シイとの契約
「これで良いか?」
「陛下のお力に関することを話す事、書く事、その他の手段で伝える事、後は想像できる可能性のある事をしない。それと、陛下に危害を永遠に加えない。また、危害を加えるもしくは、加えそうな者の協力をしない事ですね。大丈夫です。」
「そうか。力に関してはその事を知っている人になら、話せるからな。」
「分かりました。はい、できました。」
「そうだな。それじゃあ、話すとするか。まずは、加工についてで良いか?」
「はい。」
「加工については俺だな。」
「陛下がなさったのですか?」
「あぁ。俺が複数の効果をまとめた。」
「そうなのですね。」
「そうだな、このパンとポーションがあるな?」
「はい。」
「ポーションにスキルに使うと、これができる。」
「これはどのような物なのですか?」
「これはポーションの治癒に関する効果のみを取り出した物だな。こっちは、残りだな。」
「効果が高くなっているのですか?」
「そうだ。そして、これとパンにスキルを使うと、赤いパンができる。食べてみろ。」
「ありがとうございます。これは、ポーションの効果が付いているのですか?」
「そうだな。ポーションの治癒の効果をパンに移した感じだな。こんな感じで俺の装備は作った。」
「そうだったのですね。わざわざ実際に行っていただきありがとうございます。」
「大丈夫だ。これは、次の説明にも関わるからな。」
「次ですか?」
「あぁ。このパンは、どこから出したか見てたか?」
「見てはいましたが、突然現れたように見えました。」
「そうだな。突然現れたのであっている。」
「そうなのですか?」
「あぁ、空間魔法を知っているか?」
「少しだけなら知っています。あ、」
「分かったか?」
「はい。陛下は空間魔法を持っていらっしゃるのですね」
「そうだ。俺は空間魔法を持っている。ただ、これの重要性と希少性は分かるな?」
「はい。」
「これがあるだけで、例えば戦いの状況が変わる可能性があったりする。」
「そうですね。物資などを大量に気付かれずに運ぶ事が可能なら、有利に戦えますね。」
「あぁ、そうだ。だから、これは俺がどのような立場だろうと関係なく隠すべきものだ。」
「そうですね、狙われる可能性が増えるでしょうね。」
「あぁ。俺はそれでもダメというわけでは無いが、シイは
どう思う?」
「出来る限り隠しておくべきです。陛下に危害が及ぶ可能性はできる限り低くしなければなりません。」
「そうだろうと思ってたぞ。」
「はい。」
「シイは、好きな動物はいるか?」
「動物ですか?猫ですね。」
「そうか。それなら、これでどう見える?」
「陛下が猫になっておられます。」
「だろうな。これが俺の姿が変わる秘密だな。」
「そうだったのですね。御姿が変わっているので不思議に思っていましたが、その…魔法ですか?」
「あぁ、変身魔法だな。」
「その変身魔法が理由だったのですね。」
「そういう事だな。これは、逃げるのに有効そうだろ?」
「はい。とてもいいと思います。」
「あぁ。少し話が変わるがいいか?」
「はい。大丈夫です。」
「この状況を見ると、面白いと思わないか?」
「…そうですね。はい。」
「侯爵家の人物が猫にそんな態度でいるのは知らない人が見たら困惑しそうだな。」
「そうですね。私がその状況なら幻覚を疑いますね。」
「そうだよな。」
「はい。」
「あー、センストがこの姿を見たらどうなりそうだ?」
「センちゃんですか、この魔法は知っているのですか?」
「知っているが、ほとんど使っているところを見せていないな。」
「それなら可愛がる気がしますね。」
「そうだよな。それなら、少し試してみて良いか?」
「はい。」
「なら、1つ話す事があるな。今日の話に出てきた、道具あるよな?」
「はい。」
「あれに似たスキルを俺は持っているんだ。それで今は、シルとセンストと話せるんだ。それで少し話すぞ。」
「パートム閣下とは話せないのでしょうか?」
「出来なくはないが、パートムはこれを使わないでも問題ないからな。それよりも多く関わる2人と話せるようにしているんだ。」
「そうなのですね。」
「あぁ。」
(「シル、今大丈夫?」)
(「うん!どうしたの?」)
(「先輩って今いる?」)
(「いるよ!」)
(「なら2人で今俺達がいる部屋に来てもらえない?」)
(「えーと、うん!大丈夫だって!」)
(「よろしくね。俺は猫になってるから、先輩には黙っててね。」)
(「シイは知ってるの?」)
(「知ってるよ。言わないように言っておくよ。」)
(「それならおっけー!」)
(「よろしくね。」)
「シルとセンストが来る事になったぞ。それで1つ言うことがあるんだが、俺はお店に行ったと言ってくれ。」
「シルちゃんもですか?」
「シルは俺が猫なのは知ってるな。センストには黙っててくれる。だから、シイもよろしくな?」
「…分かりました。」
「どうした?可哀想か?」
「…そうですね、少しだけそうです。」
「俺は、今狙われてるからな。相手がどんな姿で来るか分からないからな。もし、見た目で騙されて護衛の対象が殺されたら駄目だよな?」
「護衛としてはそうですがセンちゃんは違いませんか?」
「護衛では無いが、俺があそこに居る以上巻き込まれる事を否定出来ないよな?」
「そうですね。ただ、陛下はそれが目的なのですか?」
「0では無いな。」
「どのくらいなのでしょうか?」
「そうだな、5%くらいは警戒して欲しいってのが目的だな。」
「…95%はどうなのですか?」
「……なんだろうな?」
「……」
「まぁ、協力してもらうぞ?」
「分かりました。」




