穏便な脅迫
「パートムお疲れ様だね。」
「ソルの方がそうだろうな。」
「まぁ、そうだね。演技どうだった?」
「悪く無いな。少なくともあの空間なら。」
「なら、よかったよ。」
「それよりもびっくりしたね。」
「そうだな。まさか襲いかかって来るとはな。」
「うん。考えてはいたけど、まさかだったね。」
「あぁ。」
「それよりも、あの様子なら契約を結びやすそうだね?」
「確かにそうだな。もしかしたら、拷問がいらないかもしれないな。」
「うん。脅迫で終わるかもね。次は、いつなの?」
「いつでも良いと思うぞ。こっちから言えばほぼ断らないだろうな。」
「そっか。うーん、周りの3人っていつ居なくなるの?」
「理由をつけて、追い払う事はできるぞ?」
「それで不自然にならない?」
「不自然ってほどにはならないな。司令長官の名前を使ったら問題無い。ついでにシンカフの名前もな。」
「それなら、その2人っていつ呼べるの?」
「明日なら、いつでも大丈夫だ。」
「なら、明日の10時くらいで行ける?」
「あぁ。部屋はどうする?」
「うーん、ここは?」
「まぁ、大丈夫だろう。」
「じゃあ、そんな感じでよろしくね。」
「あぁ。じゃあ、そうするぞ。それと、あの双子はソルのクラスで良いんだよな?」
「うん。よろしくね。」
「あぁ。」
コンコンッ
「起きてるか?」
「うん。起きてるよ。」
ガチャッ
「おはよう。」
「あぁ、おはよう。10時からここで話す事になったぞ。ちゃんと3人は離せたぞ。」
「ありがとね。とりあえず、陛下の演技で話してみるよ」
「あぁ。じゃあ、次は全員揃って来るからな。」
「うん。よろしくね。」
「あぁ。」
コンコンッ
「パートムです。」
「入れ。」
「はい。」
ガチャッ
「よく集まってくれたな。」
「もちろんです。陛下。」
「そうか。とりあえず、椅子に座るか。」
「はい。」
「あの3人は、今はどうなったんだ?」
「双子は1つの部屋に居ます。テマリン伯は他の部屋に居ます。」
「そうか。まぁ、いい。セインは眠れたか?」
「はい。よく眠る事が出来ました。ありがとうございます。」
「それなら良い。そろそろ本題に入るか。」
「そうですね。陛下。」
「セイン、壁を張るぞ?」
「はい。問題ありません。」
「風壁、土壁、水壁、氷壁。これで大丈夫だな。」
「そうですね。セイン様、この契約書は見えますか?」
「はい。これからの話を漏らさない。陛下の力を漏らさない、え?子供を場合によっては、前国王陛下の子供という事にする?」
「そのままの意味だ。」
「それにどのような意味があるのでしょうか?」
「意味か、言わないとサインしないか?」
「絶対ではありませんが、」
「それなら言えないな。」
「サインしないといけないのですか?」
「そうだ。ここでした方がいいぞ?」
「どうしてでしょうか?」
「ここには、誰が居る?」
「陛下とパートム閣下とゴシャタ近衛部隊司令長官殿とシンカフ最高司令官殿…。」
「俺はともかく他はどうだ?」
「お力のある方ばかりですね。」
「そういうことだな。俺はこれ以上の事はしたく無いからなここでサインしてくれないか?」
「サインしなければどうするのですか?」
「予定とは違うが、昨日丁度良い事が起きたからな、それでも使う事になるだろうな。まぁ、これでも穏便な方だがな。それでどうする?」
「サインすれば、何もしないですか?」
「何もに何があるのかわからんが、少なくともあの双子に危害を加える事は無い。それにセインに力を使う事も無いな。」
「分かりました。」
「出来たな。良かったな、パートム。」
「そうですね。予定よりも遥かに穏便に済みました。」
「予定とは一体どのような物だったのでしょうか?」
「セイン様が拒否するのなら、これを使って契約を結ぶ予定でしたね。」
「これは一体?」
「拷問用の道具だ。」
「拷問…ですか。」
「そうだ。まぁ、もう使う事は無い。ここでサインをしてくれて助かったぞ。お互いにとってな。」
「そうですね…」
「ゴシャタとシンカフは、戻って良いぞ。」
「分かりました。」
「承知しました。」
「パートム、手続きはどうなった?」
「しておきましたよ。」
「助かる。いつからになるんだ?」
「1ヶ月後くらいからです。」
「そうか。わかった。双子を呼べるか?」
「はい。呼んできます。」
「頼む。」
「陛下は、お一人になられても大丈夫なのですか?」
「ある程度ならな。」
「そうなのですね。」
「あぁ。セインが1人の方が危ないぞ?」
「私は戦えませんからそうですね。」
「魔法は使えると言ってたな。何が使えるんだ?」
「攻撃のできるものだと、風属性の中級魔法が使用する事が出来ます。他は使えません。」
「そうか、ならさっきの場面は、俺だけでも無理だったんだな。」
「はい。そうなります。」




