パートムとの話
「パートム、ここら辺でいい場所ある?」
「あぁ。こっちだな。」
「わかったよ。」
「パートムたちっていつから見てたの?」
「見てたわけじゃないな。ただ最後の炎が派手だったからそこに行っただけだな。」
「そんなに派手だった?」
「派手だったな。近くなら、ドラゴンと同じくらい驚くと思うぞ。」
「そんなにだったかぁ。まぁ、いいかな。」
「そうだな。」
「シルから、どこまで聞いてるの?」
「テレパシーの事とあとは、ソルたちが避難所に行くことになった事くらいだな。」
「じゃあ、その2つの説明はいい?」
「あぁ。」
「じゃあ、他にあった事は不穏分子が集まってたところを潰したんだけど、そこでこの紙があったんだよね。」
「…陛下について書いてあるな。」
「そうなんだよね。それと、陛下が亡くなったって噂が出回ってるんだよね。」
「そうか。」
「残念ながら、陛下の遺体を見た人はだいたいが亡くなってしまったんだけどね。」
「……そうか。獣共のせいだな。」
「そうだね。俺に力があったら変わってたかもしれないね。」
「そうだな。まぁ仕方ないな。全部獣共が悪いからな。」
「うん。それと、陛下の遺体はどうするの?」
「あー、ソル持っててくれないか?」
「俺が持ってていいの?」
「あぁ。仮に遺体が無くなってしまっても、表に出てくるよりはよっぽどマシだしな。」
「なら、わかったよ。」
「ドラゴンの影響はどんな感じ?」
「本物だと理解したが、攻撃は出来ないと考えてる人が多いな。少しは戦意もマシになったが、そのくらいだな。」
「そっか。前に言ってた準備は?」
「あと2.3日で終わりそうだな。」
「それを使ったらどうなるの?」
「あの捕縛用の道具を獣人のみ着けているような状態になる。流石にアレよりは効果は低いがな。」
「それは凄いね。それで、デメリットは?」
「……まず、使う時に大きな揺れが起きる。それに魔力を集める影響で街中で魔物が生まれる事がある。」
「魔物ってどんなの?」
「猫などのペットから、……人もだな。」
「どのくらいの割合でどんなのになるの?」
「割合は、その時に身体が弱い人がなるから正確なことは言えないが、少なくとも500人以上だな。なるのは、理性がなく、動きもおかしくて遅いが身体が頑丈で攻撃力も高い人型のものだな。」
「強くは無い?」
「まぁ、少なくともソルからすればな。獣人よりはだいぶ弱いが、一般人なら逃げるのは出来るが、倒せるかは分からないな。」
「それならこのまま続くよりはマシなのかな。」
「そうだな。」
「それを使うためのリソースは?」
「獣人共を100匹くらいで出来る。」
「そのくらいで済むんだね。」
「まぁ、デメリットもあるしな。」
「そっか。」
「そういえば、王位ってどうなるの?」
「王位かぁ、困ってるんだよなぁ。」
「え?継承順なんじゃないの?」
「そうだな。ただ、次は65歳なんだよな。ここまではいいんだが、その次からがなぁ。」
「誰なの?」
「南東方面で力を持っている公爵なんだよな。」
「公爵がなるの?」
「もともと、王族だった人から始まった家系なんだよ。
普通はこんな事にならないんだが、普通じゃないからなぁ。」
「その公爵は、どんな感じなの?」
「……傲慢で強欲だな。」
「それが王になったら、どうなるの?」
「……半分の貴族が建前でも国にいるってならばいいな。もしかすると9割が独立するかもしれないな。」
「…王位継承順のその後は?」
「ここまでじゃないが、たいして変わらないな。」
「うーん、前の陛下の子供って居ないよね?」
「あぁ。普通は、もっと居るんだがな。いろいろ重なりすぎてるんだよな。」
「パートムは、どうしたいの?」
「俺は、うーん、次はいいがそこまで長くは無いだろうからなぁ。ただ、公爵が王位に就くのはなぁ。」
(うーん、交渉しようかな。リスクはあるけど上手くいけばリターンも大きいよね。)
「…パートム、俺と交渉する気ある?」
「……どんなのだ?」
「契約を結んでもらえないと話すのは無理だね。内容だけでも必要なくらいだからね。それと、ここって防音どうなってるの?」
「防音は、大丈夫だろうが壁を作ったら完全に防げると思うな。契約か、どんなのだ?」
「まずは、その内容を漏らさない。」
「それはだろうな。他は?」
「少なくとも、今日中は俺に危害を加えないこと。」
「…加える事になる可能性があるのか?」
「無いとは言えないね。まぁ、これは保険の意味が強いけどね。」
「そうか。他は?」
「交渉の前の条件はこれだけだね。」
「なら、それは受けよう。」
「わかったよ。じゃあ、土壁、氷壁」
「パートムは、契約魔法を使えないよね?」
「そうだな。ただ、」
「まぁ、気づいてるとは思ってたよ。」
「あぁ。」
「じゃあ、用意するよ。」
「あぁ。」
「これだね。」
「大丈夫だな。じゃあ書いたぞ。」
「うん。発動したね。」




