公爵との交渉
トンッ
ガンッ
「戻るか。」
「はい。」
「陛下、チョウゴ侯爵家の事についてどうお考えでしょうか?」
「なんとも言えないな。侯爵に会って無いからな。シイについてなら、うん。あれで裏切りとかされたら、誰も信じられないな。」
「あれ?」
「シイ、言って良いか?」
「はい。」
「あの、猫になってた日ありましたよね?」
「あったねっ!!」
「あの日の2人を呼ぶ前に契約を結んだんです。」
「うん。」
「その時にどんなのが良いかって聞いたんです。どう答えたと思いますか?」
「なんだろうな?話す事を秘密にする事だけとか?」
「そう思いますよね?」
「うん。」
「なんでも良いって言われました。それにこれ見てください。」
「なんでもって…これは、本当にそうなってるっ?!」
「そうなんですよ。驚きですよね?」
「うん!!これって1回寮に行ってからだよね?」
「そうなんですよね。そこも驚きましたよ。」
「ボクならこんなの結ばないねっ!!」
「本当ですか?」
「本当だよ!……ボクの意思ではねっ!!」
「ですよね。さっきのを見て、結ばないって言われても信じられないですね。」
「…ボクでも信じられないよっ!!」
「まぁ、先輩にはあれが必要なのか少し疑問に思っていますけどね。」
「えっ?」
「先輩、これに名前書いてください。」
「えっ?嫌だよ!」
「幻影剣×60。これでもですか?」
「くっ!書いたよっ!!!」
「ありがとうございます。中身は水球を」
パチャッ
「1回当たるってものですね。」
「水球!あれっ?」
「それと1回水球が失敗するって事ですね。」
「くっ!!」
「アッハハ!」
「シルっ!」
「ごめんごめん!」
「先輩が綺麗に引っかかるからですよ。」
「……水落」
「変身」
ピョン
「あっ…」
「アッハハ!!」
「にゃー」
「……」
「先輩、あんな簡単に名前書いて良いんですか?」
「まぁ、あれは大丈夫だと思ってたから書いたのはあるからね!」
「そうなんですか?俺は別に契約を結ぶのに躊躇いは無いですよ?」
「そうだね!ただ、結ぶつもりならこんな事でしないと思うよ!さっきならともかくね!」
「まぁ、そうかもしれないですね。もっと都合が良い時がありましたからね。」
「うん!」
「陛下、どこで話されますか?」
「そうだな、さっきと同じ所だな。あそこの方が有利になる可能性があるからな。」
「承知いたしました。準備しておきます。」
「あぁ。頼む。」
「はっ!」
「陛下、よろしいでしょうか?」
「あぁ。今から行く。」
「承知いたしました。」
トンッ
カンッ
ガンッ
(「そろそろ始まるよ。」)
(「分かった。」)
「陛下、どうぞ。」
「あぁ。」
「ハトジケ公爵良いか?」
『はい。大丈夫です。』
「そうか。まず前提条件は、人質を出す事だな。公爵に関する事は後で話す。」
『承知いたしました。』
「人質はそうだな、3男と誰かで良い。」
『分かりました。』
「本題だな。公爵位と領地だな。これは他の位と領地で考えない事も無いな。ただ、あくまでもこれは攻撃を辞める価値のあるものを出さないと決裂するだけだからな。」
『分かっております。』
「それなら良い。とりあえず我の要求は、公爵位と領地かナパット侯爵位と領地だな。どちらかを受けない限り交渉の成立は無い。」
『…ナパット侯爵位を返還いたします。』
「あぁ。ならば交渉を続けよう。」
『はい。』
「ミダン、ミャル、ジンシ伯領を要求しようかと思ったが流石に無いだろう?」
『そうですね。全てを手放す事は出来ませんね。』
「だろうな。ミダン伯領とケシュウ伯領とシンル伯領を要求しよう。」
『…分かりました。』
「あぁ。それと毎月、税の総額の10%分を金貨で王家に払え。」
『10%ですか、』
「あぁ。別に今の領地の10%とは言わん。返還した後の10%だ。払えないとは言わんよな?」
『分かりました。』
「最後に王家に忠誠を誓え。」
『承知いたしました。どうすればよろしいでしょうか?』
「そうだな。そっちに契約魔法はあるよな?」
『はい。』
「ならば、公爵と次男のみで良い。王家に従う事を書いてそれに署名しろ。それをパートムに渡せ。ソウン伯はこっちでしておく。」
『承知いたしました。』
「人質は、どのくらいで用意できる?」
『最低10日間、出来れば2週間欲しいです。』
「そうか。少し待て。」
『分かりました。』
(「パートム、公爵のところまで後どのくらいかかるの?」)
(「そうだな。急げば、1週間ゆっくり行けば、20日くらいだな。」)
(「分かったよ。それじゃあ、あと2週間過ぎてから着くくらいで大丈夫?」)
(「あぁ。」)
(「分かったよ。」)
「待たせたな。2週間と少しで用意出来るな?」
『はい。』
「ならば、その予定で準備しろ。」
『承知いたしました。』
「あぁ。切るぞ?」
『はい。』
「じゃあな。」
トンッ
ガンッ
「陛下、お疲れ様でございます。」
「あぁ。契約書の用意は出来るか?」
「問題ありません。」
「なら、頼む。俺はパートムに連絡する。」
「承知いたしました。」
(「終わったよ。」)
(「どうなったんだ?」)
(「ナパット侯領とミダン伯領とケシュウ伯領とシンル伯領の返還と毎月、税の総額の10%を渡す事と忠誠を契約書で誓わせる事になったよ。あー、あと人質だね。」)
(「ケシュウ伯領とシンル伯領と言えば、川の北の陸地か?」)
(「そうだね。ナパット侯領とミダン伯領だと、陸地が少なくて何かをするのがきつそうだからね。」)
(「そうか。それと、10%か。」)
(「今まで無かったのが驚きなんだけどね。どうなってるの?」)
(「それは、元々はあったんだが、王家が弱体化すると同時に無くなっていったんだ。」)
(「そうだったんだね。あと、契約書と人質の護衛頼んだよ?」)
(「あぁ。分かった。」)
(「じゃあ、よろしくね。」)




