に話してるんだ?」
「種族の事?」
「あぁ。」
「えーと、2人と先輩とシトノだね。」
「それだけなのか?」
「うん。フェルは知ってるかもしれないけどね。」
「まぁ、否定は出来ないな。シイサとかには話さないのか?」
「うーん、シイって王に忠誠を誓ってる感じな気がするんだよね。」
「あんな契約をすぐに結んだからそうかもな。」
「今は違うと思うよ!」
「そう?」
「うん!始めはどうだったか知らないけど、今は地位では見てないと思うよ!仮に今この瞬間帝国が消えてお兄ちゃんが一般人になったとして、離れると思う?」
「…無いかな?」
「…無いな。契約関係無くそのまま仕えるだろうな。」
「そうなると思うよ!」
「まぁ、伝えようかな。最悪契約があるしね。」
「うん!シイには悪いけど都合が悪くなりそうなら契約で縛るようにすればいいよ!」
「そうだね。」
「いつ伝えるんだ?」
「いつでも良いけど、どうせだし今から行ってみる?」
「セイン様のお部屋に?」
「うん。最近行ってないよね?誰かと会っても面倒だから。」
「そうだね!ただ、会ったらどうするの?」
「適当に近衛とかって紹介で良いかな。嘘では無いしね。」
「おっけー!」
「本当に新設するか?」
「騎士団?」
「あぁ。」
「近衛と被らない?」
「今の近衛は皇帝には関わっていないんだよな。皇帝に関する事だけにすれば被りはしないと思うぞ。」
「少人数で良いんだよね?」
「あぁ。数人で良いと思うぞ。…護衛なんていらないだろうしな。」
「…いるかもしれないよ?」
「そんな時はいない方が戦いやすいだろ。」
「…そうだね。」
「皇帝の世話とかも役割にしておくか?」
「その方が普段から楽かな?」
「多分な。」
「それじゃあよろしく。指揮権は俺でよろしくね。」
「あぁ。近衛の指揮権は変えるか?」
「俺にあっても困るからパートムが持っておいて。」
「分かった。」
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