親獣人派との交渉のための交渉
「今日はこんなもので良い?」
「大丈夫よ。」
「はい。」
「まぁ、これから俺たちが使わない時は自由に使って良いからね。」
「ありがとうございます。」
「うん。ただ、問題が起きる可能性があるんだよね。うーん、この学校で知名度あるのって先輩ですかね?」
「うーん、確かに1番だろうけど、そこまでだね!」
「とはいえ、パートムとかだと現実感が無いですよね?」
「そうだね!」
「うーん、仕方ないね。ハレイと一緒に来てね。ハレイの契約は変えておくから。」
「分かりました。」
「なんだか、外がザワザワしてるね?」
「そうだね!うーん、流石にここの部屋からだと分からないね!」
「分かったらそれはそれで困るけどね。」
「そうだね!まぁ、出れば分かると思うよ!」
「それはそうだね。」
ガチャッ
「どうしてあの方が…」
「なんでここに来たんだろうな?」
「あの方って誰なんだ?」
「伯爵閣下らしいぞ?」
「伯爵閣下?」
「詳しくは知らないな。」
「あの人は親獣人派だったような?」
「なら、なんでここに居るんだ?」
「さぁ?止めるためとか?」
「そんな事のために来るのか?」
「分からないな。」
「うーん、面倒くさそうだね。」
「そうだね!早く帰ろうか!」
「うん。ただ、警戒はしててね。」
「うん!」
「お兄ちゃん、止まって。」
「みんなは後ろにいてね。」
「分かったよ!」
(豪華な服と装飾品だね。顔は、かっこいい感じかな?)
「君達、少し良いかい?」
「すみません、用事があって急いでるんですよ。」
「その用事は人の事よりも重要なのかい?」
「人ですか?」
「あぁ。その獣人達だよ。」
「あぁ、重要かも知れませんね。」
「それは獣人だからなのか?」
「そうだったら、どうなんですか?」
「人間と同じ扱いをするべきだ。」
(同じかぁ。別に大して変わらないね。)
「どうしてですか?人間とは違いますよ?」
「どこが違うんだ?」
「逆にどこが同じなんですか?」
「理性があり、姿もほとんど変わらないじゃないか。」
「理性ですか……無いとは言わないですが、うーん。まぁ姿はそうですね。ただ、それがどうしました?似ているだけですよね?」
「理性もある。そして、姿が似ているだけ?似ていると言うのは同じ扱いをする理由になるだろう。」
「なりますかね?俺は思いませんよ?所詮似ているだけですからね?同じではありませんよ。」
「違う部分は耳と尻尾くらいだろう。それは一緒と言っても良いくらいだろう。」
「それは大きく違うと思いますよ。まぁ、見た目が同じだとしたとしても、身体能力はどうですか?」
「人間の中でも獣人の身体能力を超えている者は数多くいる。それに獣人でも魔法を使える者はいるだろう。」
「それは例外ですよね?大多数は違うと思いますよ。」
「多くが違うとしても、居るのは事実だ。同じ人間でも人によって違う事はあるだろう。それと変わらない。」
「そのレベルに収まって無いと思いますよ。種として、全く別の方向に進化していますからね。」
「少なくとも今はそこまでの違いは無いだろう。」
「まぁ、今のところはそうかもしれないですね。ただ、人間が管理すると人間に似たようになるか、今のままだと思いますが、何もしなければ完全に別になると思いますよ?今の世代は良いかもしれませんが、いつかは滅亡すると思いますね。まぁ人間に勝てるのなら別の話ですけどね。」
「だからと言って、今の世代を縛る権利は無いだろう。」
「全体を縛る権利は無いですね。ただ、あの空間に居た獣人に関しては、あると思いますよ?戦いを相手から仕掛けて来て、それで負けたんですからね。」
「仕掛けて来たのは1部だろう。大多数は関係無いだろう。」
「それを止められない時点で同じですよ。少なくとも被害が出た時点でそうですね。」
「止められないと言う以前の話の、そこの子どもなどは違うだろう。」
「そうですか?別に思わないですね。まぁ、良いです。それでどのような用件で話しかけて来たんですか?」
「そこの獣人の解放の要求だ。」
「無理ですね。獣人は王家がここに入れているんですよ?それにただの一般人が何かできると思います?」
「それは生徒の話だろう?そこの5人は、君が縛っているんだろう?」
「そうですね。ただ、この5匹は俺が命を賭けて戦った報酬ですよ?タダで手放す事はあり得ませんね。」
「何かがあれば良いのか?」
「うーん、釣り合う物なら考えますよ。なにを出すつもりですか?」
「そうだな。お金ならどうだ?」
「お金ですか、どのくらいですか?」
「そうだな、1人金貨100枚はどうだ?」
「桁が足りないですよ?」
「それなら、2000枚でどうだ?」
「2000枚ですか、まだ足りないですね。希少価値が高いので。」
「そうか。金貨なら3000枚までだな。」
「それなら無理ですね。それ以上の価値を感じてますので。入手困難な物なら可能性はありますよ?お金よりも欲しいですしね。」
「入手困難か。領地はどうだ?」
「うーん、領地ですか、お金とほんの少しの人くらいですよね?要りませんね。」
「それなら、この剣でどうだ?」
「これは?」
「さまざまな効果のついた剣だな。」
「うーん、剣は使えませんからね。要りませんね。」
「それなら、この遠くを見る事が出来る物はどうだ?」
「剣よりも良いですが、足りませんね。」
「なら、この鞄はどうだ?見た目の10倍入るぞ?」
「10倍ですか、悪くは無いんですが、足りませんね。」
「そうか、ならその鞄と遠くを見る道具、双眼鏡の2つでどうだ?」
「こちらの選ぶ1匹との交渉なら良いですよ。交渉がどうなるか知らないですが。あぁ、もちろん契約は切っておきますよ。」
「過去に何かしたか?」
「はい。したと思いますよ?詳しくは、うーんここで言った方が嫌だと思いますよ。」
「分かった。」
「とりあえず、交渉は部屋でしますか?」
「そうだな、どこかあるのか?」
「こちらですね。




